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✓めぐり逢いサンドイッチ

▽あらすじ
靱公園にある『ピクニック・バスケット』は、
開店して3年を迎える
手作りサンドイッチの専門店。
蕗子が、姉の笹子―笹ちゃんの
このお店を手伝い始めて、半年になる。
笹ちゃんは店を訪れた人たちの
具材への思いや記憶、
そして物語をやさしくパンにはさんで、
誰が食べてもなつかしいような
新しいようなサンドイッチを作っているのだ。

▽印象に残ったフレーズ

「よく知っている料理だからこそ、
サンドイッチになってると食べたくならない?
知らない食べ物より、
なんだかわくわくすると思うの。
親しんだ食べ物が、
とびきり余所行きに、おしゃれに見えるでしょ?」

「ちょっとくらい具が違っても、
みんな気づかんくらい
美味しく作ってたんや」
少しずつ味が違っても、
おいしいことに変わりはなかった。
同じ食卓をいつもの家族が囲めば、
ふだんと変わりはない
お母さんの味だとみんなが感じていた。
おいしい、それ以外の言葉はいらない、
そんな料理だったのだ。

サンドイッチになると、
それだけで料理の見た目が変わる。
ほかの食材やスプレッドと合わせることで、
色とりどりの目にも楽しい断面になり、
味が変わり、印象も変わる。
それでいてよく知っている料理でもある
不思議なサンドイッチで、
失いかけていた何かと再会し、
新たな結びつきを得たような、
そんな感覚になる。

▽感想 
サンドイッチという食べ物だけで
こんなに深いお話が作れるのは凄いなあ。
そして何より、この作者さんが
サンドイッチの事をとても好きで
描いてるんじゃないかなとも思った。

笹子さんの周りにいる人たちが
サンドイッチ店を営むのに必要不可欠で
来るお客さんからメニューを考案していく
という関係性がいいなあと思った。

こんな具がいいんだよねえという
お客さんに対して
作ってみましょかと言ってくれる
そんなサンドイッチ屋さんが
家のそばにあったらいつも通っちゃうなあ

普段のおかずをサンドイッチにするだけで
特別になるでしょ?という
考え方が素敵だなと思ったし
サンドイッチを愛してないと
そういう考えにはならないよなあ

サンドイッチから始まるこの話は
とてもとてもあたたかい気持ちにさせてくれました

めぐり逢いサンドイッチ/谷瑞恵/角川書店

↳文庫本

↳単行本

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