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今週の選挙(2024 11.17投票)


 今週は何はなくとも兵庫県知事選! 結果次第では選挙制度の根底が覆される事態になってしまうので、ある意味この前の衆院選よりも重要な選挙です。

 が、それは他で取り上げられているので私が触れるまでもなく。 それ以外から10件セレクトしました。 ただコレはコレで重要な選挙が含まれているので、是非読んでいただきたく存じます。

 なんせ、書くたびにボリュームが増している「今週の選挙」。 遂に7千文字を超えてしまいました。 こんなにしっかり書く趣旨ではなかったハズですが、もうアトにはひけなくなってしまいました(汗)。 なのでどうか読んでいただきたいのです。 ハイ・・・




▼今週の彦治

◎兵庫県議会議員補欠選挙 尼崎選挙区(定数1/6人)

 維新公認で当選した県議が衆院選に出馬(→比例近畿ブロックで当選)したために空いた議席を手にしようと、自民の元職に維新・共産・立憲の新人らが立候補していましたが、告示直前に出馬表明したのが毎度おなじみ “選挙出まくりマン” 小西彦治氏です。

 無投票になりそうな首長選を狙い出馬してきた小西氏ですが、兵庫県在住の小西氏が今週の選挙に絡んでくる可能性は充分に有り、私は知事選への出馬も有り得ると思っていました。 それは立花孝志氏が当初「複数の候補を擁立する」と表明していて、そこに乗ってくるのではないかと。

 結局、知事選出馬はなくひと安心していたトコロ、県議補選を狙ってきました。 かつて「(市議や県議など)議員として活動することに限界を感じた(から首長になりたい)と語っていた小西氏が突然県議会 “議員” 選挙に出てきたので目的はなんだ? とイヤな予感がしていましたが、案の定、知事選の斎藤元彦候補を応援するためでした。

 今回のポスターを見た方の投稿によると、デザインが今までと違っており、その内容は「セイト―(政党)よりサイト―(斎藤元彦候補)という言葉を大きく掲げた、斎藤元彦氏を擁護する文言しか書かれていません。 知事選ではなく県議補選への出馬でしたが、やはりやりたいコトはコレでした。

(今回の選挙公報)

 いつもの突拍子もない首長選出馬とは違う県議選への立候補であり、供託金没収ラインも首長選の「有効得票総数の10分の1」ではなく、「有効投票総数 ÷ その選挙区の議員定数 ÷ 10」で、

有効投票総数(100%) ÷ 県議尼崎選挙区の定数7 ÷ 10」

という計算式になり供託金没収ラインは「得票率1.48%以上」となるためクリアする率は高いので、これまでの “首長選シリーズ” と並べるのは違うかもしれません。

(一応、並べてみました)
(「供託金没収」という基準で見れば通算成績:13勝4敗1ドタキャン)
(勿論「当落」を基準にすれば、0勝17敗1ドタキャン)
(クリックやタップで拡大してご覧ください)

 県議補選は明石市選挙区でも行われますが尼崎を選んだのは、前述の通り昨年の本選でも「参政党」(※読み方:まじわりせいとう。 名前も見た目もオレンジの国政政党の丸パクリですが別組織)で立候補していたコトや明石市選挙区は政党公認候補ばかりで埋没する可能性が有るコトなどが考えられますが、尼崎市は斎藤元彦候補追及の急先鋒である丸尾牧県議の地盤であり、知事選の有力候補のひとりである稲村和美候補が市長を務めていた地。 上記のように斎藤元彦候補支持を訴えるためダケに立候補するならばこの地ほど適している場所は有りません。

 とはいえ選挙活動ポスターに公選ハガキを送りつけるという程度になるのでしょうが、その公選ハガキもこの補選にあたり選管が出している選挙人名簿ではなく昨年の県議選出馬時のデータを使ったか民間からデータを買ったかをしたのでしょう。 既にお亡くなりになられた方宛にハガキが届いたという話も有り、相変わらず杜撰で迂闊な選挙運動をしているようです。

 構図が構図なだけに供託金没収は難しいでしょうが、当選させるコトなきよう宜しくお願いします。 何故なら、県議補選投票日の2日後に告示の「和歌山県広川町長選挙」に立候補する予定で、既に候補者説明会にも出席しています(※広川町選管に確認済)。 次に予定が有るのならば小西氏にとってもこの補選で当選するのは不本意でしょうから、投票しないのが小西氏のためになるのです。 ハイ。


◆【取材予定】山梨県・北杜市長選挙

 2期目を目指す現職に元県議と会社社長が挑む選挙です。

 前回の選挙は取材しており、自民のバックアップを受けて出馬した元県議が圧勝するだろうと思っていたら、市議を1期務め出馬した新人が大接戦を制し当選するという驚きの結果が出ました。
 それから4年。 まさかの敗戦を喫した元県議が、この期間ほかの選挙に出たりせずに時を過ごし再び立候補。 前回のリベンジを狙います。

 「2期目を狙う現職」というのは基本的に盤石なのですが、組織力は元県議の方が強いハズ。 現職は前回の選挙でも後ろ盾となっていた県議に加え、前回の選挙で(当時の)現職ながら下馬評通りの3位に沈んだ前市長の支持を得ており、前市長が持っていた票がカギになりそうな気がします。

 同時に行われる市議選と合わせて取材予定です。 ただ、北杜市って、広すぎるんだよなぁ・・・。 一日で取材終わるだろか(涙)。


◎茨城県・守谷市長選挙

 3期目を目指す現職に市議を辞して出馬した2人が挑む選挙です。

 現職は70歳と「高齢」と呼べるゾーンに入ってきています。 つくばエクスプレスの沿線開発で人口が増加しており、その実績を強調して戦い公明党の推薦や自民支部の支持を受け、県議や多数の市議から応援されています。

 男性の元市議は4期途中まで務めたので実績は充分。 52歳という若さで世代交代を訴え、市議時代に同会派だった市議3人の支持を受けています。

 女性の元市議は42歳と更に若い候補で現役子育て中の視点からの市政改革を訴えますが、市を1期途中で辞めての立候補で、それを批判する人がいるかもしれません。 ただ、更に驚いたのは市議選が行われたのは今年の2月。 僅か9か月ほどで市議を辞しての立候補という姿勢が市民にどう映るか・・・

 先週の選挙では全国的に新人候補が現職(及びその後継候補)を破るという結果が多く見られました。 この選挙でも新人がその流れに乗れるのかどうか注目されます。


◎栃木県・宇都宮市長選挙

 6期目(!)を目指す現職に新人3人が挑む選挙です。

 宇都宮市は昨年、宇都宮駅の東側にLRT(次世代型路面電車)を開業。 予想を上回る利用者で、合わせて利用するからかバス利用者も増加。 一方クルマの交通量は1割減と成果が出ています。 しかし利便性の悪さが残っていたり道路を塞いで線路とするため自動車通行の妨げになるという声や沿線周辺の発展は見られないとする声も有り、依然として賛否は分かれています。

 その実績を引っ提げて6期目という多選に挑む現職ですが、実はまだ63歳。 初当選時が43歳で年齢的にはまだまだバリバリやれそうですが、多選が市政の硬直化を招いている可能性は否めず、それが問われかねない選挙ですが、そんな声を打ち消すかのように現職はLRTを宇都宮駅西側にも延伸する計画を打ち立てており、それが最大の争点となっています。

 2010年から、みんなの党~国民怒りの声(2016年に小林節氏が立ち上げた政治団体⇒2018年解散)~日本維新の会所属候補として国政選挙に出馬(し落選)してきた50代男性候補は西側延伸に反対で、市民投票とBRT(自動運転バス)導入を訴えます。

 LRT計画が持ち上がった時に市民団体を立ち上げ反対を訴え続けてきた80代男性候補は当然延伸には反対で路線バスの強化を訴えています。

 そして、この選挙で最大の目玉となっている33歳男性候補。 元財務省職員で、つくば市の副市長を務めていたという経歴の持ち主です。 LRT延伸には賛成の立場ですが彼の注目点はそこではなく、藤井浩人美濃加茂市長が告示日から支持を表明しています。 そう、「Fアラート」案件です。

(藤井市長が応援した候補の戦績)
(クリックやタップで拡大してご覧ください)

 先週も豊橋市長選で応援した候補が当選し、現在5連勝中。 その前の負けも都知事選で大ブレイクした石丸伸二氏なので実質勝ったようなものと考えれば15候補応援して落選したのは1名だけという圧倒的な勝率を誇り、連勝なるかが注目です。
 それに加え33歳男性候補へは大阪府四条畷市長の東修平氏(今期を以て退任。 市長候補を就職サイトで募集したコトで有名に)や新潟県津南町長の桑原悠氏、そして兵庫県芦屋市長の高島崚輔氏といった「若手首長界隈」の有名どころが宇都宮入りして応援演説するという熱の入れようです。 この旋風が自公推薦の現職をも吹き飛ばしてしまうのか。 今回取り上げる中では最大の注目選挙といって良いでしょう。


◎埼玉県・白岡市長選挙

 2期目を目指す現職に元市議が挑む一騎打ちです。

 現職70歳、新人47歳の23歳差対決となっており、現職は上田清司参院議員(前埼玉県知事)や衆院選で裏金非公認の自民系無所属を破り初当選した橋本幹彦氏(国民民主党)の応援を受けています。

 一方の新人は2期途中まで務めた市議を辞しての立候補ですが、市議になる前は2012年に日本維新の会(石原慎太郎代表時代)から、2014年に次世代の党から衆院選に立候補したという結構ゴリゴリな人で、現在自民党員の彼は総裁選で高市早苗氏に投票したコトをアピールするという、やはりゴリゴリな人。
 この市長選でも現職を批判する文書を市内にバラまいていており、それに対し現職は文書の信用性を問う公開質問状を出し、新人に対し「つける薬がありません」と呆れた言葉を公開するというバチバチな選挙戦が行われている模様。 実は非自民 vs 自民という構図になっており、コチラも注目です。


◎東京都議会議員補欠選挙 武蔵野市選挙区

 立憲公認で当選した現職が衆院選に出馬(⇒当選)して空いた議席を、立憲公認の元市職員と自民公認の元市議で争う一騎打ちです。

 衆院議員に転身した元都議が(当選当時)30代女性で注目度の高かったからか、両党とも女性候補を擁立。 立憲公認候補は38歳で現衆院議員の元都議と年代が近く、継承するイメージを出していますが今回が初の選挙という点が気になるトコロ。 元都議の五十嵐衣里衆院議員や野田佳彦立憲代表、松下玲子衆院議員(前武蔵野市長)が応援に入っています。

 一方の自民公認候補は対照的に市議を通算4期途中務めた実績充分の58歳。 長島明久衆院議員や福田かおる衆院議員が応援に入っています。

 そうです。 この選挙は武蔵野市長選(松下前市長が退任し、自民系候補が当選)や衆院選東京30区(元都議が当選し長島氏が比例復活)、東京18区(福田氏が当選し松下氏が比例復活)の流れを汲む選挙となっており、どちらが当選するかで五十嵐氏や福田氏に松下氏の影響力が問われてくるという、結構エグイ選挙戦が展開されています。 立憲が議席を守るか、自民が奪い反転攻勢のキッカケとなるのか、大注目です。


◎新潟県・柏崎市長選挙

 3期目を目指す現職に新人2人が挑む選挙です。

 皆様ご存知、柏崎刈羽原発が建つ自治体で、再稼働の是非が大きな争点となります。

 が、再稼働にあたって条件(内容はコチラのリンクを参照ください)を出し、基本的に賛成ながら即時稼働は認めないという「STAY」な状態を維持し続ける現状が賛否や論争が起こりにくくしており、あまりにも問題が大きすぎて大っぴらに賛否を語れない雰囲気も出始めているようです。

 そんな中で出馬した女性候補は再稼働反対を訴える市民団体の共同代表の方。 ほぼそのワンイシューで選挙に挑んでおり、再稼働に反対する市民の数を可視化するために立候補したものと思われます。
 議論すらしづらい雰囲気が漂う中で手を挙げてくれたこの候補には、ココロからリスペクト。 私は原発稼働反対ですが意見は人それぞれなのでそれは尊重して、最も怖いのは原発について語るコトが “タブー視” されて議論すら起こらなくなるコトです。

 と、いうのは、

同じく原発が建つ刈羽村でも村長選が行われる、ハズでしたが無投票で現職が「5選」しています。 これで5選中無投票は2回目。 前回は選挙が行われましたが対立候補が「国からの交付金を村民ひとり当たり300万配ります」などの荒唐無稽な公約を掲げる人で話にならず。 という感じで刈羽村は議論すら起こらない、起こせない状態になってしまっています。
 こうならないためにも、せめて柏崎市は4年に一度、選挙で民意を問うというコトを根気よく続けていただきたいと、願います。


◎広島県・安芸高田市議会議員選挙(定数16/20人)

 現職13人、元職1人、新人6人が立候補し、党派別では公明が1人、諸派が1人立てた、女性候補3人の選挙です。

 石丸伸二前市長が市を荒らしに荒らしまくった末に任期満了すらせず都知事選出馬にかこつけて市政を投げ出すという暴挙を喰らった安芸高田市。 新しい市長の下で議会や役所、そして市民との関係を再構築し始めた中で行われる市議選です。

 石丸氏のフォロワーが多く押し寄せると思っていましたが、彼がいなくなった市には興味が無くなったか、現職2人、元職1人、新人3人の計6人が出てきたのみとなっています。

 中でも注目は31歳の新人。 安芸高田市出身で大学を中退しお笑い芸人を目指して上京するも上手く行かず、会社員として働く中で石丸氏に影響を受け今回立候補してきたという、プロフィールは紛れもない石丸フォロワーなのですが、その方を含む石丸フォロワーの新人3人と石丸氏がリモートで対談する場面が有り、31歳新人の発言が癪に障った石丸氏が例によって重箱の隅を突くような質問をネチネチ浴びせるのですが、その方は石丸氏を尊重しつつ自分の意見は曲げず主張し、互角以上に渡り合ってみせたのです(詳しくはコチラをご覧ください)。
 石丸氏が君臨した4年間は間違いなく黒歴史でしょうが、それを無かったコトにするのは、サスガに勿体ない。 安芸高田市議会に旧態依然とした問題が有ったのも事実なので、反面教師でも部分肯定でもイイので今後に生かす人が出てくるのかが注目点です。

 とはいえ、石丸氏アレルギーが市内に強ければフォロワー6候補を落としにかかるでしょう。 落選4人(諸派の候補は話にならない主張をしているので、実質3人)なので誰かは受かる構図ですが、フォロワーが何人受かって当選者は何位に入るのかが、とても気になる選挙です。


◎愛媛県・四国中央市議会議員選挙(定数22/32人)

 現職16人、元職1人、新人15人が立候補し、党派別では公明と共産が2人ずつ、参政が1人立てた、女性候補5人の選挙です。

 と、いうワケで、参政党が候補を立ててきました。 28歳男性という、支持者の高齢化が顕著な同党においては貴重な人物だと言えるでしょう。

(2024年の参政党戦績)
(クリックやタップで拡大してご覧ください)

 落選10人という厳しい構図の選挙ですが、気になるのは参政党候補のSNSを見ても、神谷独裁者代表などの党幹部が現地入りする様子が今のところ見られないコト。
 これまでの例でいえば投票日前日に応援に来るコトを大々的に宣伝するトコロなのにそれをしていないというのは、先の衆院選で3名当選し勢力拡大に成功したら地方選挙まで手が回らなくなってきたのでしょうか。 地元のスタッフは多く活発に選挙運動しているようですが、果たしてそれだけで勝てるのか。 そして、神谷独裁者代表の現地入りは有るのか、注目です。

 それと、落選が多いというコトで共産が2人とも当選できるのか。 改選前の現職2名のうち1名が今年8月末に「一身上の都合」で辞職しており(体調が悪かったと言われている)、今回40代の現職に加え新人候補を立てているのですが、その方が候補者最年長の、御年81歳。 ・・・共産はコチラでも候補者擁立に苦労しているようでうす。


◎山口県・防府市議会議員選挙(定数25/31人)

 現職22人、新人9人が立候補し、党派別では自民が4人、公明が3人、共産2人、国民民主と諸派が1人ずつ立てた、女性候補5人の選挙です。

 その諸派というのが、幸福実現党。 新人候補がしれっと立候補しており、当選すれば同党55人目の地方議員が爆誕です。 国政進出はほぼ諦めた様子ですが、地方では議員を増やしています。 どっかのオレンジと違って離党したりも殆ど無いので歩みは遅いが着実に地方へ根を張っているのです。
 落選が6人と比較的多く、現職が25人中22人立候補しており新人同士で潰し合いが起こると思われますが、そこを勝ち抜けるコトは出来るでしょうか。

 それにしてもなのですが、サスガ山口県というべきか、改選前議会の会派名が、

防府市議会会派名簿 ※PDF)

 「絆」「正論」「日本の再独立を目指す会」「防府一番」というマッチョイムズ全開なのが、如何にもというか何というか・・・ しかも「日本の再独立・・・」の議員は、国民民主党公認なのですよ。

 玉木代表、躍進したりスキャンダルがバレたりとイロイロ御多忙なようですが、地方議員が何やってるかも気にかけて下さいね。

党首を続けられるのかどうか、知りませんが。



以上です
候補者の皆様の御健闘をお祈り申し上げます


「今週の選挙」テーマ曲
ギターパンダ / 選挙に行ったけど


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