ゴールデンウイークに観た映画 DVD編
もはや梅雨明けかというタイミングですが、2024年のゴールデンウイークに観た映画のメモを。いま仕事している制作会社の映画好き中年男子が「これ好きなんじゃない」と何本か、貸してくれました。
「エルスール」
本当、懐かしい……。今年、新作「瞳を閉じて」が公開されたビクトル・エリセ監督による1983年の作品。大学生のときに名画座で観て以来、およそ30年ぶりの鑑賞となりました。「エルスール」とはスペイン語で「南へ」ということと、大学の近所(西荻窪と吉祥寺のちょうど中間あたり)に「エルスール」という名の喫茶店があって、そこで一人で過ごすのがたまらなく居心地の良い時間だったことは30年経っても覚えていました。喫茶店の「エルスール」は大学生のうちになくなってしまったのがとても悲しかった。仕送りやバイト代が入ったらアロー(当時、西荻窪にあった自転車屋さん)の自転車に乗って、スープセットを食べに行ったっけ。
そんなことは覚えているのに作品自体は「こんなのだったっけ?」と全く覚えていなかった(苦笑)。「瞳を閉じて」を観た人が「シアターじゃなければ寝てしまっていたと思う」と言っていたけれど、「エルスール」もシアターで観る映画だと、DVDで観て思いました。
「運動靴と赤い金魚」
これは初見でした。イラン映画で、登場人物は子どもが中心です(詳しくないですが、イランでは役者という職業が禁止されているらしい)。主な登場人物は少年アリとその家族。裕福とはいえない家庭ですが、彼らは決して不幸ではありません。アリは自分のせいで靴をなくした妹のために、懸賞がもらえるマラソン大会に出て絶対、3等になろうと頑張ります(靴がもらえるのが3等なので、優勝ではなく3等を目指すのがこの映画のポイント)。
アリを自転車に乗せて走るお父さんや、アリがどうして遅刻するのかも知らずに怒る教師は、どこの国にもいる人間像だし、アリが抱える悩みや葛藤も、どこの国の子どもも抱えるものでした。
「奇人たちの晩餐会」
邦題で奇人となっているのはフランス語のcon、つまり「バカ」という言葉で、とにかく劇中、やたらと「コン」「コン」と連発されます。主人公のピニョンは出版業を営んでいるピエールの自宅へディナーに来るよう誘われます。ピエールは仲間たちと毎週水曜日に、コンを招いて、コンを笑いのネタに憂さ晴らしするディナー会を開いているのです。はい、とても趣味が悪いですね。だけど、このピエールが登場人物の中で一番バカというオチです。少ないキャスト、舞台はほぼピエール宅のリビングで、低予算で作られた作品の見本といった感じですが、ヨーロッパでは公開当時、とても人気だったとか。シナリオとしては映像よりも舞台のほうが向いている気がしました。
ゴールデンウイーク中は、このほかにシアターで観た作品も何作かあるので、また機会があればメモ程度に残しておきたいと思います。