まず多肉より始めよ
気になっていることがいくつかあった。
夏前にベランダの多肉植物が暑さでダメージを受けないように、剪定してスキマを作ったり、植え替えしたりしなくてはならない。
部屋の掃除もしなくちゃ。
旅の計画も途中で放り出している。
ずっと前からやりたかったインタビューも、そろそろ始めなくては、終わる前に私が死んでしまうかもしれない。
ああもう、なんでこんなに溜め込んでしまったのか。
終わるわけない、絶対無理、もう嫌だ!
そんな時の私は、パニックに支配されている。
完璧にできないなら、やらない方がマシという、白黒思考が私を投げやりにする。
しんどい。
全てを放り出して逃げ出したい。
マルチタスクが苦手すぎて、何から始めれば良いのかわからないのだ。
ただし、仕事は別。
それだけは「やらねばならぬこと」という脳のエリアにどーんと光り輝いて鎮座しているので、うだうだ言うまもなく、引き寄せられて取り掛かれる。
我ながら現金だが、報酬が発生することなら、否も応もなくすっと始められるのだ。
問題は、お金の絡まない「やりたいはずのこと」だ。
やりたいけど、後回しにしているうちに、どんどん溜まって身動きが取れなくなる。
やりたかったはずのことが、めんどくさくて嫌になっていく。
これは良くない。
かなりまずい。
そんな時私は、まず多肉の手入れから始める。
ベランダに出て、鉢を分別する。
これは剪定だけでいい。
これは植え替えが必要。
これは病気っぽいから抜いて捨てる。
複雑な思考を必要とせず、順に見て体を機械的に動かしていれば、終わる作業だ。
これの良いところは、座りっぱなしの頭しか使わない状況から解放されることと、成果が見えるところだ。
手をかければかけるだけ多肉の鉢はスッキリし、見栄えが良くなり、それが私に満足を与える。
仕事は、書き上げた達成感はあっても、評価がわからないので、満足に至らないことが多いが、多肉の可愛さは問答無用、誰が見たって可愛いに決まっている。
こうして一つでも満足のいく何かを手にすれば、次から次へと溜まったものに手をつけることができる。
ほうらね、今日だけで、二つのTODOをクリア。
困ったら、多肉から始めればいいのである。