ブラジル産地訪問② 収穫
ブラジルに行った際の体験を通じて、生産から生豆に至るまでを記載していきたいと思います!ブラジルといえば世界最大のコーヒー生産国ですが、それだけに生産・収穫・精選といった全てにおいて規模が全く他の生産国とは異なります!今回は「収穫」に関して書いていきます。なお、過去のお話はこちらから。
収穫の方法に関して
コーヒー生産国のほとんどが人力作業ですが、ブラジルのような大生産国では機械による収穫が行われます。収穫方法によるメリット(左側)・デメリット(右側)は簡単に言うと以下のようになります。
ブラジルほど広大なコーヒー産地だと人力での収穫は不可能といって良いと思います。収穫を終える前に実が過剰に熟し、使い物にならなくなります。
後々のお話でも説明したいと考えておりますが、収穫されたコーヒー豆は後程選別作業というものにかけられるので、ここで混入した異物や未成熟果実(十分に熟していない豆)や熟しすぎた過完熟果実(熟しすぎて風味に影響を与えてしまう豆)は取り除かれる工程にかけられますが、100%取り除くことは難しいため、いかにして収穫時に完熟した果実のみを収穫するかが重要と言えます。
機械収穫
以下のような機械で収穫は行われます。見た感じガソリンスタンドの自動洗車機の縦長版です。
この機械はコーヒーの樹をまたぎながら、収穫部にて樹を振動させて揺すり、実が外れやすい完熟果実-過完熟果実を収穫します。(といっても勿論未成熟果実も混入しますが汗)
収穫部にパンしてみます。ムカデみたいでちょっと気持ち悪い・・・
この棒は無作為のつけられているわけではなく、収穫のタイミングで設置個所が違います。コーヒーの実は根に近いほうから結実していくので、収獲の初期の段階(ブラジルでは4月から5月にかけて)ではこの棒は下部にだけ、設置されます。5月から7月にかけては樹の上部まで成長したものを収穫するために、この棒を上部に設置し収穫を行い、収穫期の最終段階では機械全体に棒を付けまとめて収穫を行います。私の行った農園では3回に分けて収穫を行い、実の取り残しが無いようにしていましたが、別の農園では2回のところもあるようです。
振動され、揺り落されたコーヒーの実は収穫機内にある粗選別を通され、枝や葉っぱと分けられ、コンベアーを登り、収穫機と並走するコンテナに吐き出されていきます。
このような流れで収穫は行われます。収穫する機械と、収穫した実を受け取るコンテナ車は独立しているので、スピードを合わせて並走する必要があるのですが、このタイミングがズレると折角収穫した実が地面に吐き出されることとなります。こうなると土壌菌の影響や異物の混入の可能性があるため使用できなくなるため、非常に注意が必要です。
ちなみにこの収穫で実際にコクピットに入り、運転させてもらったのですが、7~8m程ある機械ですのでそこから見る景色は壮観で私の好きなガンダムに乗った気分です。(ガンダムのコクピット部分は18mに位置しているので、全然ちがいますけどね・・)
この機械を使うにあたり、樹高と樹同士の間隔、通路の確保といった作業が挙げられます。樹高は機械以上の樹高にならない品種を使用し、伸びすぎた場合はカットする作業が必要になります。機械が通ることを前提として、植樹の段階から幅を計算しなければなりませんし、機械が通る道が確保するためにと整地をしなければならないので、ひじょうに大変な作業だと思います。しかもこれが東京ドーム1,300個分の面積だから驚愕します・・・
さいごに
今回はブラジルでのコーヒー収穫(機械)に関してお話しました。次回は収穫後の精選工程についてお話させていただきたいと思います。読んでいただきありがとうございます!