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デモクラシー国家一般住民のベイシス知識一覧

前書き
デモクラシー国家の国民は、自らが衆愚にならないよう努力する必要があると思いましたので、ベイシス知識を一覧として、まとめてみました。




ベイシスとは日本語で基本、基礎、土台、下部構造と造語・翻訳された元の用語。


1 人間について

遺伝、本能、環境

遺伝と環境は大体は半分ずつといわれています。

Liberalと保守

アメリカのリベラル 保守という政治傾向は遺伝が関係するとと、いわれています。

人間の意志について

運動準備電位
私(自我・自意識)が脳に司令し行動しているのではない。実はその逆に脳が働きかけた後に私が意志したと感じているのです。
動物の脳は意識による運動や判断の前に準備していた

自由意志

自由意志は行動をやめることしかできないそうです。
「自由意志」は存在する(ただし、ほんの0.2秒間だけ):研究結果

感情

そもそも、感情というのは動物にもあるもので、生き延びるためにあるそうです。

自然界は危険に満ちてますから、とっさの素早い判断が生死を分けます。猛獣が迫ってきたときに、「これはライオンなのかトラなのか、喰われると死んでしまうから逃げようか」なんて理性的に考えていたら間に合いません。

考える前に身体が反応して全速力で駆け出している必要があります。そのために、反射的な生理作用である恐怖心などの感情が生れたのです。感情がなく、いちいち頭で冷静に考えて行動していた動物は、猛獣に喰われて絶滅しました。狩猟採集時代の人間も同様です。

いちいち頭で冷静に考えて行動する人は、なぜすぐに淘汰されるのか
管賀江留郎
https://gendai.media/articles/-/52426?page=2

 というわけで感情:パトスはロゴス(言葉、理性、論理)より先行してしています。

2 人間のコミュニケーションについて

メラビアンの法則に見るノンバーバルコミュニケーション

有名なメラビアンの法則は実は誤解されています。この研究は、言葉ではないノンバーバルコミュニケーションの一般的な状況の研究ではありませんでした。
誤解されたメラビアンの法則

それでも非言語コミュニケーションがコミュニケーションの中で無視できない大きな位置を占めていることを示しています。

人間など動物にはパーソナルスペース:対人距離があり一定の距離の中に入ると警戒状態になります。
それを解消するには、挨拶によります。
パーソナルスペースとあいさつ あいさつ行動 Greeting behavior

言葉と動機づけ

言葉では無意識に働きかけるのは困難です。

動機づけに閧する誤解の多くは,動機づけが,実際にやらねばならない動きとは 「別 」に,また動きの「前 」に,励ましや叱咤,あるいは報酬のようなものによって,人の「内」に作り出せるという考え方に由来する…それが成功裏に終わる例は驚くほどない


運動・動作・行動の流れの中の「意志」と意識 : 状況理論に向けて(動作の探究)
久保田新
https://doi.org/10.14900/cjpt.2005.32.3.28

人間のコミュニケーションではわかりあえないのが前提

コミュニケーションは伝わらないことが前提です。

コミュニケーションできる人数

充分なコミュニケーション即ち会議、チームワークできるのは5人までです。

友人になれるのは150人(ダンバー数)です。

また、学校などのクラスは20人程度までが望ましいそうです。

3 人間の集団 共同体 組織について

人間は群生動物

人間は集団を作って生きています。赤ちゃんから子供までは一人では生きられません。また現代においては食料をはじめ身の回りのものはすべて専門家集団によって作られ使用しています。

動物の規範(モラル)

規範は動物の本能とそれに基づく集団環境からの学習です。

アルファメール

ニホンザルなどサルの仲間は、食物が豊富に分散している環境から、餌が集中して多数ある飼育環境下に置かれると、アルファメールいわゆるボスザルが出現し、餌を独占し仲間を牛耳るようになります。餌の性状にも影響され小さな小麦の餌では指の小さく掴みやすいメスがボスザルになります。

powerを持つ人=権力者

人はpowerを持つ人=権力者になると脳が変化し共感できなくなります。

共同体

動物は親族・家族・仲間による共同体を作ります。

現代でも食糧生産をせずに、自然の恵みに頼っている狩猟採集民の村の人口はだいたい150人だと言われています。都市に住んでいる私たちでも、頻繁に連絡を取り合う仲間の数はせいぜい150人ぐらいです。
つまり、言葉をしゃべり、農耕・牧畜や産業を興して人口を急増させた現代でも、私たちは見返りを求めない家族のような小集団と、互いに役割を認識して助け合う150人ほどの共同体で暮らし続けているのです

「共感力を必要とする社会」
20191105 ()
京都大学 総長 山極 壽一
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/414895.html

人間の内集団バイアス

人間は自分の共同体・集団に対し愛着し他の集団を憎悪する内集団バイアスを持っています。

人の共同体は以下の特徴があります。

①郷土と認知された所に住んでいる
②誰もが知る神話
③共有された歴史
④独自の公共文化
⑤すべての成員に妥当する風習をもつ
⑥特定の名前で呼ばれている

『ナショナリズムとは何か』(筑摩)アントニー・D. スミス翻訳庄司信
大澤真幸書評

共同体と神話

組織

人はひとつの目的達成するために組織を作ります

なぜひとつなのか。それは人はマルチタスクできないからです。

4 集団の意志決定(意志決定)について

人間集団の意思決定は専制とデモクラシーの2種類あります。

註 Democracy:デモクラシーという政治体制は翻訳にあたり民主制、民主政、民主政治、民主主義、民本主義と多岐に訳されています。このうち「民主」は中国では君主のことを意味していました。そこでここでは以下デモクラシーと記述します。
参考
https://www.kobunsha.com/special/sinsyo/member/serial/pdf/ns008_sm0025.pdf


専制(独裁・寡頭) 、デモクラシー

専制は一人の権力者による独裁、複数人の権力者による寡頭制があります。共同体間の抗争など有事の際対応できるのは専制だけなので組織・共同体・国家は軍事組織の専制体制となっていました。


西洋の近代のフランスなどの国民国家においてブルジョアが国民会議において合議で意思決定なされるデモクラシー国家が誕生しました。

集団での意思決定=グループシンク

専制ではない集団の意思決定は通常一番低レベルの意見にあわせたものとなります。

多数決について

専制ではない多数による集団の意思決定方法に多数決があります。単純多数決は以下のとおり完全なものではありません。

単純多数決は 衆愚政治 へとつながる危険性をはらんでいる。多数決はつねに少数意見の無視をともなう「多数派による専制」( トクヴィル )の側面があり「最大多数の最大幸福」( 功利主義 )となる。

多数決では、参加者の知識や見解の差が無視され、公平さが保たれない場合がある。プロジェクトや選挙などで、経験や在籍年数、責任者や社員などの立場によっても意見は異なるが、多数決ではそれらが反映されない。

5 国家共同体について

新石器時代に巨大な祭祀施設遺跡が知られています。

この時代から後農耕が始まり初期の国家ができたと推測されています。

国家の変遷

国家の変遷についておおむね次のとおりと滝村隆一の滝村国家論では考えられます。

〈アジア的〉エジプト、メソポタミア等
〈古典古代的〉ギリシャ、ローマ
〈中世的〉  
〈近代的〉国民国家

注意すべきは、この世界史の発展段階論が、個別の歴史にあてはまるわけではないということだ。それはあくまでも数世紀を一区切りとして、世界史の中心を巨視的なレベルでとらえた論理なのだということを忘れてはならない、と滝村はいう。

滝村国家論をめぐってまとめ1
https://kimugoq.blog.ss-blog.jp/2018-05-20

近代国家 国民国家

近代国家は第3権力(貴族・国民から独立した軍から派生した官僚集団)です。

これは、初の国民国家であるフランスに由来します。

フランス革命前の議会は、三部会と呼ばれる身分制議会でした。三部会は第一身分(聖職者)、第二身分(貴族)、第三身分(平民)の三つの身分で構成されていました。
1789年に第三身分は自らを国民議会と称し、憲法制定まで解散しないと宣言しました。これがフランス革命の始まりとなりました。革命後国民国家となり政府という官僚集団とできました。

6 デモクラシーについて

デモクラシーとは

国民集団の合議による意思決定で運営される共同体国家

です。

古代ギリシャのデモクラシー ポリス国家

古代ギリシャのポリス国家約200のうちデモクラシー(民主政治)だったところはアテネ、 メガラ や アルゴス 、 エレウシス 、 エウボイア島 など少数でした。これらのポリスのデモクラシーはアテネのものと同じではなく、それぞれ独自の形態や制度を持っていました。 デモクラシーという言葉は、古典ギリシア語のデモス(demos人民)とクラティア(kratia権力・支配)を合わせたデモクラティア(democratia)が語源です。 古代ギリシアのデモクラシーの起源は明確ではありません。 アテネでは、紀元前6世紀から紀元前5世紀にかけて、貴族政から民主政へと移行する過程で、様々な改革や抗争がありました。 アテネの民主政はダイレクト デモクラシー(直接民主政)であり、市民全員が参加する **民会** や **民衆裁判所** における多数決による決定、公職者(役人)の **抽選制** や公職者に対する **弾劾裁判** などの制度がありました。 「市民」とは成年男子のことであり、成年女性やメトイコイ(在留外人)や奴隷には参政権が認められませんでした。 すべての人間の人格の平等や基本的人権という理念はありませんでした。

なお、ダイレクト デモクラシーは現代もスイスで行なっている政体です。

フランス革命によるデモクラシー国家の誕生

フランス革命により第三身分(ブルジョアジー)の代議員の国民会議のもと集団意思決定によるデモクラシー国家が誕生しました。これが他の国へと波及していきました。

デモクラシー

専制国では貴族に該当する代議士が支持者国民集団の代表として投票・多数決で選任され国会で集団意思決定し国家運営する政体です。

なお専制であってもデモクラシーであっても政府組織の官僚が実質行政執行をしていて、特に日本の場合は官僚内閣制と揶揄されています。

総力戦下における対応 戦時国家へ

ただし戦争となり国家総力戦体制になる際デモクラシー国家も一時的に専制の戦時国家になります。

「議会制民主主義を温存させたままの統治形態では、強大な軍事力の創出を可能とする、国民社会の徹底的な軍事的組織化、とりもなおさず、軍需産業への半ば強制的な転用や、際限なく拡大されかねない「軍需物資」の価格統制また暴利規制、さらに株式配当を含めた資本利潤の制限【国家的徴収】など、経済的支配階級であるブルジョアジーの社会的存立と自由経済体制自体に、平時では絶対に考えられない、大きな犠牲と制約を強制する国家的諸活動を、政府-官僚機構が首尾よく断行できないことは自明であろう。


政府-官僚機構が展開する国家的諸活動は、すべて議会裁可の法律形態をとった国家意志の厳格な規定に従わねばならないが、ブルジョアジーは議会に送り出した多数の政治的代理人を使って、彼らの階級的総意を、その実質的内容において法律にまで高めることが、できるからである。つまりブルジョアジーは、議会で成立させた法律を通じて、官僚を大きく媒介した形で実質支配している、といえる。


 そこで、ブルジョアジーにも大きな犠牲と制約を強いる、

戦時の強力な国家的経済統制は、直接の制度的には議会を実質的に閉鎖すること、

もう少し正確にいえば、政府,官僚機構が議会の立法権を実質的に剥奪・吸収することによって、直接に専制的統治権力として独立化することによってのみ、可能となる。

だからふつう、「戦争政府」とか「戦時内閣」などと、それが内に含む深刻な意味を全く考えることなくごく安易に用いられている、この「政府」=「内閣」とは、もはや国民の政治的代理人が議会に参集して裁可・決定する、法律という形をとった国家意志にもとづいてのみ、その統治・行政活動を遂行できる、厳密な意味での「政府」でもなければ、「内閣」でもない。

それは、法律形態をとった国家意志の裁可・決定権である立法権を議会から実質的に剥奪することによって、国民社会のすべての諸階級・階層的諸個人や諸組織の上に君臨して命令できる、唯一最高の専制的統治権力中枢へと、大きく生まれ変った代物なのである。


 それに伴ない、平時の多様な国家的諸活動を直接担掌する国家的諸機関は、今や専制的統治権力中枢へと転じた「戦争政府」を頂点とする軍事的国家権力として、一元的に再編成される。その際、とくに軍事的国家意志の決定権が、「戦争政府」首班【首相ないし大統領】とわずか数名の側近に集中される程の極端な専制的一元化を出現させるのが、むしろふつうといってよい。

もちろんこれは、作戦上の指揮・命令を中心とした、軍事的国家意志決定にとって必要不可欠の、迅速な機動性・極度の機密性・臨機応変の柔軟性・計画的一貫性などにもとづく、それ自体合理的な要請からである。

かくて戦時国家体制の下では、「戦争政府」裁可の、直接に軍事的性格をもった国家意志が、法律・命令を問わずあらゆる国家意志を押しのけて第一義的に君臨し、強力に貫徹されることになる。


 政治的支配層が国家総力戦の苛酷さを充分承知しているところでは、議会制民主主義から戦時国家体制への移行と転換において、国民社会が、個人および組織に結集した諸個人として把持している、すべての富・財産および自由なる活動の一切合財を、一時的に、つまり祖国の存亡興廃の危難を乗り切るまでの間は、政府-官僚機構に委託し、それに伴ない、戦争遂行上の軍事的指揮・命令を中心とした重要な国家意志の裁可・決定権は、実質上議会から「戦争政府」へ移譲される、という非常事態宣言を、国民世論のうねりと沸騰を背にうけて、議会が自発的に発議し採択するという形をとるだろう。

それができないで少しでも後手をふめば、第二次大戦時の仏国のように、たちまち侵略されて降服し、長い間屈辱的な傀儡政権下で苦しむ他ない。

英国は戦時国家への転換の最初の試行を、すでに一九世紀中葉のクリミア戦争時の「パーマストンの独裁」(マルクス)にもっており【拙著『唯物史観と国家理論』(三一書房)、一七九~一八七頁、参照】、その後とくに第一次大戦時には、ロイド・ジョージの「戦時内閣」をつくりあげていただけに、第二次大戦時には、危機が迫ると極めて俊敏に対応することができた。因みに狭い海峡をへだてた大陸の海と空から、怒濤のようにくり返し押し寄せた、ナチ・ドイツの軍事的猛攻をハネ返すために、それこそ「ファシズム」国家顔負けの、強力かつ徹底的な戦時国家体制を、創出しえたからである。


ここでさきの「経営者には決算報告を義務づけ、過剰利益には一〇〇パーセント課税されることになった」という指摘を想起する人もいようが、

そのことは、「戦時内閣」首班チャーチルが回顧録で語っている報告を一瞥すれば、即座に了解できる。因みに曰く、--

「私の同僚たちはかねてから特別権限を議会に要求する権利があるとしていたが、最後の数日間でそのための法案が準備された。それは、イギリス国民の生活、自由、財産に対して、政府が事実上無制限の権限をもつというものだった。一般的に法律上では、議会で承認された権限は絶対的なものだった。その法律は、『人々の身柄、役務、財産を必要に応じて、あるいは便宜上国家にあずけ、公共の安全、国土の防衛、公共秩序の維持、あるいは国王の命による効果的な戦争遂行、あるいは社会生活に緊要な物資、役務の充足などのため、政府によって防衛条令を制定することができる』というものであった」(前掲書、三〇三頁)」

日本ファシズム」論の前提
「丸山政治学」の正体(十)                    試行No.701991.5.
滝村隆一

権威主義国:専制国家ではないDemocracy (デモクラシー)について

7 政体循環論

古代ギリシャの国家論では国家を6分類しています。

そしてこれら国家が変遷していく政体循環論論(ポリュビオス)がでています。

その順は以下です。

政体は歴史的に循環するという理論で、古代ギリシャの歴史家ポリュビオスは、以下のように政体の6分類が順番通りに政体が変化して衆愚制となり滅び、また王政から始まって繰り返すと説明した。

王制(バシレイア) - 法律に基づく単独者支配
専制(テュランニス) - 法律に基づかない単独者支配
貴族制(アリストクラティア) - 法律に基づく少数者支配
寡頭制(オリガルキア) - 法律に基づかない少数者支配
民主制(デモクラティア) - 多数者支配
衆愚制(オクロクラティア) - 多数者の暴走

小説銀河英雄伝説と専制・デモクラシー

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