映画感想文「ザ・ライダー」クロエ・ジャオ
配信で「ザ・ライダー」を鑑賞しました。
感想を書いてみようと思います。
ひとことでいうと、心に響く作品でした。良作。
あ、現在公開中の「シン・仮面ライダー」ではありません、あしからず。
アメリカのカウボーイのお話でございます。
はい、クロエ・ジャオ監督の作品です。
クロエ監督といえば、、、そう「ノマドランド」が有名ですよね。
アカデミー賞を獲ったやつです。
自分は「ノマドランド」も公開時に劇場で観たのですが、この「ザ・ライダー」とどっちが好きかと問われると、「ザ・ライダー」の方が好きかなあ。
「ノマドランド」ももちろん良い作品だと思います。
クロエ監督の、実際の人物を出演させるドキュメンタリー作風だと、「ノマド~」のような社会派のテーマの方が作風とマッチしますよね。
一般的には「ノマド~」の方が評価が高いんじゃないでしょうか。
ただそこには「社会派のテーマ」がはからずも加点されている気がします。
「ザ・ライダー」はそういった付属物がないぶん、クロエ作風の純度が高いと感じました。
あらすじにあるように、大怪我を負ってしまったひとりのロデオ・カウボーイの葛藤を描いています。
とても小ぢんまりとしたお話。
まあその「カウボーイ」には「象徴としてのアメリカ」が重ねられているので、個人の話でありながら大きなものも同時に語っているのだけど、語り口が大きくない。
ほんとに個人の日常生活レベルでストーリーを展開している。
個人を個人として見つめる。対象を安易に広げない。
そこがクロエ作風の一番の魅力だと思います。
あと、この作品はアメリカの大自然や馬と、登場人物たちの思いがフラットに描かれている気がします。
「生きているもの」へのリスペクトを感じました。
人間も自然も動物もみんな生きている。
必要以上に人間を大きく描かないし、小さくも描かない。
最後に、主人公が馬に乗って走るシーンがあるのですが、今まで見た映画の乗馬シーンのなかで一番美しく感じました。
「人馬一体」って言葉にするとあっさりしてるけど、こういうことなんだなあ、と。
ただ馬の扱い方が上手ってことではなくて、何でもそうだけど、通じ合うものがないと本当の意味で一体になれませんよね。
とても美しい場面で、見入ってしまいました。
自分自身と静かに向き合える映画です。
おすすめです。
総合評価 ☆☆☆☆
☆☆☆☆☆→すごい。うなっちゃう!世界を見る目がちょっと変わる。
☆☆☆☆ →面白い。センス・好みが合う。
☆☆☆ →まあまあ。
☆☆ →う~ん、ちょっと。。。
☆ →ガーン!