無駄に悩む生き物
三男(不登校児の中3)が、今 家にいない。
火曜日の朝からいない。
「散髪に行ったあと友達と遊ぶ。2日ほど友達の家に泊まってみんなでゲームするから」と宣言されていた。
これまでも友達の家に泊まりに行ったことはあるが1日だけという約束を守っていたし、小学校の頃からの付き合いの友達だから、そこのお母さんとはいつでも連絡がつく。
それでも中学生の外泊を快く認めてはいなかった。
今回は一泊目はいつもの友達の家に泊まり、2泊目からはその友達の友達の家に泊まると言う。
ダメだと言っても聞きゃあしない。
ああ言えば上祐なのである。
そして三男は私が貸してあげたリュックにプレステと着替えを詰め込み、火曜日に意気揚々と出かけて行った。
宣言通り、火曜と水曜を外泊し、「明日には帰ってきなはれや」と送った私のメッセージに対して「金曜までに帰る」との返事。
…みんな通って来た道だ。
楽しいのはわかる。
でも大人になった兄たちも、母である私も、ばあちゃんも、皆が常に心配している。
海で若い男性が緊縛された遺体で見つかったというニュースを見て、不安が募る。
変なことに巻き込まれた時に反撃できるのか、それとも無事に逃げおおせるのだろうか。闇バイトなんかに応募したりしないだろうか。一夜の過ちで若い父親になってしまったりはしないだろうか。。
頭の中を心配ごとが駆け巡る。
「LINEには必ず返事をするし、友達の名前やだいたいの住所も言ってあるから、これは家出ではない!ただ夜通しゲームをしてるだけだから!!」とは本人談。
こちらの心配の言葉を聞いて一言
「心配かけてごめんねー」と。
長男と次男が難しい年頃の時には、私はまだ若い母親で、腕力で言うことを聞かせていたこともあったが、もう今の私にはすっかりそんな活力はない。
そして経験からわかる。三男は殴られておとなしくはならないし、なんならやり返すだろう(本気ではないにしろ)。
長男と次男は、当時 朝から夜遅くまで働いていた私よりも私の両親と過ごす時間の方が長かったから、あまり込み入った話を聞くことができなかったが、三男は生まれてから今までずっと距離が近く、大抵のことは何でも話してくれていたから、なんだか急に繋いでいた手を振り解かれたような気分だ。
家族の中で一番高い身長になった今でも夢の中に出てくる三男は常に保育園児なので、私の中で「小さい子」というイメージがいつまでも消えないでいる表れだろう。
不安や心配は本当に大きいのだけれど、それだけじゃない。今、私はとてもとても寂しいのだ。
ついこの間三男が肺炎で二泊三日の入院をした時も、ぽっかりとした寂しさを感じたばかりだけれど、あの時はちゃんと病院にいるとわかっていたし。
今の心境をなんと表現するのが的確かはわからないが、切り傷を負ったような痛みを時々ふいに感じるのだ。
先日購入した「ベルサイユのばら」の実写映画DVDが届いて、もう手元にあるのに、見ようという気持ちも湧かず…
昨夜はうまく眠れずに睡眠不足で眠いから、今日は早く寝ようと思っていたのに、ざわざわとした気持ちで眠れず…
だけど、自分も同じ気持ちを親に抱かせたのだよな、何度も…とも思う。私の場合は高校生の頃だったけれど。
高校生の頃の私も三男も、同じことが原因で家に帰らない。だから気持ちはよくわかる。
きっと悪いことなんかもしてないだろう、と信じている。
どうか、どうか何事もなく無事に帰ってきて、この先も何事もなく大人になってくれと願う。
乳児の時からものすごく手のかかる壮絶な育児を経て14年。
今もスタンダードとはほど遠い道を歩んでいるが、小さい頃と比べたらもう断然手はかからなくなって私は楽になった。
これからも自分なりの幸せを見つけて楽しく生きていって欲しいと思ってはいるけれど、、
それにしても、やっぱり中学生で3泊もするなんて、ここは少しうるさく言わなくてはいけない局面ではなかろうか、と真夜中にひとり葛藤する。
三男の父親のややこしい性格を受け継いでいる部分が垣間見られるから、言っても仕方ないなと諦めてもいるのだが。。
「子育てに正解はなくて、間違いもない」という言葉を、昨日偶然SNSで見かけた。
そうなんだろうと思う。
でも、ついつい正解を探してしまうものなのだ。
無駄に悩む生き物、それが親なのだと思う。
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