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【北陸ウミウシ日記】2023年7月22日 水温30℃越え@白木コノハミドリガイ祭り

ウミウシ探しを始めて二年目。
今年ようやく「コノハミドリガイ」に出会う。

「世界のウミウシ」の解説によれば、真冬によくみられるウミウシらしい。
そりゃ、私が見たことなくても当然である。
荒波が打ち付ける冬の日本海に、ウミウシのためだけに潜ろうとは思えない。

ところが、ここ白木海水浴場では、他のウミウシはほぼ見かけず、コノハミドリガイだけが大量にいた。
ウハウハである。
あのコノハミドリガイに会えるなんて。
コノハミドリガイがどう有名なのかと言うと

①食べた緑藻の葉緑体を細胞内に取り込み一次的に保持する(盗葉緑体現象)。そして、その葉緑体が光合成で作り出すものを、自分の栄養源として利用できてしまう。
②頭部のみを残した自切と再生を行う。

である。
とくに、②は2021年奈良女子大の博士課程一年在籍中の三藤清香(みとうさやか)さんが明らかにした現象で、コノハミドリガイは、時々、自分で頭部と胴体と切り離す個体がいるのだが、体の方は再生しないのに、頭は再生するのだという。(くわしくは、こちら。元の論文に飛びます)

自切が起こるのは、産卵を抑制するカイアシ類に寄生された場合のみ。
カイアシ類は、コノハミドリガイに寄生し胎内に卵を産み付けることで増えるのだが、それをされるとコノハミドリガイは、卵を産めない体になってしまうらしい。
そこで体ごと寄生者を排除し、残った頭で心機一転、新しい人生じゃなくて、ウミウシ生を始めるのだろう。
一週間程度で再生するらしい。すごい。
これも、葉緑体を取り込んでいるからできることなのだろう。
多肉植物の葉っぱが、落ちたら芽を出すようなものだろうか。

コノハミドリガイ 約1.5㎝
コノハミドリガイ 約1.5㎝
コノハミドリガイ 約1.5㎝
コノハミドリガイ 約1.5㎝
コノハミドリガイ 約1.5㎝
アズキウミウシ 約1.5㎝
アズキウミウシ 約1.5㎝
アズキウミウシ 約1.5㎝

白木の海は海藻が豊富で、コノハミドリガイ達は餌に困ることがなさそうなのだが、餌がない地域に住む個体は、葉緑体を持たず、真っ白なのだそうだ。

だから、色の違いは、食べた餌の量によるのかな、と勝手に想像している。
飼えそうなら飼って確かめてみたいのだけれど、引っ越し前なのでちょっとためらう。
いつか食べるものによる色の違いを観察してみたい。

そして、これだけコノハミドリガイがいるってことは、たぶん、これは、その卵なんじゃないかと思うのだけれど、どうなんだろう?

謎の卵

追記 2023.7.26

写真はぜんぶコノハミドリガイだと思っていたのだけれど、背中が白まだら模様の子たちが、だんだん同じ種に思えなくなってきて、先程、世界のウミウシさんのアカウントに問い合わせた。

結果、アズキウミウシだと教わったので、そのリンクも残しておく。

追記2:2023.9.4 このnoteで長々とコノハミドリガイの説明をしてきたのに、なんと、私がコノハミドリガイだと思っていたのが、すべてアズキウミウシだったことが判明。富山のウミウシハンターももりんさんが、教えてくださった。というか、世界のウミウシさんもそのように書いておられたのに、私が勘違いしていた。せっかくコノハミドリガイの説明を書いたので、このまま残しておくけれど、みなさん、このnoteに出てくる写真のウミウシは、みんな(おおきくは)アズキウミウシです。


**連続投稿540日目**



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