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【復刊】ほぼ月刊モー 〜ボーイミーツオンリョウ〜
七月某日、我々は東京タワーで開催されている『祝祭の呪物展』を観覧するために真夏の太陽の元に集ったのだった。
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『祝祭の呪物展』
会期 七月十七日〜八月三日
場所 東京タワー三階
主催・プロデュース:アシタノホラー®️ 監修 : Apsu Shusei
呪物コレクターである田中俊行氏の数多の蒐集物の一部が展示してあるこの企画は本年度で三回目の開催となる。
ちなみに田中俊行氏は我がモテアマスの元住人である僕、ぞの とかなり似ている。
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この写真、筆者には五周年祭で披露された24時間ラジオのTシャツを着た僕、ぞの に見えるのだが如何だろうか。
ドッペルゲンガーは出会ってしまうとホンモノのほうが消えてしまうと言う。僕、ぞの と田中氏、どちらがホンモノなのかいつか検証してみたいところである。
呪物展
オカルトマニアを自称する我々であるが、決して広くはないギャラリーの一角に呪物をひと目見ようとひしめき合う衆生の多さに呆気に取られた。こんなにも多くの人間が呪物を求めているとは。
アイデンティティが揺らぎそうになりながらも、人々の群れへと踏み込むのだった。
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こうして眺めていると空間の異様さに呑まれて忘れてしまいそうになるのだが、人間や動物の骨や皮、体液、体毛が十畳ほどの空間に密集しているのは異常である。しかも全世界から集められていて呪物同士には縁もゆかりもない。全く知らない人骨同士が並べられている様子はなんだか面白くもある。
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女児の人形は、田中氏のために無念の死を遂げた母子の体液を腹部に仕込み、媒介にすることで彼女らの魂を乗り移したという。
赤の他人の外国人のために人形に宿った母子の魂は一体どのような気持ちで今を過ごしているのだろうか。筆者はめちゃくちゃ気になるのであった。
筆者個人のベストオブ呪物はこちらである。
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初っ端に見かけてかなり気に入ってしまった。珍妙でおどけたような表情に陽気な服装で軽快にスケボーを乗り回しているが、立派な呪物だ。効果は縁切りだそうだ。
不運でお馴染みの筆者は、京都へ行く度に安井金比羅宮に行くほど悪縁切りに執着しているのでどうにかご利益にあやかりたいもの。
そして一番怖かった呪物はこちら。
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誰かの母の魂が宿っているそうだがどうやらそうではないとのことでなんだかよくわからないのも不気味である。本来、怖いものではなくお守りのような存在だということなのだが、ガンギマリで血走った目に耳なし芳一のような衣装、そして赤い赤子に見た瞬間、背筋がヒヤリとした。
呪物の周りにあるお菓子などはおそらく観覧者がお供えしたものだと思われる。残念ながら我々は持ち合わせがなく、供えることが出来なかった。
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肝試し
さてそんな無邪気に呪物を眺めて夏休みを謳歌している我々は数日後、気付けば八王子へと車を走らせていた。
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急に霊障に遭いたくなった我々は、血眼で都内の心霊スポットを探していたのだが、心霊といえば山や海、廃墟がほとんどで人間の生気溢れる溢れる二十三区内にはなかなか存在しない。(人間が集まるところに霊ありとの説もあるが割愛)
そこで浮上してきたのが東京の西方に位置する八王子市。ここには特にトンネルを多く含む心霊スポットが存在しているようだ。幸いにも調査員のひとりが運転を買って出てくれたので、便乗して怨魔の潜む地・八王子へと向かうのだった。
筆者はホラーやオカルトの類が大好きなのだが、致命的にビビりなのでここで慌てて持ち出したあり合わせの悪霊退散・浄化グッズを紹介しよう。
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やはり原初古来から伝わる清めといったらコレ、アルコール。本当なら日本酒がベストな気もするが、マァ日本の酒だしなんか度数も高いし(六十度)強そう。という気持ちでチョイス。
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そして塩。浄化には欠かせない存在である塩だが、合成ではなく海の要素が含まれているほうがいいとかなんとか。運よく自然の塩が手元にあったのもまた運命だろう。ちなみになぜ塩が浄化に効くのか調べたがイマイチピンと来なかったので割愛する。海要素が効くっぽいぞ。
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最後にこちら、月刊ムー最新号(2024年8月号)に付いてきた獄啓道・き りん師謹製の霊符である。筆者は不勉強のため、き りん師も獄啓道もわからないのだが、「すべての人に向けた先祖供養の護符」と謳っているのできっとさまよえる御霊も供養し我々を護ってくれることだろう。
三種の神器をもっていざ、八王子!
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小峰隧道
まず我々が向かったのは小峰隧道。あきる野市と八王子市の間に位置するトンネルの旧道だ。少女の霊が出るとか出ないとか実しやかに噂され、マニアの間では結構有名なスポットである。
三軒茶屋から約2時間、フジファブリックを流し”夏”を楽しんでいると前方から大きな破裂音が。
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なんと小峰隧道の間近で地元住人によりひっそりと花火大会の鑑賞が行われていたのだ。なぜだかとてもゆったりとした打ち上げ速度の火の玉に思わず我々も参戦。地元の方々に倣い、熱を保ったアスファルトに座り込んで大輪の花を見上げる。最後の花火に今年もなったなあ。
すでに満足してしまった感があるが、気を取り直してトンネルへ。
新道の脇の小道に進路を発見。
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なんだか雨も降り出して雰囲気が出てきた。
光ひとつない闇に飛び込む調査隊。果たして生きて帰ってこれるのだろうか…。
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草木が生い茂り蜘蛛の巣が張る曲がりくねった道をしばらく歩くと件の隧道が。
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あまりにも心臓の強い調査員がズンズン奥へ進んでいく。彼はそのまま闇へ消えてしまった。
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帰りに入り口で地元の高校生と思われる集団と出逢った。さわやかに挨拶を交わして別れると後ろから悲鳴が聞こえた。
そういえば、なぜ廃道なのに電気がついているのだろうか。
旧A病院
続いて向かうのは、”出る”と噂の廃病院。サマーランドへ向かう道すがらに見える不気味な廃墟に覚えがある人もいるだろう。
しかしここ、見えるはずなのに全然辿り着けず…。迷いながらようやく前方に白亜が…。
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手書きで赤字の「立入禁止」の文字。筆者はビビってしまい車から降りれず。怖さのあまり持ってきた泡盛を煽るなどしていた。
事前情報によると管理されていて中には入れないとのことで、実際に監視カメラとパーティションが張り巡らされていた。
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藪を掻き分ければあるいは…と思わせる佇まいだが、アラサーの大人達なので社会的影響も考慮して大人しく引き下がることに。
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八王子一トンネル
八王子のバイパス(※)の下、鑓水インター付近に位置する廃トンネル。近くのM霊園へと繋がる予定だったが施工を中断され廃道に。工事関係者の幽霊が出るとか出ないとか。
※筆者は運転免許がないためよくわからないので情報が間違っているかもしれません。
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このトンネルが本当に分かりにくく、ネットの先駆者達の足跡を頼りに探すもなかなか見つからず。
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必死に草むらを照らしながら歩くこと数分。それらしきものが。
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ネットでは”出口”と称されている場所を発見。確かに人間が通ったと思われる痕跡がある。
完全に草木が生い茂り雨上がりの露もある暗闇に筆者は完全に戦意喪失。草むら…ニガテ。
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しかし果敢に挑む調査員たち。
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どうやら柵の近くに下へと降りられる道があるらしい。情報によると下は竹林となっているそうだ。ビチャビチャと足が汚れてしまう様子が目に浮かぶが彼らは無事だろうか…。
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相変わらず小心者の筆者は、触らぬ神に祟りなし、と唱えながら”出口”で塩を振り撒き頭からかぶってサイババごっこをしながら彼らを待つのだった。
結果
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残念ながら霊障に遭うことは叶わなかったが、よい夏の思い出ができた。誘われるように勢いで飛び出してきたが、かなりの恐怖体験だった。来年もまた調査に出掛けることを誓い、解散。
ほぼ月刊モーは調査員または勇敢なる冒険者のオカルト体験談を募集しています。
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余談
霊が苦手なものと言えば”生”に溢れる行為。
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性と
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肉
”生きる”コンボを決めることで除霊完了。
?
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連れて行った同行物に霊を宿らせてオリジナルの呪物を作ろうとしていたのだが、すっかり忘れて人間だけで盛り上がってしまった。
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ファッション住人LINEが写真の投稿で盛り上がっていたのでこっそり恐怖写真を紛れ込ませてみようと試みたのですが秒でバレました。
かなり蛇足ですが、後日筆者に全然関係ない恐怖体験があったので気になる方は連絡ください。
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