【詩】こどくはひとりの十分条件
ひとりの時間を大事にしている
ひとりの時間が無いといけない
そう考える時、あなたはひとりではない
ひとりを欲している人は
かつてひとりを持て余していた人だ
ひとりになりたいと思っていた時
私は幸せだったのかもしれません
きがつくと
私は名も無き浮遊物になって
どこか遠くの、帰り道がわからない
宇宙のようなところに放り出されてしまった
私はひとりになりたくなかったのだと
そのときはじめて知りました
私はこどくになったのです
こどくとは
背もたれも手すりも何もないところで
ずっと自分の足だけで立っていなければならない状態と似ているような気がします
するとじわじわ疲労がたまって
あしもとがぐらぐらしてくるふらふらしている
しだいに立っていられなくなって
その場にすわりこんでしまう
一度すわりこんでしまったら
もう立ち上がることも
どこかへ移動することも
そんな元気も湧いてこないのではないかと考えると
恐ろしくなってしまうのです
こどくは愛することができるでしょうか
どうすればよいのでしょうか
こどくなじんせい
こどくなせいかつ
文字にしてみると
そんなに悪い気はしないのだけど
ひとはみんなこどくだという
みなひとりでしか眠ることができないのだから
ひとりでしかあの世へいくことはできないのだから
でも本当にみんなこどくなのだとしたら
ひとりをこどくに言い換えることができるはずだ
こどくでしか眠ることができない
こどくでしかあの世はいけない
ふう
こどくはひとりであっても
ひとりはこどくとは限らない
こどくはひとりの十分条件にすぎなかったのだ
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