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ブラジル産地訪問① 栽培

ブラジルに行った際の体験を通じて、生産から生豆に至るまでを記載していきたいと思います!ブラジルといえば世界最大のコーヒー生産国ですが、それだけに生産・収穫・精選といった全てにおいて規模が全く他の生産国とは異なります!今回は生産に関して書いていきます。

ブラジルのコーヒー生産量

まずブラジルがどれほどのコーヒーを生産しているのかという話ですが、ブラジルは世界コーヒー生産量の約30%-35%を占めています。以下はここ数年の各国の生産量の推移です。世界では約60か国がコーヒーの生産をしているのですが、広大な大地や生産環境からもブラジルの生産量はダントツです。

これだけ生産量の多いブラジルが2021年裏作で減産見込み、さらには霜害によって2022年度が10%ほど減産見込みであることから、現在相場が高騰しております。。。コーヒー相場の急騰理由はこちらをご覧ください。

東京ドーム1,300個分の栽培面積「イパネマ農園」

私が訪問したなかでも最も規模の大きかった農園は、ブラジルの中でも最大の生産エリアであるミナスジェライス州にある「イパネマ農園」です。このイパネマ農園は農園総面積約6,000ヘクタール、栽培面積約3,200ヘクタール、総栽培本数1,400万本、年間生産量13万袋(60kg/袋)とコーヒー10憶杯分に相当するコーヒーを生産する世界最大級の農園です。なお三菱商事は本農園の株式を20%取得しており、私はこの三菱関連企業の生豆営業マンとしてお客様を産地にお連れしたのですが、アテンドとという立場でありながら、その運営規模に一緒に驚いたのを覚えています。

他国との生産環境の違い

以前の記事でコロンビアの収穫について書いたのですが、ブラジルの生産環境は他国とは大きく異なります。他国が標高の高い傾斜地にコーヒーを生産している傾向にあるのですが、ブラジルは標高約500mほどのなだらかな産地にコーヒーを植えています。傾斜地にコーヒーを栽培している産地では、機械収穫を行うことができず、人力で一粒ずつ収穫したり、しごき落として収穫するのですが、なだらかな傾斜で栽培しているブラジルでは機械にて収穫を行うことが可能なので、その分収穫の効率化・人件費の削減を行うことができます。

もちろん標高の高い産地で栽培したコーヒーのう方が品質は良いとされています。これは標高が高いところで栽培されたコーヒーのほうが昼夜の寒暖差が激しく、この環境に負けないように対応しようとするコーヒーの細胞が増加するためです。正直、標高500m-600m程の標高で栽培されたブラジルコーヒーは柔らかなマイルドな味わいになりやすく、標高1,300mで栽培されたコロンビアコーヒーではコロンビアのほうがコク・酸味・香りといった風味が強いです。しかしながら、その生産量の多さ、クセの無い味わい、価格の安さといった特徴からブラジルコーヒーは必要とされます。

もちろんすべてが標高600mで栽培されているコーヒーではなく、1,000m以上で栽培されているコーヒーもあります。これらのコーヒーは他国に劣らず高品質な味わいのコーヒーです。このイパネマ農園内でも通常品より高品質なコーヒーを生産するエリアがあり、そこでは区画毎に品種がわけられており、非常に高品質なコーヒーを栽培していました。

栽培に関して

コーヒーの栽培は種から発芽、発芽後ポッドに移し替え、移し替えた優良な株を産地に植樹、植樹後3年後に収穫可能という非常に気のながーい植物なのですが、これだけ広大な栽培面積があると、そのポッドの数量も半端ではありません。

以下の写真は栽培1年後の姿です。まだまだ収穫はできません。写真中央部に黒い管のようなものがありますが、これは水や肥料を放出するホースで、産地の各所に張り巡らされています。農園によってはヘリコプターで肥料散布をしたり、直径1kmほどの巨大スプリンクラーで散布するところもあるそうです。

このように非常に長い時間をかけられます。ただし、この3年間ほったらかしというワケではないのです。収穫するつもりはなくても結実した実は放っておくと虫に食べられたりして悪影響を受ける可能性もあるので、まだコーヒーとしては飲用はできないけども、来年の収穫に影響を与えない様に、結実したコーヒーを収穫するのも非常に重要な作業だそうです。

おわりに

今回はブラジルでの生産についてお話しました。次回は収穫についてお話していきたいと思います。ご覧いただきありがとうございました!

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