トップダウンもモチベーションマネジメントも機能しない。 必ず結果を出せる「全員経営者組織」 「一人一人が自分の人生の経営者になれば個人も組織も加速度的に強くなる」
(読了目安20分前後)
まず、株式会社YOU THE OWNERと言う会社をつくらせていただきました!岡野と申します。HPこちらです。
私の自己紹介兼挫折ストーリーはこちらでお読み頂けますので、お時間があればぜひ!(こちらです。)
(*以下、文中のトップダウンマネジメントや、モチベーションマネジメントは一般的なマネジメント方法をさしており、特定の企業の方法論を指すものではありません。)
組織の悩みはどこの会社も一緒なのに、本質的な打ち手が世の中に流通してない!
私は、組織づくりのサポーターとして、僭越ながら顧問や研修講師的な立ち位置で関わらせて頂くことが多いのですが、どの組織も経営者・リーダー、メンバーの方々は、それぞれ階層ごとに同じような悩みに苦しまれています。
これらの悩みが、どの組織でも同じように発生するのは、古今東西、人間の心理行動が同じように働くからです。そして昨今、日本においてもいくつかの素晴らしい組織論が導入され成果を発揮しているものの、あくまで私の個人的な意見ですが、残念ながら部分的・表面的な課題解決にとどまっており、本質的な打ち手は打てていないように思います。
私は、創業から300人のフェーズまでのベンチャーで何度か成功と失敗を経験し、本当に幸運なことに、私の人生の師の吉田さん(*1)に師事できました。
そして、経営者だけでなく、社員も幸せになれて、組織も強くなるという素晴らしい組織論を学ばせて頂きました。
この組織論は「全員経営者マインドセット組織」を目指す組織作りなのですが、元は吉田さんがガリバー(現IDOM)というハイパーグロースカンパニー(創業10年以内で年間売上1000億円を達成した会社)を創業メンバーとして作り上げる過程で実践し、確立されてきた思想です。(全員経営者というとよく社員を搾取するのか!と思われてしまうのですが、実はその真逆ですので、ご安心くださいませ。)
この3年間、私自身吉田さんのサポートとして、マネーフォワードさんやニュースピックスさんといったユニコーンと言われるような素晴らしい組織にリーダー研修をさせて頂き、また、私の所属するLIFE PEPPERというベンチャーで、大切に日々この組織論を実装し発展させることによって、かなり深いところまで理解できたように思います。
そして、冒頭にあるような皆さんの悩みは、この型を実践して頂くことによって、かなり高い確率で解消できると確信しています。実は理論自体は複雑ではなく、常に本質とは何か?に立ち戻るもので非常にシンプルなものなのですが、組織全体が変革を遂げるのは半年以上の時間と、組織に対して本気で正対する覚悟が必要です。
それでは、なぜこの組織戦略がワークするのかを順にご説明させて頂きたいと思います。
そもそも組織がうまくいかない根本原因は何か?
皆さんの会社でも、いろんな組織課題が日々勃発していると思いますが、それらを根本の根本まで突き詰めると、下記に集約されます。
このように一人一人の未発達な視点が複合して、人と人との信頼関係が作れていません。
この二つを順に解説します。
①一人一人が他責になっているパターン
これはほとんどの方が心当たりがあると思います。仕事をしていれば日々チャレンジの連続であり、失敗はつきものです。しかし、その失敗をお互いがお互いのせいにして、人間関係が疲弊してしまっている状態です。仕事とはその人のパフォーマンスによって評価されサラリーが決まるので、自己保身に走ったり、攻撃的になったりすることは、そもそもの人間の性です。
だから、自然に人が集まって組織化すると他責の集団になってしまいます。
指示された範囲の仕事しかしない、失敗は自分のせいではない、目標達成できない言い訳から考える、こういった意識・行動はよくある光景ではないでしょうか。
②一人一人が全体最適視点を持てていないパターン
立場が違えば当然見える景色が違います。経営者は全部情報を持っていて全社に対して責任を負っていますが、一部門のリーダーや、メンバーは基本的にその部門の情報に閉じやすく、部分的な責任しか負いません。ある部門の人が、他部門のことに考えが及ばず、部分最適な意見しか持てないのは、これもまた仕方のないことです。
そもそもの役割が「自部門のパフォーマンスを最大化すること」であり「時には自部門に不利なことでも全社を優先する」という発想にはなりづらいのです。全社に跨る新しい評価制度や、事業戦略について反発が起こったりするのはこのためです。
トップしか、解決できない構造的課題
いかがでしょうか。いずれも特定の組織に固有の問題ではなく、人間心理に根ざした原因だと言えます。これにより、組織課題はどこでも大体同じという現象が起きるのです。
そして組織論について構造的な考察が苦手な経営者は「一人一人の意識が低い」「やる気がない」とこれらを個人の問題として帰結させ、随所で社員にカツを入れるか、もしくは、何をして良いかわからず諦めてしまうという状態になってしまいます。
同様に社員もこれらの構造的要因については、知識を持ち合わせていませんが、社員の立場ではここまで全社にまたがる根本課題に対処することはできません。メスを入れることができるのは、全権限をもったトップしかいないからです。
その意味で、組織課題はトップの英断なしに改善することはあり得ないと言えます。
それでは次に、これらの課題に対して、トップダウンマネジメントや、モチベーションマネジメントでは対処しづらいことを解説します。
トップダウンマネジメントではこれが解けない理由
トップダウンマネジメントといってもさまざまな定義があると思いますので、ここでは、目標設定や戦略立案など主に思考や意思決定は上位の人、実行はメンバーという役割分担をするマネジメントと定義します。
このマネジメントがこれらの問題に対して機能しない理由は以下3点です。
①人は自分で決めたことでなく、決められたことに対しては、他責になり安く、実行力が弱くなる。
人はなぜ?が腹落ちしていないと反発する生き物です。よって下記の順に決定事項に対する納得度が落ちます。
後者になるに従って、「自分にはもっと良いアイデアがある」という思いがつきまとい、実行段階で身が入りません。また、その指示がうまくいかなった時に、そもそも自分の考えではないと言い訳を生みやすくなります。
②現場の情報が適切に吸い上げられないので循環しなくなり、全体最適視点が弱くなる。
トップダウンマネジメントを続けていると、いわゆる心理的安全性が乏しいため、リスクをとって自分の意見を表明する姿勢はどんどん失われていきます。各部門でそういったことが発生するため、そもそも情報が行き渡らず、全体最適視点で戦略を考えることが難しくなります。
③そもそも優秀な人ほど離職していくため、人材のクオリティーが低下する。
優秀な人ほど、指示されるだけでなく、自ら戦略立案したいものです。人材不足により優秀層の奪い合いとなっている現代では、自分の意見が反映されない会社では真っ先にそいういった優秀層が抜けていきます。またあくまで人間関係をドライに捉えてしまう姿勢は、個人個人の成長意欲ややりがい、仲間との達成感や連帯感を奪ってしまい、経営を強く支えてくれるロイヤリティーの高い人材を育てることができません。これらの理由により、トップダウンマネジメントでは、他責や全体最適視点の欠如を解決しづらいと言え
ます。
モチベーションマネジメントでこれが解けない理由
次にモチベーションマネジメントについて考えます。まずモチベーションマネジメントとは、とにかくあの手この手で一人一人のやる気を喚起して、パフォーマンスを最大化しようとするマネジメントだと定義します。私自身かつてはこの考えに深く共感し、色々な施策にチャレンジしましたが、その中で行き着いた答えはこうです。
身も蓋もないことを言うと、そもそも組織にとって価値の高い人とは、モチベーションが高い時だけパフォーマンスが高いのではなく、モチベーションが低かろうが、安定的に成果を出す人材です。
モチベーションが高ければ頑張れるのは当たり前の話なのですが、そうでない時、例えば、自分が納得しきれていない戦略を実行する時や、クライアントからのクレームで疲弊している時なども、きちんと仕事ができるのがプロです。その意味でモチベーションマネジメントを主軸に置いてしまうと、モチベーションが低いのでパフォーマンスが出せないと言う言い訳を持ちやすくなります。
また、モチベーションマネジメントの根本的な課題は、対処療法であるということが挙げられます。マネジメントがメンバーのモチベーションを上げようと努力すればするほど、メンバーは他者によってモチベーション喚起されることになり受け身になってしまいます。他者によってモチベートされるのは、ドーピングみたいなもので結局長くは続きません。そして、失敗したり、怒られたり、体調が悪かったり、プライベートで大変なことがあったりしたら、途端にやる気がさがってしまいます。
さらには、そもそも誰かのモチベーションを上げると、誰かのモチベーションが下がるという構造的な矛盾も孕んでいます。(例:誰かを褒めると、その人に嫉妬して他の人のモチベーションが下がる。)
このようにモチベーションマネジメントでは受け身の姿勢を助長するリスクがあります。本質的には、本人が自分自身のモチベーションをコントロールすることができるという強いメンタリティーを育てなければなりません。
ではどうしたら良いか?全員経営者戦略が機能する理由
では、やっとここからソリューションにはりいます。もちろんそのソリューションとは、全員経営者マインドセット組織を目指すことです。
(吉田さん講演資料より抜粋)
図のように、全員経営者マインドセット組織は、管理・トップダウン型の組織とは対極に位置します。またモチベーションマネジメントが目指す一人一人が自燃できる理想的な姿を具現化できる戦略です。シンプルに定義すると、個々人が自律して考え、組織全体としても、短期ではなく中長期の結果を生み出していく組織戦略です。自律型人材というと一匹狼型のスペシャリスト集団をイメージしやすいのですが、そうではなく、あくまで全体最適視点を持った調和型人材を指します。
そして全員経営者マインドセットの中核をなすコンセプトは、「人材育成」です。少し抽象的ですが、一人一人が実は自分の人生の経営者なんだということを深く自覚することによって、あらゆる物事を他責にせず、組織に対しても本気で向き合うことができるので、個人も組織も加速度的に成長することができます。
全員経営組織と事業推進スピードの関係
組織メンバーの単独プレイが多く、市場変化も緩やかな業界では、戦略は経営陣が練り、右向け右で軍隊のように一斉に動くトップダウン組織の方が結果を残すでしょう。しかし、これだけテクノロジーの進化スピードが速く、刻一刻と市場の状況が変化する現代においては、メンバー同士も密に連携を取り合い、一人一人が自分の頭で考え、創意工夫をしなければ遅れをとってしまいます。
全員経営者組織はスタートしてから半年〜2年ほどは人材育成のための時間が必要ですが、一度自走できる人材が育ってしまうと、組織の至るところで大小のイノベーションが起き、爆発的に事業推進スピードが上がります。
どのようにして全員経営者マインドセット組織を作るのか?
ここでその方法論を細かく掘り下げると、新刊が発行できるレベルの長文になってしまうため、サマリーだけお伝えします。
(*今後一つずつ掘り下げて書くモチベーションが湧きますので、何卒、シェア・いいね!頂けると嬉しいです!w)
これらの戦略は全てやらないと機能しないものではありませんので、ぜひビビっときたら取り組めるところから取り入れてみてください。
戦略①書くだけで当事者意識が上がるMSマトリクス
図のようにマインドセットを縦軸、スキルを縦横においたマトリクスに、チーム全員が自分の名前をプロットしていきます。これにより、まずその会社の組織の強さがわかります。
(全員経営者マインドセットより)
マインドセット、スキルがともに高い右上のゾーンに分布する会社は非常に強いです。ただし、そのような組織は稀で、マインドセット100%のところに自信を持ってプロットできる人は非常に少ないです。
そして、組織全体をこの図で右上に押し上げていくためにはどうしたら良いか?を問いかけます。すると、まずはメンバー云々ではなく、リーダー自身が、本気で当事者意識に目覚め、右上を目指していく必要があると自覚することができます。部下に他責になるなという前に自分自身が100%他責にならない、当事者として振る舞わなければならないからです。
このとき、なぜ自分は100%のところに貼れないのか?なにが自分に不足しているのか?を振り返ることによって、自分の人生への向き合い方=当事者意識、と組織への向き合い方=全体最適視点やミッションフィットについて深く考えるきっかけを掴むことができます。
この「リーダーの目覚め」が全員経営者組織へのスタートラインです。経営者は、組織を強化しようと考える時、当事者意識が低い人材に目を向けてしまいがちですが、むしろこの比較的マインドセットの高いリーダー層を、一刻も早く100%にすることが大切なのです。
戦略②本気で議論し実行力を上げる「弁証法的会議法」
(全員経営者マインドセットより)
多くの会議はいつも発言者が同じトップダウン会議か、フラットに話し合おう!というコンセプトのもとに、徹底的に議論し尽くそうとして、いつまでたっても何も決まらないダラダラ会議に陥っています。トップダウンがいかに他責を生みやすいかはすでに述べた通りですが、反対に徹底的に議論するというスタイルも生産性が非常に低いというデメリットがあります。
弁証法的会議法は、これらの問題を解決します。
議論のプロセスに参加するので、他責になりづらく、またお互いの意見をぶつけ合うことで全体最適視点も学ぶことができます。しかも意見をぶつけ合う中でより高次の案を生み出すことが可能になり、戦略思考力も鍛えられます。
ビジネスの意思決定では49:51のような、どっちも正解!という選択肢ばかりで、あとはエイヤ!で決めるものが多いのが実状です。上司も、100%絶対にこれが正解だという確信を持って選んでいるわけではありません。なるべく多くの人が議論のプロセスに参加し、こういうことを身をもって体験することによって、「正解はないけど、選んだものを正解にする」という当事者としての覚悟が芽生え実行力が格段に高まります。
戦略③他責にならない文化を作る成長マインドTED
信頼しあえるチームを作るには、一人一人が成熟した人間に成長しなければなりません。どうしたら他責にならない人材を育成できるのでしょうか?ここで、そもそも「他責にならない」の意味を再確認します。
問題が起きた時に改善戦略を練るには、どこにどのようなエラーの原因があるか、その分布を見極めるための分析的な視点は大切です。それは対策の優先順位を考えるためです。
一方、成長のための他責にならないという考え方は、それとは違い、主体的な心の働きのことを指します。自分だったらどのようにして、改善できるのかを考え行動するといういうことです。分析的な態度では、Aさん:Bさん:Cさん=60%:30%:10%と責任の重みづけするのに対して、成長視点だと100%:100%:100%と、全員が100%の責任があると思えた方が、それぞれの成長に寄与し、組織の雰囲気も良くなります。より深い話は以前こちらに熱く語らせて頂いたので、よろしければぜひご一読くださいませ。(以前の記事:100億以上調達する様なベンチャーの創業メンバーだっけど、ダークサイドに落ちてみて分かったこと 「自分の人生は自分でしか幸せにできない」)
このようなマインドセットは、実は組織の中でボトムアップ的に体現していくことは非常に難しいです。なぜならば、Aさんが絶対に他責にしないと心に誓い、その態度をとり続けても、周囲が他責マインドを持ち続けていれば、時間の問題でAさんの心は折れてしまうからです。「私だけ自分に矢印を向けてこんなにも頑張っているのに、他の人は私のせいにばかりしてくる、、、つらい、、、」となってしまします。
そこで、我々が、成長マインドTEDと名付けているような合宿が必要になります。これは、皆が一斉に他責にならないマインドの必要性に「気づく」合宿です。一人一人が、過去失敗した経験、なぜ失敗したのか、どうすればよかったのかを振り返り、チームに対して自己開示することによって、お互いに他責にならないように頑張ろう!という雰囲気が醸成されます。すると、次の日から、「〇〇さん、他責になってるよ!」「やば!今の発言、自分他責だったわ!」のような発言が、日常会話に口をついて出てくるようになり、徐々にこの考えが浸透していきます。
よく経営者や、人事は行動規範・バリューを評価制度に組み込んだり、大きな声で唱和させたりすることがありますが、ほぼ意味がありません。強制することによって逆に反発心を産んでしまします。本来バリューとは強制されるべきものではなく、一人一人がそのバリューの本当の価値に気づき、腹落ちすることが大切なのです。よって、リーダーがやるべきことは、自らがそのバリューを信じ、全力で体現し、バリューの体現がいかに人としての成長に寄与するかを背中で語ることです。
戦略④部下と本気で向き合いマインドセットをあげるマネジメント
例えば、部下との1on1について考えてみます。トップダウンのマネージャーは、業務の話ばかりに終始してしまい、せっかくの1on1なのにも関わらず部下の内面に触れることができません。また逆に、部下のモチベーションばかり気を使ってしまうと、意識や行動の改善点について厳しめのフィードバックするこが難しくなってしまいます。
これらにかけている視点は、部下との信頼関係がどの程度の状態か、どの程度踏み込んで良いかと言うことです。しっかりとした信頼関係ができていないと、戦略のレビューも、耳の痛いフィードバックも、部下の心には届きません。まずはお互いの信頼関係を構築し、その次にマインドセットを向上させ、そこまでしてやっと戦略や業務の話をしっかりすることができます。
では信頼関係はどのようにしてつくることができるのでしょうか?
相手を自分の子供のように、本気で幸せになって欲しいと想うことです。それが言葉の節々で伝わるから、相手も自分を信頼してくれるのです。皆さんの子供の頃を思い出して頂くとわかると思いますが、親の厳しい躾もなんだかんだ聞けていたのは、心から自分のことを想ってくれていることが伝わっているからです。
しかし、多くのリーダーは、まだ関係ができていないのにも関わらず、厳しいことを伝えてしまったり、逆に、関係ができた相手にこそ甘い顔をしてしまいがちです。そうではなく、まだ関係ができていない時こそ、まずは相手を褒めて心を開いてもらい、関係ができた状態では逆に要求水準をどんどん上げて厳しいことも伝えていきます。
この関係性を軸に置いたマネジメントスタイルは、1on1に限らず、組織内のあらゆるマネジメントの場で前提になるものです。
(吉田さん講演資料より抜粋)
戦略⑤お互いに高め合う360度評価・フィードバック
一般的には評価の際、上司から部下へのフィードバックが行われていると思います。しかし、この手法には以下の問題点があります。
人は耳の痛いこと指摘されると、本能的に反発します。信頼・尊敬関係が築けているような上司からの指摘であれば、改善点も前向きに受け止めることがで来ますが、実際にはこのような深い関係まで握れている上司は少ないのが事実です。そうすると普段の業務においてもきちんと関係ができていないのに、フィードバックの時だけ、付け焼き刃で関係を構築することになり、当然伝えたいことが伝わらないという状況になります。よって、被評価者本人の成長を促進するためには、いかに上司部下の信頼関係に頼らず、仕組みで担保できるかが大切になります。
この方法が360度フィードバックです。複数人同士で本音・本気でお互いに成長ポイントを指摘し合います。複数人からフィードバックされると多様な意見が出てしまいそうに思うかもしれませんが、実際にやってみると本人への評価は大体同じものに収束します。すると本人も、矢印を自分に向けざるを得なくなるので、他責にすることができません。また、フィードバックする方も本音・本気で伝えなければならいないので、普段言いづらかったことをこの機会を通して、勇気を出していうことになります。これをきっかけにして、普段のコミュニケーションでも本音を言い合えるようになっていきます。
戦略⑥自ら学び成長する、マインドセットと習慣化
社内外問わず、会社が用意する単発研修は、ほとんど効果を発揮しません。それは参加者が「何がなんでもこの研修から吸収し切る」というマインドセットになれていないからです。その状態では研修での学び・気づきが瞬間的なものになってしまい、ほとんど定着しません。
そこで、最も効果的で確実に成長を促進できる方法が、気づき・振り返り日報です。各個人個人がその日の気づきを振り返り、自発的に日報としてシェアをします。ここでもポイントは強制ではなく、自発的に取り組むことです。人は自分の経験について成功・失敗の要点を言語化することによって、学びを定着させることができます。一方この時間を取らず、ただ漠然と毎日の仕事こなしてしまうと、なぜうまくいったのか?なぜ失敗したのか?の原因追求とその対策まで深掘りすることができず、同じ失敗を何度も繰り返してしまいます。また、チームメンバーの日報を読むことによって、他者の視点を学んだり、課題や悩みを共有することもでき、チームの距離感がグッと縮まります。日報が組織に定着するまでは長い道のりを要しますが、定着した組織では一人一人が自分オリジナルの研修を毎日行っているようなもので、組織としての集団学習力が異次元に上がります。
これに加え、仕事における「行動の習慣化」も絶大な効果を発揮します。日報も一つの習慣化の現れですが、例えば、「スラックのメッセージはすぐに目を通し一時レスを返す」「タスクをお願いするときは必ず期日とセットで依頼する」など細かい行動習慣もチェック項目にして毎日振り返ります。これらを一人ではなくお互いに切磋琢磨して行うことで、飛躍的にスキルを伸ばすことが可能になります。
戦略⑦経営情報をできるだけオープンにする本陣会議
人が成長するには、権限・責任・そして情報が必要です。全員経営者組織を目指すLIFE PEPPERでは、なるべく全体情報を取得してもらうために、毎週行われれる戦略加速会議を、誰でも参加自由にしています。本当にセンシティブな人事や財務周りの一部の情報以外は、可能な限りオープンに議論します。弁証法的会議でもすでに述べたように、重要な意思決定の場に参加し、議論のプロセスを体感することは、他責にならず、全社視点を身につけるために最適です。この会議には毎回役員やリーダー以外にも多くの人が参加します。同時に、誰もが自ら議案を持ち込んで、全社に関わるテーマを議論・意思決定をすることができます。議論の際は、役職は関係なく、しかも経営会議と同じように真剣勝負で行うため、たとえメンバーであってもハイレベルな議論を体験することができ成長が加速します。
これからの会社は、人材育成機関になることが必要
ここまで見てきたように、全員経営者組織のコアコンセプトは、一人一人の他責にならない強い心と全体最適視点を育む人材育成にあります。その結果自律した人材同士の集団になれば、組織内の信頼関係や、組織実行力が格段に強化されます。今回はそのヒントになるような7つのキラー戦略をご紹介させて頂きましたが、ぜひ皆さんの組織でも取り入れることができそうなものがあればトライしてみてください。また、組織づくりの勉強会も行っていますので、お気軽にご参加ください。
これからの組織は、いやがおうにも人材育成機関になる必要があります。なぜならそもそも採用でいい人を取ることは難しくなっているからです。
少子化に伴い、ますます優秀層の母数自体が減っていきます。また、副業やフリーランスが当たり前の状況になりつつある中で、優秀な人はあえて一つの企業にコミットする必要がありません。金銭報酬が良くても、自分のやりがいや成長が感じられない組織には入社しません。その企業から学べることはなんなのか?どんな経験ができて、どんな仲間と一緒に仕事を楽しめるのか?を重視します。このように今までは企業が個人を選ぶ立場だったのが逆転し、個人が企業を選ぶようになり、採用の難易度が跳ね上がっています。よってそもそも優秀層を惹きつけるためにも、人材育成の場となることが必要ですが、一方で採用に頼るのではなく、自社内で優秀な人を育成するというプランBもしっかり実行していかなければならないのです。
最後に想い!
皆様、ここまで長い長い文章をお読み頂き、心から感謝いたします。
全員経営者組織とは、一人一人が成長し、成熟した個人となることによって、同時に組織が圧倒的に強くなるという考え方です。「個人<組織」でもなく、「個人>組織」でもない、個人と組織がwin-winの関係になるものです。
私はLIFE PEPPERのミッションを議論する経営合宿の時に、吉田さんの言葉ですごくハッとさせられたことがあります。「たとえ、上場できたとしても、社員の平均年収が300万じゃ意味がない。経営者だけでなく、社員も含めて皆が物心両面の豊さを手に入れられることを目指したいよね」
この考えに基づいて全員経営者を目指すLIFE PEPPERは、皆で平均年収1000万を合言葉に、日々価値のあるサービスを提供できるよう全員が全力を尽くしています。ついつい耳障りの良い言葉で、やりがい!成長!と言っても、現実一緒に歯を食いしばって事業を作ってくれる社員の待遇を改善できない経営者は結構多いものです。それは社員に還元する余裕がなく、事業への投資を焦りすぎてしまうからだと思います。
しかし、経営者は、事業に向き合う熱量と同じ熱量で、組織とも向き合い、皆が頑張って結果を出した分だけ、皆が幸せになる、この循環を作ることが、本当に強い事業・組織を作ることにつながります。そうやって積み上げた人やカルチャーが、苦しい時にも一丸となって踏ん張れる、圧倒的な差別化戦略となるからです。
時代の流れとしては、ますますフリーランスのような個人の働き方が加速しています。しかし、人の幸せは、自分一人ではなく、誰かと泣き・笑いあってこそ実感するものだと思います。それが集団を作ることによって生き残ってきた私達人間の本質的な喜びであり、組織とはある意味、幸せの増幅装置だと思っています。
私はたまたま運よく、吉田さんに出会い教えて頂いて、この考え方に触れることができ、本質的な組織への向き合い方、仕事への向き合い方、そして人生への向き合い方を学ぶことができました。これからは、私がそうやって幸せになれる人を増やしていく番です。
最後になりますが、声を大にして、これだけはお伝えさせてください。
「仕事ください!(><)」
参考:全員経営者マインドセット 著者:吉田行宏
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