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Photo by
takaren
擬態
世界が静まりかえる沈黙の夜
僕の小さな心臓は声を上げる
それはそれは悲しい泣き声
僕のまぶたの裏というスクリーンは
暗闇の中に一日の物語をフラッシュバックさせる
あの時あの子に言った言葉
あの子から言われた言葉
ありとあらゆる僕の心が動いた瞬間を
一日の中の一瞬一瞬のワンシーンを
躊躇なく僕に映し出す
それを見る度僕の心は泣き声を上げて
僕の閉じたまぶたの僅かな隙間から
熱い液体がこぼれ落ちるんだ
枕は涙の海
布団にくるまってるはずなのに
暖かくも心地よくもなくて
むしろ寂しさが際立ってどうしようもない
眠ろうにも僕のまぶたの裏はやかましくて
眠ることさえままならない
人の関係ってどうしてこんなに
絡まっていて複雑なんだろう
もっと単純な1本の縁になればいいのに
感情という無数の線がある限り
また僕らの関係は絡まりあっていく
昼になって目を覚ませば
そこには偽りの僕がいて
昨日までの涙が嘘のように
無理に笑って過ごすんだ
虫や動物が生きていくために擬態をするみたいに
僕も生きるために本当の自分を擬態して
嘘にまみれて生きている
そんな自分がやっぱり嫌になって
また夜に僕の心は泣き出すんだ
昼もきっと心は叫んでるよね
ごめんね聞いてあげられなくて
ごめんね僕
生きることに本音は必要だけど
使うところがあまりにも少ないね
無視されるつらさはよく知ってるのに
僕は僕自身を無視してたんだね
今日からは少しづつ聞いてあげるから
もっと僕らで僕を作っていこうね
本当の僕を
泣きたくなる夜を減らそうね
僕ら少しづつ強くなろう
僕らちょっとずつ歩いていこう
時々誰かの真似したり
時々誰かの振りをして
上手に使い分けて生きていこう
でも心の奥底でしっかり自分を持っていよう
ほら今日が始まる
僕ら一生懸命生きてみよう