組織と個人が共にhappyになる、全員へのコーチング
■会社ありきの個人?
会社のビジョンはあっても、従業員はそれに共感して集まっているので、
その実現にコミットすることが前提になっていて、
会社の枠を超えて個人がどう生きるか?
までが、扱われている企業ってまだまだ少ないと感じています。
あくまで会社として、”こうあるべし”というのが前提としてあって、
その範囲の中で個人がどうしたいのかを考えましょうみたいなことが非常に多い。
ですが、僕ならそういう風にはしたくない。
シッピーノという茅ヶ崎のベンチャーでCHRO(人事最高責任者)をしていますが、そこで目指しているのは個人も組織も両方ハッピーになる組織を作るということです。
今回は、
個人も組織も両方ハッピーになる組織を作るために実際にCHROとして行なっていることなどを紹介したいと思います。
■個人も組織もハッピーな組織とは
そもそも、僕の言う個人も組織もハッピーになれる組織とはどんなものかというと、「個人のゴールと価値観」が明確になっていて、それが「会社の掲げるビジョンやミッション」と重なっているほど実現できるものだと考えています。
そのためにCHROとしてやったことを紹介してみます。
まずやったのは、全員に対するコーチング。これは現在も継続中で、社員・パート・業務委託パートナーかかわらず、全員受け放題としています。
コーチングを通して、会社のメンバー全員(外部の人も含めて)の個人の価値観を発見することとゴールを作るということを進めました。
その際には、シッピーノのメンバーであるということは一度横に置いてもらって、趣味や家族など仕事以外のことまでを含めた自分の人生のゴールを描いていきます。
■人生の全領域でゴールを設定する
先ほどから何度か出ている”ゴール”という言葉についても説明させてください。
コーチングにおける"ゴール"というのは、
このままいけば到達できそうな未来ではなく、現状の延長を超えて実現したいこと。
現状に縛られず、これがやれたら最高だなと心から思えるようなもので、現状の外のゴールと呼んでいます。
メンバー全員に、ゴールを人生の様々な領域で設定しています。個人がどうありたいか、一人の人間として人生全体をどう充実させていきたいかをこれだけ重視してサポートまでする会社はまだまだ珍しいと思っていますが、僕はこれを当たり前にしていきたいと思っています。
人生の様々な領域というのは、8つの領域に分類しています。
仕事、趣味、お金、社会貢献、健康、家族、知性、人間関係の8つに分かれていて、各エリアに対して自分の価値観に基づいたゴールを作ってもらっています。
■仕事とお金の違い(補足)
8つの領域の中で「仕事とお金っておんなじじゃないの?」とよく質問がありますが、別です。
たとえば、売れない芸人がいたとします。稼ぎのほとんどはコンビニ店員のバイト。しかし、彼の中で仕事(誰かに価値を提供する)とは芸人としてたくさんの人を喜ばせること。
この場合、彼は、お金を稼いでいるバイトはお金の領域に設定して、芸人としてたくさんの人を喜ばせるということは仕事の領域に設定することになります。
「自分は何のプロとして、どんな人の役に立ちたいか?」
ということを決めて、その人達に価値を提供しまくるというのが仕事の定義です。
とはいえ、生きていく上でも、ゴール達成していくためにもやっぱりお金は必要。それで、お金はお金で考えましょうということで、お金と仕事は別になっているんです。
■ゴール設定の3つの原則
ゴール設定の際には3つの原則があり、
この3つのポイントを押さえてゴールを設定していきます。
僕が全員にコーチングをしているというのもありますし、レクチャー動画を作って社内で共有してもいます。
そうすると、社内でコーチングの言葉が共通言語になっていくんですね。
例えば、メンバーの間で「現状の外に出てる?」とか
そういう会話が普通に行われています。
コンサルとして会社の一部の人にだけやっていると社内でコーチングを受けた人と受けていない人の意識ギャップが起きてしまったりしますが、それがなくなります。
それはさておき、
ゴール設定の3つのポイントですが、
1. 現状の外である
2. want toである
3. 人生の全領域に設定している
この3つになります。先ほどまでの章で書いたことのまとめですね。
現状の延長ではない、やりたくて仕方ないと思える、8つの領域それぞれのゴールを設定するということです。
■全員最初からピシッとゴールが決まるわけではない
とまあ、ここまでの話をすると、ピシッと全員が意識高くゴール設定をしているみたいですが、実際はそうでもありません。
8つのエリアのゴールを全員が設定できているわけではありませんし、仕事より趣味のゴールの方が優先度が高かったりもします。
でも、それはそれで良いのです。本音であれば。
「仕事にやりがいを作りなさい」みたいなことガミガミ言うのは違うなと思うんですよ。メンバーそれぞれの人生を充実させることをまず優先してもらえばいいと考えています。
シッピーノのメンバーは、趣味や健康や人間関係をすごく大事にしている人が多いのですが、結局それらを大事にすることが仕事にも繋がってくるのではないでしょうか。
■外部コンサルではできない柔軟な対応
コーチングの頻度ですが、毎週やっている人もいるし、月に1回という人も、3ヶ月に1回の人もいて、時間も30分から1時間として柔軟にやっています。
簡単に言えば、メンバー(外部メンバーまで含めて)は全員コーチングを受け放題ということにしています。
外部のコンサルとしてやっている時だと、何回セッションしたからいくらといった具合だったので、そういうことは難しく、対象も経営層やマネージャーに絞られていました。
受ける相談内容なども、コンサルとCHROとしてではかなり変わってきます。
とにかく、現状の延長を超えたゴール設定をしようと言う前に、まず「今の業務で自分のモチベーションが上がらなくて困ってます」とか「人間関係で悩んでます」とかそういう相談も受けるようになりました。
こういった困りごとに対して、ゴールゴールと言っても有効じゃない時もあるわけで。CHROなら、相手のコンディションに応じてゴール設定の方に行くか、相手の目先の課題を解決してあげるかってことを見極めて対応することができます。
■オンラインでずーっとコーチングしている感覚
コーチングは、1on1でやるのが基本ですが「誰々との関係に悩んでます」ということなら、その人を呼んで僕と3人での三者セッションにもします。直接的にお互いのモヤモヤの解消とか、お互いの価値観の相互理解とか、二人にとってのゴール設定とかすることによって解消していくこともできます。
また、slackを使ったチャットでのコーチングもしていて。緊急を要することとかちょっとした悩み相談はslackでとか。ちょっと10分だけと言って通話したり。そんなことも柔軟にやれています。
感覚としては、なにかあった時にすぐやり取りができるので、ずっと1on1で僕と全員が繋がっているようなイメージです。
これくらいやってメンバー個人個人の価値観とゴールを明確にした上で、会社のゴールとの重なりを増やしていく。その先に個人も組織も両方ハッピーな組織があると思います。
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