【読了】『カウントダウン』山本文緒
角川文庫から出版されている山本文緒の本の中の一冊である『カウントダウン』を読み終わった。
初っ端から「これは、今まで読んだ山本文緒作品とは全然違うなあ」と思っていたら、案の定、「デビュー2年目(1991年)にコバルト文庫から刊行されたものを加筆修正したもの」だと書いてあった。
どうりで。
私にとってコバルト文庫といえば、後にも先にも新井素子、『星へ行く船』シリーズであり、『ブラックキャット』シリーズだ。
青春丸出しで、登場人物はみんないい人で、ハッピーエンドが待っている物語。
『カウントダウン』もヤングアダルト層を意識した内容で、ティーンエイジャーが悩みそうなことが一通り出てくる。
夢、家族、恋、挫折などなど。
伏線が張り巡らされていたり、意表をつくどんでん返しがあったりするわけではなく、話はとにかく、まっすぐつき進む。
凸凹はあっても、主人公の恋は成就するし、夢は叶う。
ご都合主義をどのように「ご都合主義に見せないかという工夫」もそんなにしなくて良いのが、ヤングアダルト層向けの本だろう。
何しろ読者はまだ世の中をそんなに知らないので、何を書いても「そんなものか」と思ってくれる。
本作中で、主人公が恋人の父親である警部に
「お前のようなやつに娘は任せられん!」
と銃で脅されるくだりは、さすがにありえないと思ったら、やはりご本人もあとがきで書いておられた。
荒っぽいのは否めないが、作者のお笑い好きなハートは伝わるストレートな作品だった。
私が10代のひよっこだったら、きっともっと面白く読めたはず。
嫌いではないが、歳はとりたくないなぁ、と思わされた一冊。
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