本書は、スタンフォード大学の人気MBAコースを書籍化したもので、権力の本質とその効果的な使い方について深く掘り下げています。著者は、ジャーナリズムの修士号、心理学の博士号を持ち権力と組織行動を専門に研究するデボラ・グルーンフェルド氏です。
権力の定義と誤解
本書では、権力を単なる自己利益のための資源として捉えるのではなく、あらゆる人間関係や役割の中に存在するリソースとして再定義しています。権力は、他者のためにどのように使うかが重要であり、個人の地位や権力の大きさではなく、他者に対してどのように貢献できるかが成功の鍵であると説いています。
権力とステータスの違い
権力と権限の違い
権力と影響力の違い
権力の二面性
権力には二つの顔があると著者は指摘します。一つは、権力を誇示し、他者に対して優位性を示すこと。パワーアップあるいはプレイハイと呼びます。もう一つは、権力を控えめに使い、他者との関係を重視することです。パワーダウンあるいはプレイローと呼びます。効果的な権力の行使には、これら二つのアプローチをバランスよく使うことが求められます。
権力の獲得とその影響
権力を獲得すること自体は悪いことではありませんが、権力の追求が自己目的化することが問題です。著者は、権力を持つ者がどのように行動すべきかについて明確な指針を示しており、特に集団の問題を解決するために権力を使うことが重要であると強調しています。
権力を使うための戦略
本書では、権力を効果的に使うための具体的な戦略が紹介されています。例えば、プレイハイという戦略では、自分を大きく見せる方法や、他者を引き下げる方法が説明されています。これにより、権力を持つ者がどのように自らの地位を強化するかが示されています。
本書の中でゼロックス社のジョンクレデニンが格上の部下に対応する為に上手に権利を行使した事例が紹介されています。
ジョンは、ゼロックスに入社した際、社歴20年でインターン時代の上司であったトムガニングの上司となった。ジョンは役職により正式な権力を手にしたが、社内での経験、ステータス共に格上の部下を持つことになりました。
ジョンはトムのお気に入りのレストランを調べてランチに誘い、この状況は私が望んだものではありません。あなたにはこれをウィンウィンの関係にすることができます。と切り出しました。
「私にはあなたの助けが必要です。私は信義を重んじる人間です。そして、あなたの味方であるつもりです。そのためにはあなたに助けてもらわなければなりません。もし、そうするつもりがないなら、せめて邪魔はしないでください。
ジョンは自分の役割を効果的に果たすために必要ならパワーアップするが、自分をサポートしてくれるなら自分もあなたに配慮すると明快に伝えた。この素直さが功を奏し、後に二人は親しい同僚となったそうです。
権力の社会的側面
権力は個人の自由に使える資産である一方で、社会的な文脈においても重要です。著者は、権力がどのように人間関係や組織のダイナミクスに影響を与えるかを考察し、権力を持つ者が社会に対してどのように責任を持つべきかを論じています。
権力の視点からみた理想のパートナーの選び方
自分の力や権利が制限されてしまうハイスペックな相手ではなく、やぼったいくらいの男性を選ぶべきである。言い替えると、うっとりさせてくれる相手ではなく、安心させてくれる相手を見つけるべきであると。
権力の持つリスクと責任
権力を持つことにはリスクが伴います。権力を誤用すると、個人や集団に対して破壊的な影響を及ぼす可能性があります。著者は、権力を持つ者が避けるべき行動についても言及し、権力の持つ責任を強調しています。
まとめ
本書は、権力の本質を理解し、効果的に使うための実践的なガイドです。権力を単なる自己利益のための手段としてではなく、他者との関係を深め、社会に貢献するためのリソースとして捉えることが、現代社会において重要であると著者は訴えています。この書籍は、ビジネスエリートだけでなく、あらゆる人々にとって有益な洞察を提供しています。
動画版は、こちら。