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それ、絶対に誰かがもう考えてます!

先日の愛南町ツアーから、ずっと私の頭を占めているものがある。
これを外に出さないと、他のことが何も入ってこないくらい、そればっかり考えている。

それは何かというと、私のように肺活量が少なくて息が続かなくても、長く潜っていられるシステムを自作することだ。

ダイビングをする人はご存知だと思うが、タンクを背負って潜るのは、めちゃくちゃお金がかかる。
あんなにお金がビュンビュン出ていくレクリエーションは、他にあんまりないと思う。
たまに、海中の景色を見て癒されたいくらいならともかく、一日中ウミウシを探したい私からすると、ダイビングは選択肢から外さざるを得ない。
あっという間に破産する。

私のウミウシ探しなんて、せいぜい5mも潜れればいいわけだし、ずっと同じ岩場を這いつくばって探しているだけだから、機動性は要らない。
だから、浮き輪とホースで工夫すれば、それらしいものが作れそうな気がする。

例えばこんなのでいいのではないか?

ロープの片側は、波をかぶって水が入らないように高い位置で固定し海上に浮かべ、反対の端はマウスピースをつけて咥える。
吸うのは口から、吐くのは鼻から、と徹底すれば、ホースの中で呼気と吸気が混ざることもなく、常に新鮮な空気を吸えるはず。
あとは、ホースが途中で折れ曲がって空気が届かなくなる事故を防げる工夫をする。
こんなホースを使えば、そこはクリアできそう。

うん、いいね、やれそうじゃない?

そこまで考えて、はたと気づいた。
私が思いつく程度のことは、絶対に先人が誰か考えてやってみているはずだ。
その人が作ったシステムを、そのまま真似すればいいんじゃないか?と。

そこで検索してみると、果たして私と同じことを考えている人は、何人もいた。
ところが、それに対する識者たちの意見はこうだった。

結論から言うとそのやり方は難しい。
水中では、深く潜るほど水圧が高くなる。10mごとに1気圧の圧力が余計にかかる。人間の肺はこの水圧に対して空気を吸い込むのが非常に難しくなるため、ホースを使って水面から直接空気を吸おうとするのは不可能に近い。

なるほど、そういえば、ダイビングのライセンスを取得する時に習ったような気がする。
普通に潜れば、人間の肺は水圧でぺちゃんこになる。
だからタンクには圧縮した空気が充填され、レギュレーターでその空気をちょうどよく肺に送り込むように作られているのだ。
そうだった、そうだった。

ん?でも?
ということは、別にタンクにわざわざ空気を入れなくても、海面上に空気を圧縮する機械を置いて、そこからホースで潜ってる人に新鮮な空気を届ければいいのでは?
それをレギュレーターで呼吸するようにすれば問題ないのではないか?

最初のプランに比べると、ホースと浮き輪のほかに、空気を圧縮する機械とレギュレーターを買わなくてはいけないので、予算は増えるが、これなら水圧問題はクリアだ。
すげー、私って天才!?
問題は、どうやって圧縮空気を作るか、だ。

そこで、またしても私はネットに答えを求めた。
「空気を圧縮する機械 作り方」で検索する。

作り方を解説しているページはあったが、モーター、シリンダー、ピストン、タンク、バルブなどの部品を個別に買って私が作るより、完成したコンプレッサーを買う方が安くて安全性が高いということがわかった。
例えばこんなのとか。

これなら、バッテリー駆動タイプなので、電源のない海の上でも使えるし、サイズ的にも大きめの浮き輪で充分浮かべられそうだ。
これに、コンプレッサー用のエアホースをくっつけて、レギュレーターに接続すれば、タンクがなくても潜れる仕組みの一丁上がりだ。

このホースなんて6mもあって、長さ的にもちょうどいい。

ここまでで、予算10000円ちょっと。
あとはレギュレーターだ。
このあたりでどうだろう?

これらが全部うまく接続できて、コンプレッサーを海の上に浮かべられれば、目的は達成だ。
やった!
これさえ完成させられれば、お金をかけずに何度でも潜れるぞ。

ここまで調べていると、Amazonが私にある商品をおすすめしてきた。

……… 私の考えたシステムを、すでに作っている人がいた。
しかも、一回の充電で5時間も潜れるらしい。
私がこれから、全部のパーツを購入し組み合わせて試作し、自らの生命を危険にさらしてテストダイビングをしなくてもいいのだ。
すでにテストを終えて販売されている完成品があるのだから。

何日も頭の中を占めていたことが、こんなふうに一瞬で無に帰すことがよくある。
所詮、私が思いつける程度のことは、すでに誰かがやっているのだ。
めっちゃ嬉しい。
嬉しいけど、ちょっとだけ悲しい。
私は全然、天才ではなかった。

【教訓】先によく調べろ。

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