映画感想文「ベネデッタ」 思うとおり突き進めばいいのだ!
配信でポール・バーホーベン監督の「ベネデッタ」を鑑賞しました。
感想を書いてみようと思います。
まず言っとくと、自分はバーホーベンさんのファンです。
劇場公開時に観に行きたいなあと思っていたのだけど時間が取れなくて、今回某有料衛星チャンネルの配信で観ました。イエイ。
とはいうものの、結論から言うとバーホーベンさんの作品群の中で1,2位を争うかというとちょっと違うかなと。
面白いっちゃ面白いのだけど、バーホーベンさんにしてはエログロが物足りない。。。
まあ今回キリストを扱ってるので、キリスト教圏・キリスト教徒の方々にはセンシティブな作品であります。
そこにあえて突っ込んでいるのがバーホーベンさんの真骨頂ではあるんですけどね。
でも自分が良いなと思ったのは、バーホーベンさんが女性を応援しているところです。
主人公の修道女・ベネデッタは、自分が「キリストの花嫁」となったと主張します。
なぜなら、自分の体に聖痕(キリストが受けたものと同じ傷)があらわれたから。
ただ物語として、これが本当に自然とあらわれたのか、それとも自分でつけた傷なのかははっきり描きません。
ベネデッタも「自分で傷つけたんでしょ?」と問われても、「すべて神の御心のままに」といった感じで、正面から答えない。
観ている方からすると「どっちなんだろう?」と思います。
でも正直それはどっちでもいいのかな、と。
それよりもベネデッタはその聖痕をバックに修道院長にのし上がり、町の民衆からも支持されるようになります。
ネタバレになってしまうのですが、最後には教皇大使という当時ものすごく権力を持っている男性すら、打ち負かしてしまう。
歴史的に見たらそんなことはあり得ないのだけど、それをやっちゃうのがバーホーベン節。
自分は、バーホーベンさんが「自らが思うように突き進め!」と激励しているように感じました。
権力欲って、自分はそれ自体は悪だとは思わない。
権力を握って良いことをすれば善きことになるし、悪いことをすれば悪になる(←日本の政治家ですね)。
だから権力欲自体は善でも悪でもない。
むしろ人間なら誰しも(性別関係なく)権力欲はあるよって描いてるところが、今作のバーホーベン節の本質かと思います。
主人公・ベネデッタは自分がキリストの寵愛を受けていることを疑わない。
ちょっとそれを利用している部分はあるのだけど、大きく言うと自分が世のため人のために行動していると信じている。
まあ清濁併せ呑む感じで、なかなかしたたか。
で、相手が誰(前の修道院長や教皇大使)であろうと、決してひるまない。
自分が正しいと思うことをやるんだと。
最初に「バーホーベン作品の中ではちょっと…」と書いたけど、観終わってやっぱり好きだなあと。
バーホーベンさんの何事もタブー視しないところってやっぱりいいんですよね。(だからエログロも描いちゃうんだけど…)
今作でいうと、「時代・環境・性別」なんかに縛られるなと。
自分が持っている力を最大限使って突き進め、と。
そういう意味で、スカッとする部分はありましたね。
バーホーベン節バンザイなのだ!