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✓荊の城(上下)
▽あらすじ
19世紀のロンドン。
泥棒一味の中で育てられた女掏摸(すり)のスウは
詐欺師「紳士」の片棒を担ぎ、
田舎貴族の娘モードを誘惑し
全財産を巻き上げる計画に加わることになる。
侍女として首尾良くブライア城へ
潜り込むことに成功したスウだったが、
根っからの悪に染まり切れない彼女は
次第にモードに同情の念を深めていく。
▽感想
昔、少しだけ読んで読むのを
やめていた本。
田舎の泥棒一家が金持ちを夢見て
その夢をスウに託して…
モードの夢見る脳内お花畑っぷりに
スウは可哀そうにと憐れみを浮かべる
そして私も笑
それは次第に同情に変わり
モードを見る目も変わってくる。
男女、女女、とにかく
人と人の絡みが、文章によって
こんなに濃密なエロスになるとは…
サラ・ウォーターズもだが
中村有希さんの翻訳力にも脱帽である。
上巻最後の天地がひっくりかえる
どんでん返しは見もので
下巻にすぐさま手が飛びます。
下巻も渦巻く陰謀に
早くその答えを知りたくて
ページを捲る手がとにかく止まらない。
最後に明かされた答えは
登場人物も読む私たちにも
絶望と衝撃をあたえます。
映画「お嬢さん」の原題らしく
映画の方も観てみたいなあ
荊の城(上・下)/サラ・ウォーターズ/創元推理文庫
↳試し読みもありますので、ぜひ