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✓キッチン・セラピー/宇野碧

▽あらすじ
今夜ひとりでキッチンに立ちたくなる一冊。
第一話:カレーの混沌
旅先での出来事をきっかけに、
人生の「迷子」になってしまった大学院生。
ひと皿:スパイスと「ある物」を使って作るカレー

第二話:完璧なパフェ
家事と仕事と子育てに追われ、
自分の好きなものを忘れてしまった母親。
ひと皿:「彼女にとって」一点の曇りもなく完璧なマンゴーパフェ

第三話:肉を焼く
キャリアを地道に積み上げるも、
周りのライフステージの変化に思い悩む医師。
ひと皿:生きる力を取り戻すための肉

第四話:レスト・イン・ビーンズ
町田診療所の主、モネの過去が明らかに。
いま、豆を愛したある人の事を偲ぶ。
ひと皿:持ち寄った、それぞれの大切な料理


▽印象に残った文章

入りたかった会社に入って、
好きな人と結婚して、
欲しかった子供を産んだ。二人も。
全部望んだものなのに、
欲しかったもの全部を組み合わせた結果が
ゴミ溜でゾンビ映画なんて
一体どういうことだろう

「素晴らしいですね。
毎日そんな創造的な事をこなして
誰かを生かしてるなんて、
アーティストじゃないですか。」

「仕事や家族のためにはかけられて、
自分自身には書けない理由って何ですか?
真琴さんが一円の価値もない、
壁のシミ以下でセーターの毛玉よりも
劣る存在だからですか?」

「ただいまでいいんですよ。
台所はみんなが帰る場所だから。」

家族にご飯を作ること。
家族の作ったご飯を食べること。
それは、これからも一緒に
暮らしていくのだという
静かな決意みたいなものを
交換し合う行為なんじゃないか。

▽感想
仕事も人生もキャリアも子育ても、
生きていれば何かしらに対して
嫌になったり逃げだしたくなったりする。

料理を通して今自分に必要だという
何かしらの行為をすることによって
登場する人たちは自分に何が必要なのか
足りないのかを見出していた。

そのきっかけ作りが「料理」という
料理小説好きな私にとって
いいなと思う本になった。

コロナの問題なども取り上げたりと
今の時代に生きる私達にも
きっと覚えのある話がたくさん詰め込まれていた。

荒療治なようで、そのひとたちの事を考えている
モネのキッチン・セラピー。
こういう場所があれば私も受けてみたいと思った。


✓キッチン・セラピー/宇野碧/講談社

↳サンプルもありますので、ぜひ

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