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✓香君
▽あらすじ
上巻
遥か昔、神郷からもたらされたという
奇跡の稲“オアレ稲“
ウマール人はこの稲をもちいて
帝国を作り上げた。
この奇跡の稲をもたらし、香りで
万象を知ることができるという
活神<香君>の庇護のもと
帝国は発展を続けてきたが、
あるときオアレ稲に害虫が発生してしまう。
時を同じくして、ひとりの少女が
帝都にやってきた。人並外れた
嗅覚を持つ少女アイシャは、
やがて、オアレ稲に秘められた
謎と向き合っていくことになる。
下巻
「飢えの雲、天を覆い、
地は枯れ果て、人の口に入るものなし」
かつて皇祖が口にしたというその言葉が
現実のものとなり、次々と
災いの連鎖が起きていく中でアイシャは、
仲間たちとともに、必死に飢餓を
回避しようとするのだが…。
オアレ稲の呼び声、それに応えて飛来するもの。
異郷から風が吹くとき、
アイシャの運命が大きく変わる。
▽感想
上橋さん2作品目。
香りで万物を知るという設定がおもしろい。
作中にもあるけど、“香り“を
どう言葉にするのか、それが難しい。
それを思わせない、文章力。
きっとこんな香りなんだろうなと
私自身も想像しやすかった。
1つのものに頼る、その恐ろしさ。
悲劇が悲劇が生む様子など、
物語にどんどんのめり込む要素がたくさんある。
人並以上の嗅覚をもつアイシャだからこそ
その感覚を誰とも分かち合えないという孤独。
オリエの飾り物として座らされている香君の座。
どちらにも感情移入ができる。
これも長編だけど
読んでみる価値が十分にある
ファンタジー小説になっています。
香君/上橋菜穂子/文藝春秋