デモクラシー国家一般住民のベイシス知識一覧
前書き
デモクラシー国家の国民は、自らが衆愚にならないよう努力する必要があると思いましたので、ベイシス知識を一覧として、まとめてみました。
註
ベイシスとは日本語で基本、基礎、土台、下部構造と造語・翻訳された元の用語。
1 人間について
遺伝、本能、環境
遺伝と環境は大体は半分ずつといわれています。
Liberalと保守
アメリカのリベラル 保守という政治傾向は遺伝が関係するとと、いわれています。
人間の意志について
運動準備電位
私(自我・自意識)が脳に司令し行動しているのではない。実はその逆に脳が働きかけた後に私が意志したと感じているのです。
動物の脳は意識による運動や判断の前に準備していた
自由意志
自由意志は行動をやめることしかできないそうです。
「自由意志」は存在する(ただし、ほんの0.2秒間だけ):研究結果
感情
そもそも、感情というのは動物にもあるもので、生き延びるためにあるそうです。
というわけで感情:パトスはロゴス(言葉、理性、論理)より先行してしています。
2 人間のコミュニケーションについて
メラビアンの法則に見るノンバーバルコミュニケーション
有名なメラビアンの法則は実は誤解されています。この研究は、言葉ではないノンバーバルコミュニケーションの一般的な状況の研究ではありませんでした。
誤解されたメラビアンの法則
それでも非言語コミュニケーションがコミュニケーションの中で無視できない大きな位置を占めていることを示しています。
人間など動物にはパーソナルスペース:対人距離があり一定の距離の中に入ると警戒状態になります。
それを解消するには、挨拶によります。
パーソナルスペースとあいさつ あいさつ行動 Greeting behavior
言葉と動機づけ
言葉では無意識に働きかけるのは困難です。
人間のコミュニケーションではわかりあえないのが前提
コミュニケーションは伝わらないことが前提です。
コミュニケーションできる人数
充分なコミュニケーション即ち会議、チームワークできるのは5人までです。
友人になれるのは150人(ダンバー数)です。
3 人間の集団 共同体 組織について
人間は群生動物
人間は集団を作って生きています。赤ちゃんから子供までは一人では生きられません。また現代においては食料をはじめ身の回りのものはすべて専門家集団によって作られ使用しています。
動物の規範(モラル)
規範は動物の本能とそれに基づく集団環境からの学習です。
アルファメール
ニホンザルなどサルの仲間は、食物が豊富に分散している環境から、餌が集中して多数ある飼育環境下に置かれると、アルファメールいわゆるボスザルが出現し、餌を独占し仲間を牛耳るようになります。餌の性状にも影響され小さな小麦の餌では指の小さく掴みやすいメスがボスザルになります。
powerを持つ人=権力者
人はpowerを持つ人=権力者になると脳が変化し共感できなくなります。
共同体
動物は親族・家族・仲間による共同体を作ります。
人間の内集団バイアス
人間は自分の共同体・集団に対し愛着し他の集団を憎悪する内集団バイアスを持っています。
人の共同体は以下の特徴があります。
組織
人はひとつの目的達成するために組織を作ります
なぜひとつなのか。それは人はマルチタスクできないからです。
4 集団の意志決定(意志決定)について
人間集団の意思決定は専制とデモクラシーの2種類あります。
註 Democracy:デモクラシーという政治体制は翻訳にあたり民主制、民主政、民主政治、民主主義、民本主義と多岐に訳されています。このうち「民主」は中国では君主のことを意味していました。そこでここでは以下デモクラシーと記述します。
参考
https://www.kobunsha.com/special/sinsyo/member/serial/pdf/ns008_sm0025.pdf
専制(独裁・寡頭) 、デモクラシー
専制は一人の権力者による独裁、複数人の権力者による寡頭制があります。共同体間の抗争など有事の際対応できるのは専制だけなので組織・共同体・国家は軍事組織の専制体制となっていました。
西洋の近代のフランスなどの国民国家においてブルジョアが国民会議において合議で意思決定なされるデモクラシー国家が誕生しました。
集団での意思決定=グループシンク
専制ではない集団の意思決定は通常一番低レベルの意見にあわせたものとなります。
多数決について
専制ではない多数による集団の意思決定方法に多数決があります。単純多数決は以下のとおり完全なものではありません。
単純多数決は 衆愚政治 へとつながる危険性をはらんでいる。多数決はつねに少数意見の無視をともなう「多数派による専制」( トクヴィル )の側面があり「最大多数の最大幸福」( 功利主義 )となる。
多数決では、参加者の知識や見解の差が無視され、公平さが保たれない場合がある。プロジェクトや選挙などで、経験や在籍年数、責任者や社員などの立場によっても意見は異なるが、多数決ではそれらが反映されない。
5 国家共同体について
新石器時代に巨大な祭祀施設遺跡が知られています。
この時代から後農耕が始まり初期の国家ができたと推測されています。
国家の変遷
国家の変遷についておおむね次のとおりと滝村隆一の滝村国家論では考えられます。
〈アジア的〉エジプト、メソポタミア等
〈古典古代的〉ギリシャ、ローマ
〈中世的〉
〈近代的〉国民国家
近代国家 国民国家
近代国家は第3権力(貴族・国民から独立した軍から派生した官僚集団)です。
これは、初の国民国家であるフランスに由来します。
フランス革命前の議会は、三部会と呼ばれる身分制議会でした。三部会は第一身分(聖職者)、第二身分(貴族)、第三身分(平民)の三つの身分で構成されていました。
1789年に第三身分は自らを国民議会と称し、憲法制定まで解散しないと宣言しました。これがフランス革命の始まりとなりました。革命後国民国家となり政府という官僚集団とできました。
6 デモクラシーについて
デモクラシーとは
国民集団の合議による意思決定で運営される共同体国家
です。
古代ギリシャのデモクラシー ポリス国家
古代ギリシャのポリス国家約200のうちデモクラシー(民主政治)だったところはアテネ、 メガラ や アルゴス 、 エレウシス 、 エウボイア島 など少数でした。これらのポリスのデモクラシーはアテネのものと同じではなく、それぞれ独自の形態や制度を持っていました。 デモクラシーという言葉は、古典ギリシア語のデモス(demos人民)とクラティア(kratia権力・支配)を合わせたデモクラティア(democratia)が語源です。 古代ギリシアのデモクラシーの起源は明確ではありません。 アテネでは、紀元前6世紀から紀元前5世紀にかけて、貴族政から民主政へと移行する過程で、様々な改革や抗争がありました。 アテネの民主政はダイレクト デモクラシー(直接民主政)であり、市民全員が参加する **民会** や **民衆裁判所** における多数決による決定、公職者(役人)の **抽選制** や公職者に対する **弾劾裁判** などの制度がありました。 「市民」とは成年男子のことであり、成年女性やメトイコイ(在留外人)や奴隷には参政権が認められませんでした。 すべての人間の人格の平等や基本的人権という理念はありませんでした。
なお、ダイレクト デモクラシーは現代もスイスで行なっている政体です。
フランス革命によるデモクラシー国家の誕生
フランス革命により第三身分(ブルジョアジー)の代議員の国民会議のもと集団意思決定によるデモクラシー国家が誕生しました。これが他の国へと波及していきました。
デモクラシー
専制国では貴族に該当する代議士が支持者国民集団の代表として投票・多数決で選任され国会で集団意思決定し国家運営する政体です。
なお専制であってもデモクラシーであっても政府組織の官僚が実質行政執行をしていて、特に日本の場合は官僚内閣制と揶揄されています。
総力戦下における対応 戦時国家へ
ただし戦争となり国家総力戦体制になる際デモクラシー国家も一時的に専制の戦時国家になります。
権威主義国:専制国家ではないDemocracy (デモクラシー)について
7 政体循環論
古代ギリシャの国家論では国家を6分類しています。
そしてこれら国家が変遷していく政体循環論論(ポリュビオス)がでています。
その順は以下です。
政体は歴史的に循環するという理論で、古代ギリシャの歴史家ポリュビオスは、以下のように政体の6分類が順番通りに政体が変化して衆愚制となり滅び、また王政から始まって繰り返すと説明した。
王制(バシレイア) - 法律に基づく単独者支配
専制(テュランニス) - 法律に基づかない単独者支配
貴族制(アリストクラティア) - 法律に基づく少数者支配
寡頭制(オリガルキア) - 法律に基づかない少数者支配
民主制(デモクラティア) - 多数者支配
衆愚制(オクロクラティア) - 多数者の暴走