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抜毛癖

小学校五年生くらいの頃の話。

学校で、席替えの時クラスの1番前の席になったことがある。

しかも先生の真ん前の席。

すごく嫌だった。

先生にいつもみられているようで緊張感があった。

いつしか、私は、自分の眉毛を抜くことに熱中しだした。

眉毛を抜くときにプチっと痛みというか抜く感触が癖になってやめられなかった。

眉毛だけに飽き足らず、まつ毛も抜き出した。

そのうち、私の容姿は、眉毛もまつ毛もない、異様なものとなっていた。

授業中先生の真ん前というストレスから、眉毛を抜くことに熱中することで逃げ出していたように今思うと考えられる。

親はなんでそんなことするの?と呆れていた。

母型の祖父母宅に行くと、異様な容姿に気付き、どうしたんだ?と言われた。

自分では、ストレスという言葉の存在もわからず、また、自分でもなんでそんなことをするかうまく説明できず、笑って済ませていた。

叔母には笑われた。

先生は、気がついていただろうけれど、何も言ってこなかった。

ただ、クラスの旅行写真などからは、私の写真が減っていた。

このような姿を残さないようにという配慮だったのだろうか?

ただ、どうしたの?とか心配されたり気遣われたり尋ねてくれる、本気で案じてくれるような大人は周りにいなかった。

その頃の自分に本気で向き合ってくれる大人は周りにいなかった。

1番前の席が落ち着かなかったのだろう。元々授業や人の話を集中して聞くのが苦手な子供だったのに、逃げ場のない先生の真ん前の席になり、自分の体を傷つけたり、痛みによって現実逃避していたのかもしれない。

その頃の自分に今の自分が声をかけてあげるとしたら…

なにか、嫌なこと、辛いことでもあったのかい?苦しいことや逃げ出したいこと、変えてほしいことなど、不満や我慢していることはないかい?

嫌なこと、辛いこと、不満はあってもいいんだよ。

それをすぐ変えられるか、変えてもらえるかはわからないけれど、嫌だという気持ち、居心地が悪いという気持ち、落ち着かないという気持ちは、否定しなくてもいいんだよ。

我慢するだけじゃなくて、変えようとしてなにか行動してもいいんだよ。

全部自分で我慢しなくてもいいんだよ。

辛い苦しい嫌だという気持ちを、無理やり我慢して押し殺さなくてもいいんだよ。

と、伝えてあげたい。

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