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【まとめ】すべてのマーケターに伝えたいスマホゲーム業界のマーケティングのリアル
先日、「読み応えのある記事が目白押し!マーケターが押さえておきたいnoteアカウント58選」に僕のnoteが選ばれました。その記事を受けてヤプリのしまこさんが書いたnoteに僕の書いたスマホゲーム市場のnoteに対して以下のようにコメントをいただきました。
事業会社、ブランドやリテールの方々が、忘れがちなのがこのスマホゲームの市場です。顧客時間・可処分時間や可処分所得って、いまこちらに流れていることを忘れがちなマーケターさんが多すぎだと僕は思ってます。ちなみに僕はスマホゲームは一切しないのですが(Ingress除く)、流行っている(or流行りそう)なのは、一度はDLしてプレイしてみることにしています。
(そう、マーケティング界では存在感が小さい気がするんだ…)
スマホゲームは国内のスマホ市場をアプリ内課金と広告出稿を牽引してきた業種で、現在もスマホ市場の中でアクティブユーザと売上規模、そして広告出稿金額のシェアの多くを占めています。一度は遊んだことがあるという人も多いのではないでしょうか?あらゆる業種がスマホの同じ土俵で競争している現在において、注目すべき市場と言えると思います。
また、今後あらゆる業界で進むであろうMobile Transformation(MX)やDigital Transformation(DX)でも「ゲーミフィケーション」は重要なキーワードです。結果的にゲーム業界を経験しているマーケターの価値は高まると考えています。
そこで今回は、異業種のマーケターのみなさんにスマホゲームのマーケティングを知ってもらうことを目的に、業界マーケター歴10年目の僕が独自調査も交えながら解説していきたいと思います。異業種のマーケティングナレッジや情報交換をすることの価値がとても高い時代ですので、もし興味を持ってくれた方がいれば、ぜひ情報交換できればと思います。
まずは、スマホゲームの市場とユーザの動向から書いていきます。
スマホゲームの市場とユーザ動向のサマリ
◯現在のスマホゲーム市場の95%はFree to Playのビジネスモデル
◯スマホゲーム人口はスマホ保有人口の過半数を超える3,656万人
◯スマホゲームユーザの約70%が毎日アクティブに遊んでいる
◯ひとつのゲームだけで数百万MAUを抱えるゲームも多数存在している
◯スマホゲームに課金経験があるユーザは全体の30-40%の約1,000万人
◯日本国内において全アプリ内売上の80%は「ゲーム」カテゴリ
◯年間売上が数百億円規模のゲームも複数存在している
◯一つのゲームを長く遊ぶユーザも多くトップタイトルは超ロングセラー
◯国内市場は約1.2兆円超、グローバル市場は約7.2兆円超規模のマーケット
スマホゲームのビジネスモデル
スマホゲーム市場の95%はFree to Playのビジネスモデルと言われています。その中でもこれまではガチャを代表的な手法とするアイテム課金モデルが中心だったのですが、近年はビジネスモデルの多様化が進んでいます。
![画像8](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/27825466/picture_pc_c3bacdac34c229b1d33950320a934689.png?width=1200)
無料ゲーム[Free to Play]
①アイテム課金モデル
②広告収益モデル
③アイテム課金+広告収益のハイブリッドモデル
有料ゲーム[Pay to Play]
④買い切りモデル
⑤サブスクモデル
ビジネスモデルの多様化が進んでいる理由はスマホゲーム人口が拡大し、時間的、経済的、心理的などの観点でいろいろな楽しみ方が求められるようになったからです。市場の成熟化に伴い、今後はより一層「②広告収益モデル」や、「③ハイブリッドモデル」が伸びてくると思います。広告収益モデルが拡大した後は、広告がないゲームの体験価値が高まることで「⑤サブスクモデル」も伸びてくると考えています。
どれくらいの人がスマホゲームで遊んでいるの?
ファミ通が毎年発行している「ファミ通ゲーム白書」によると、国内のゲーム人口統計は4,911万人で、スマホゲーム人口は、ゲーム人口全体の約75%の3,656万人とされています。これはスマホ保有人口の過半数を超える約55%です。この数字に驚かれる方もいるのではないでしょうか?とても多くの人がスマホゲームを楽しんでいます。
ちなみに男女の差分はそれほど大きくありません(多少アクティブさは男性が強いですが)。この大きなユーザの規模感があるからこそ、スマホゲームはマスマーケティングとの相性も良く、テレビCMがたくさん放映されているのです。
![画像15](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/29041513/picture_pc_da34e76d0c10a4d8d6a388e0ee08d3d8.png?width=1200)
さらにスマホゲームユーザはかなりアクティブです。実にユーザの約70%が毎日遊んでおり、約95%のユーザが週に1回以上の頻度で遊んでいます。また、スマホゲームにはエンディングや全クリが基本的にはなく、ゲームがオンラインで日々アップデートされるため、気に入ったゲームを数年間遊び続ける人も少なくありません。これはSNSにも近い熱狂的な利用態度と言えると思います。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/27784254/picture_pc_b39e1b810ae0550ac0de04371d8343d7.png?width=1200)
出典:株式会社MOTTO ネットリサーチ(2020年5月調査)
一方、市場にはスマホゲームがあふれており、スマホエンタメの選択肢も増えた昨今においては、ユーザにゲームをまず選んでもらうことも、さらにゲームを継続してもらうこともとても難しくなっています。ゲームによっても大きく異なりますが、ユーザの継続率(RR)は、遊び始めた1日後に50%、7日後に25%、30日後に15%で比較的良いとされています。
このRRは数ポイント変わるだけでも非常に大きなインパクトがありますので、いわゆるオンボーディングの施策もとても重要です。
![画像14](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/28979865/picture_pc_85a9249b1062ecd0d9055fee192c61e4.png?width=1200)
どれくらいの人がスマホゲームに課金をしているの?
現在のスマホゲームはFree to Playのビジネスモデルが中心であるため、収益のほとんどは課金ユーザから生み出されます。課金ユーザの存在がとても重要になりますが、実際にどのくらいの人がスマホゲームに課金していると思いますか?スマホゲームに一度でも課金したことがあるユーザは全体の30-40%の約1,000万人、毎月アクティブに課金している人は全体の10%程度の約360万人です(これは多いと感じましたか?少ないと感じましたか?)。
![画像14](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/47982951/picture_pc_60620fda1e5a1a0dc06a2989c1faa0b1.png?width=1200)
出典:株式会社MOTTO ネットリサーチ(2020年5月調査)
また、ゲームシステムや運営経過年数によっても大きく異なりますが、単一のゲームの課金ユーザ率はMAUの約10%前後が一般的です。このユーザがビジネス上で重要なのですが、課金ユーザは毎月の入れ替わりもありますので、課金の有無に関わらず特に熱心にゲーム遊び続けてくれるユーザの存在がとても重要になります。
そのため、ゲームビジネスのマーケティングでは、「ファンマーケティング」や「コミュニティマーケティング」と言ったコアユーザに対する「ファンベース」的なマーケティングも重要なトピックになっています。これはフリーミアム型のビジネスモデルの業種とは構造が近いと思いますので、ぜひ情報交換したいポイントです。
![画像12](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/28065293/picture_pc_520e49a43833fbee7a3d13d48fa6ced9.png?width=1200)
どんなスマホゲームが遊ばれているの?
スマホゲームのビジネスモデルとユーザ動向を知ってもらった上で、実際に人気を集めているスマホゲームを紹介します。多くのユーザがアクティブに遊んでいる市場なので、ゲームも分散して遊ばれているのですが、特にユーザの支持を集めているゲームを示すために、2019年の年間ダウンロード数、MAU、アプリ内売上のランキングデータをまとめました。
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/27786729/picture_pc_392a2d91fa012a0f22c38f2244f741e1.png?width=1200)
出典:ダウンロード&MAUランキング:App Annie Intelligence
アプリ内売上ランキング:ファミ通モバイルゲーム白書2020
おそらく知っているゲームもあれば、全く聞いたこともないゲームもあるのではないでしょうか?これらのゲームはダウンロードランキングならば年間300万ダウンロード以上、MAUランキングならば月間数百万人が遊んでいるスマホゲームです。さらに先述した毎日遊んでいる人が70%というアクティブさもあり、DAUで数百万人が遊んでいるゲームも複数存在します。
これはゲームが超巨大メディア化していると言える状況です。ゲームとブランドのコラボレーションも、「Pokémon GO」と「マクドナルド」のコラボは記憶されている方も多いと思いますが、最近でも「#マクドナルドでGOしよう」などそのコラボは継続されています。また海外ではゲームのメディア化はさらに先行して進んでおり、「Fortnite」におけるバーチャルコンサートの盛り上がりもマーケターは注目すべきトピックです。
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/27799871/picture_pc_e56c9d8391f5bf7077f8a7019606f034.png?width=1200)
ダウンロードランキングにおいて知っておくべきトレンドは、カジュアルゲームのダウンロードが非常に多くなっているということです。もちろん以前からカジュアルゲームは人気がありましたが、近年のスマホ人口の全年齢への拡大によってさらに人気が加速しました(スマホゲームのダウンロードの内80%がカジュアルゲームと言われています)。
以下の表は2019年の月別スマホゲームのダウンロードランキングTOP50にランクインしていたゲームのジャンルを集計したものです。これはアプリビジネスにおいて、誰でも迷わず使えるUI&UXが優れているアプリが勝者になる構造と似ています。このあたりの詳しい背景に興味がある方は、ダウンロードが多いゲームを考察したこちらのnoteをご覧ください。
![画像15](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/28582521/picture_pc_e3b8e7c6dd81d124557ba2962a112a78.png?width=1200)
出典:【特別データ公開】国内スマホゲーム月別ダウンロードランキングTOP50を大解剖〜ダウンロード数が多いタイトルの共通点とは?
なお、日本国内においてアプリ内売上の80%は「ゲーム」カテゴリと言われています。そしてスマホゲームのアプリ内売上ランキングTOP10のタイトルの推計売上金額は以下になります(これは時折Twitterでもバズるデータです)。
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/27787118/picture_pc_bb2e1df8ed728fcecd34a7146ca8307c.png?width=1200)
MAU及びアプリ内売上ランキングにおいて知っておくべきトレンドは、長期運営タイトルが上位をほぼ独占しているということです。ランキングの図で色で示したように、3年以上、5年以上運営しているゲームの今なお上位に多くランクインしています。TOP3の「Fate/Grand Order(FGO)」は5年目、「モンスト」は7年目、「パズドラ」は8年目のタイトルです。
競合が次々に生まれるこの市場において、これだけ長い期間多くのユーザの支持を集め続けられるのは、優れたブランドマーケティングを行っているからです。スマホゲームのマーケティングは「新規ユーザ獲得にフォーカスしている」「CPA/CPI至上主義」と揶揄されることがありますが、これは半分は誤解です。競争が熾烈なので新規ユーザの獲得が重要なのは当然ですが、それ以上に唯一無二の優れたユーザ体験をゲーム内外で提供することで、エンゲージメントの高いファンを増やした結果がこのトレンドに表れています。
この点は他業界のマーケターにも参考にしてもらえると思うのですが、あまり知られていないように思います。特に「モンスト」と「FGO」はマーケティングの結果で大ヒットを続けている事例だと思いますので、ぜひ以下の記事をご参考ください。
参考記事
◯『モンスターストライク』の市場を動かすマーケティング論
◯「鬼滅の刃」コラボも話題 ミクシィ『モンスト』のリブート戦略
◯『Fate/Grand Order』経済圏
◯「進化するゲーム・ビジネス2020」
スマホゲームの市場規模はどのくらい?
国内のスマホゲーム市場は2020年はアプリ内課金だけで約1.31兆円超の市場規模となっています(メディアとしての広告売上を含めるとさらに市場は大きくなります)。
![画像14](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/61257886/picture_pc_f645459f44c54395a4e7c0da3918326d.png?width=1200)
ちなみにグローバルでのスマホゲームの市場規模は約7.2兆円超となっています。グローバルのトレンドではスマホの普及や通信の整備はこれからの国もたくさんあるため、まだまだ市場は伸びていくと考えられています。
![画像7](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/27819794/picture_pc_92459b88326b98c279c813daef7358c0.png?width=1200)
スマホゲームのマーケティングの全体像
これまで市場やユーザのトレンドを説明してきましたが、最後にスマホゲームのマーケターが行っているマーケティング施策の全体像と主な指標を紹介したいと思います。ビジネスの規模も予算も大きく競争も激しいからこそ、取るべき施策は多岐に渡ります。この図を見てもらえると、スマホゲームのマーケターの業務範囲の広さをイメージしてもらえるかと思います。
![画像13](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/28520278/picture_pc_b61018e904ccf09ea0bd8de18dd188ba.png?width=1200)
①新規ユーザプロモーション:ユーザにゲームを「始めて」もらう施策
②ユーザリテンション:ユーザにゲームを「継続」してもらう施策
③ファンマーケティング:ユーザにゲームを「特別」に感じてもらう施策
④コミュニティマーケティング:ユーザ同士の「関係」を支援する施策
⑤ユーザ復帰:ゲームを離れたユーザにもう一度「再開」してもらう施策
⑥マネタイズ:ユーザに「課金」してもらう施策(広告含む)
⑦ブランディング:ユーザに「好意的な想起」をしてもらう施策
⑧メディアミックス:アニメやマンガ等「他フォーマット」を展開する施策
上記のように、デジタルもマスも、オンラインもオフラインも、ゲーム内もゲーム外も、スマホゲームマーケターはあらゆる手段を使って、ビジネスの最大化を目指しています。この選択肢と守備範囲の広さこそがスマホゲームマーケターの仕事の醍醐味であり、大変さでもあります(これは「なぜスマホゲームのマーケティングは最高に面白いのか?」にも詳しく紹介しましたので、ご興味がある方はぜひ読んでみてください)。
スマホゲームのマーケティングのKPI
基本的にはスマホゲームのマーケティングもファネル構造で整理ができます。もちろん売上や事業貢献に対して、直接的な指標と間接的な指標があり、使い分けながら管理していますが、それらを統合した評価の難易度が高く、僕自身も含めて悩みになっているマーケターが多いと思います。
![画像14](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/28607198/picture_pc_beecb0aa473207b76b74fad12e5d2800.png?width=1200)
上記で紹介したマーケティング施策の全体像やKPIは、力点は違えども、他の業種で行っているマーケティングと基本的な構造は同じかと思います。代表的なマーケティングの施策事例も紹介したいと思うのですが、今回は力尽きましたのでまた次の機会で紹介したいと思います。
異業種間のマーケティング情報や意見交換の重要性
スマホゲームの市場とマーケティングの構造について解説をしてきましたが、いかがでしたでしょうか。スマホゲームはとても先進的でビジネスの成果に直結しているマーケティング施策もたくさん生まれています。ぜひ注目してみてください。
僕自身も他の業界のマーケティングのことをもっと知りたいと思っています。異業種のマーケティングから学べるポイントは多いと思います。悩みも多いので、ぜひいろんな業界のマーケターの方と情報や意見の交換をしたいと思っています。もし僕にご興味を持っていただけるマーケターさんが、ぜひTwitterやFacebookで声をかけていただければ嬉しいです!また、Twitterのフォローもよろしくお願いします!
いろんな業界のマーケターさんと情報交換をして、エンタメのマーケターの精度を高めていきたい!
— もっとい@エンタメマーケター🏠 (@MOTTOI) June 11, 2020
またnoteを書こうと思いますので、ぜひスキやシェアをお願いします〜!
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