見出し画像

総務部の守備範囲の広さに驚いた話

お友達のファイナンシャルプランナーに、たいへん個性的な方がいる。
山口京子さんという、割烹着がトレードマークの歌ってる踊れるFPさんだ。

彼女のおかげで、新NISA制度がスタートする前から投資を始める事ができた。
銀行に預けておいても1%以下の利子しかつかない今、ファンドでは20%を超えるリターンが出ていて、とても感謝している。

私は猜疑心の強い人間なので、株や投資はギャンブルのように怪しいものだとずっと思っていた。
だから「長期的に見たら、世界の経済は右肩上がりに成長するから、余裕があるなら投資に回した方がいい」という記事を読んでも全く信用していなかったのである。
そこを打ち破る決め手になったのは、京子さんの一言、
「だって、ぢーこちゃん、いまさら馬の時代に戻 ると思う?」
だった。
……うん、たしかに石油が枯渇しても、きっと馬に頼るようにはならないだろうな、と思って今がある。
すごい説得力だった。

で、その話はとりあえず置いといて。
今日話したいのは、金融系の話ではなく、昔、在籍していた会社の総務部の話だ。
きっかけはこれである。

売れっ子FPなのに、すぐに買い替えたりしないんだなあ、物持ちいいなあ、とこの投稿を見ていたら、30年以上前の記憶が蘇った。

それは私が入社2年目の春だったと思う。
当時の女子社員には、会議の時のお茶汲みという仕事が半強制的に義務付けられており、給湯室には茶葉と急須と湯呑みが常備されていた。
平成ごく初期の話だ。

ある日、急須の蓋を洗っているときに、落として真っ二つに割ってしまった。
やばい、お局様に叱られる!と思った私は、割れた蓋をアロンアルファで貼り合わせて、知らん顔を決め込もうと、仲の良かった同期の事務職の女の子に聞いた。
「ねえ。瞬間接着剤ってなかったっけ?」
彼女は、私からことのあらましを聞くと、きらんと目を光らせ
「私、いい方法知ってる。まさか本当に使える日が来るとは思わなかったけど」
と言いながら、私の割った蓋をおもむろに紙の上に置き、破片を接合した状態で縁に沿って円を描き始めた。
何をするのかと見ていると、その紙をファックスでどこかに送っている。
「どこに送ったの?」
「本社の総務部きゅうす課ふた係」
「何それ?!」
「公式の部署じゃないけど、そういうのがあるんだって。蓋だけ割れた急須って、まだ使えるのに捨てるのはもったいないでしょ?逆に、本体だけ割れちゃって蓋が残ってる場合もあるじゃない?そういうのを、全国の事業所から一手に集めて管理してるのよ。本社の総務のどなたかが」
「へえーー!!」

半信半疑で待っていると、本当に2日後にぴったりの蓋が届いたのであった。
総務というのは、何をするところかさっぱりわかっていなかったのだが、あれ以来、総務と聞くとまず急須の蓋が頭の中に浮かぶ。
つまり、総務部というのは細かい所にまで気が回り、自らみんなのために必要な雑用を作れる人たちの集団なんだと思っている。

すげーな、総務。

いいなと思ったら応援しよう!

はんだあゆみ
最後まで読んでくださって、本当にありがとうございます。 サポートは、お年玉みたいなものだと思ってますので、甘やかさず、年一くらいにしておいてください。精進します。

この記事が参加している募集