杉津続報(4)生き物の海、復活!
8月の線状降水帯による豪雨で、土石流が発生し、砂浜がえぐられて大きな傷跡が残った敦賀市杉津地区。
前回のお話はこちら。
今回は、海の復活のお話を書こうと思う。
9月には、大きな台風が2つやってきた。
雨で脆くなった山がまた崩れて、杉津に被害が出たらどうしよう?と気が気ではなかったが、結果的に台風は、良い方向に働いたと言える。
海岸に押し流されてきていた、山の木々が、台風の返し波で沖にさらわれ、綺麗に片付いた。
さらに、被災直後の荒れて痛々しかった浜辺には、細かい砂が流れ着いて、元のサラサラの気持ちいいビーチが回復しつつある。
何より、海の中が台風でかき混ぜられ、溜まった土砂が一部運び出されて、魚が寄り付く「根」が回復しつつあった。
そんなわけで、今日は、回復途上の杉津の海に、夫を伴いボート釣りに出かけたのであった。
天気は快晴、波も穏やか、風もなく最高の釣り日和。
しかし、貸しボート屋のかずやのおじさんによると
「今日は、年に1回か2回しかない、恐ろしく透明度の高い日」
らしく、こういう日は、魚が警戒して釣り針にかからないのだそうだ。
「いやいや、そうは言っても、海だもの。何かしらいるでしょう?いれば釣れるでしょう?」
……と思ったのだが、おじさんの言うことは正しかった。
2時間粘って、フグが3匹。
当然、全部リリースしたので、坊主である。
それでも。
海から見える杉津の浜はかつての美しさを取り戻しつつあり、気分はよかった。
本当に透明度の高い海で、底に沈んでいるテトラポッドもよく見えた。
これならきっと、私の好きなウミウシたちも、すぐに戻ってくるだろう。
ただ、河口を塞いでいた大岩だけはまだ、そのまま残されており、あの時の濁流の勢いを思い起こさせる。
この岩が片付くのは、きっと来年度の県の予算が決まってからなのだろう。
けれど、個人的には、ビーチに岩があろうと無かろうと、かずやのおじさんが、戻ってきた釣りのお客さんたちと、楽しそうにおしゃべりしていたり、忙しそうにボートを陸に引き揚げたりして働いているのを見られるだけで嬉しい。
おじさんたちが、もうこれでいい、と思っているなら、岩はどうでもいいか、とさえ思ってしまう。
復旧とは、元の姿を完璧に再現することではなく、そこに住む人たちが元のように幸せに働ける環境が戻ってくることなのだと思う。
そういう意味では、杉津の復旧は成し遂げられたと言っていいと思う。
これからの釣りシーズン、どうか、杉津を楽しんでくれる人が増えることを祈る。
**連続投稿245日目**
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