うとみ姫とがらくたの玉座
あ、またか。庭先に投げ入れられたゴミを見て、亜子はため息を吐いた。このところ毎日だ。道路に面した家は便利に見えて、こうした気苦労が絶えない。
母は庭に異物があるのを極端に嫌う。亜子はそれを握りしめて玄関へと戻った。異臭が充満していたが、慣れていて気にはならなかった。生活ゴミが散乱し、床が見えなくなった廊下をずんずん進むと、その先がキッチンだ。
締まりっぱなしのガスの元栓と、埃の詰まった電子レンジを横に、亜子は冷蔵庫のドアを開けた。微弱な冷気と僅かな光。電気は通っている。通