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全身が痺れて呆然とする読後感、オースター『4321』を読んだ。そして、街中クリスマス。

オースター『4321』を読み終えた。
思えば長い旅であった。この3週間、どこへ行く時もカバンに忍ばせ(忍ばせるにはいささか場所を取りすぎる)隙あらばページをめくっていたのだ。

僕は、この物語を今読んだことに、とても意味を感じている。
どんな話なのか、と言われるとそれは少年の成長の物語なのだけれど、それ以上は上手く言えないし、言ってはいけない、ような気がしている。

先月リメイク発売された、ドラクエⅢにおいても、確かゾーマ戦以降の配信やネタバレを禁止する緘口令が敷かれた。おそらく異例のことであろう。
要するに、自分自身で体験することに意味がある、ということなのかもしれない。

『4321』というタイトルに込められたオースターの思いを感じ取って欲しい。小説を読んで感動したのは久しぶりである。感動というのは、御涙頂戴、の意味ではない。それは全身を打ち抜く痺れであり、その後に何も考えられなくなるような衝撃である。

そして、2回目に読む時には、その本の持つ意味がすっかり変わってしまっていることに気付かされるだろう。おそらく読み方も変わる。僕は早く2周目に取り掛かりたいが、ちょっと休憩が必要である。これだけ長い小説をつづけて2回読むだけのパワーが僕にはない。

と、今月の読書のほとんどを本書に費やしたので、気がつけば今年も終わってしまいそうであるが、この本に今、出会えて本当に良かったと思っている。

さて、週末である。
年末年始に読む本のリストを作って、楽しい年越しを迎えられるように準備をしようと思う。

タロットカードや英語学習など、やりたいこともまだまだ山積みである。色々と手を出しすぎた感は否めないのだけれど、おそらく複数の女性に手を出すよりかは、はるかに健全であろう。

まあ、少しくらいはそういうことがあっても良いのかもしれないけれど、残念ながら僕には何もないのである。

クリスマスの足音が聞こえてきた。
きっとそれは気のせいである。僕は、キリスト教信者ではないのだから、それは、ただの12月24日であり、ただの12月25日なのである。

クリスマスソングが街を支配する。すでに飽和状態なので、新規参入は難しいジャンルかもしれないが、backnumberは健闘していると思う。

ただ、backnumber=失恋ソングというイメージが強いのでカップルで聞くのはあまりおすすめしない。
と思ったが、クリスマスソングは悲しいものが多いかもしれない。

なぜクリスマスにワムもマライヤキャリーも山下達郎も稲垣潤一も悲しい歌を歌っているのか。

なんの検証もしていない僕の戯言ですが、おそらくこういうことだ。

幸せは共有できないが不幸は共有できる。

あるいは

幸せは共感しにくいが、不幸は共感しやすい。

だからといって、年の瀬に傷口に塩を塗るようなことをしてくんじゃねえよ、と思ってしまうのは私だけでしょうか。






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守田樹|凡庸な日常
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