プロジェクト譜をつくってみた(その2;勝利条件・中間目的・施策編)
前回の記事で、プロジェクト譜を活用して
企画の獲得目標を合意するところまでをまとめた。
今回は、プロジェクト譜の
「勝利条件」→「中間目的」→「施策」を共有して合意する際に、
特に伴走者として意識した点から、感じたことを簡単に振り返ってまとめる。
※「廟算八要素」の欄は、比較的短期間で迎える企画のアウトライン作成を目的としたため、手をつけなかった。
ちなみに、勤務している学校は偏差値は30代の学校です。生徒の実態に合わせた実践をまとめます。
共有して合意するまでのプロセス
次のような流れで、施策の合意に至った。
0)前回獲得目標を合意した後、個々で勝利条件〜施策を書き出して来るように指示していた。
1)コアになるメンバー4人で、一人ずつ口頭で勝利条件、中間目的、施策の順で共有していった。
● 私は、彼らが話すものをプロジェクト譜に入力して、テレビ画面に映して可視化した。
2)勝利条件から順に、深堀りしながらまとめていった。
勝利条件:
判断基準になるように、「少なくとも定性的に図れるように」した。(プロジェクトの特性上、無理に定量的に測ろうとはしなかった。)
→「どうやったらそれに到達したかを測れる?」「それはどのような姿?」「それの姿は、なぜ獲得目標が獲得できたといえる?」と問いかけていった。
中間目的:
挙がったものを、「分類し」「前後関係を明確にして」「不足していると感じることは問いかけた」
→「この中で、近いものはどれとどれ?」「どの中間目的を初めに達成すべきだろう?」「この中間目的を達成するために、他に達成すべきことはある?」と問いかけていった。
施策:
中間目的ごとに、「何をすれば」その目的が達成するかを問うていった。最初は、中間目的ごとの予定だったが、行き詰まったら他の中間目的の施策を挙げてみるよう促したらスムーズに挙がった。
また、ここが具体的な自分たちの行動になるように留意した。
→「その目的を達成するために、何をしていったらいい?」「それは誰に対して?どこについて?どのくらいの期間に?」「そのために、自分たちは何をする?」と問いかけていった。
その他気づいたこと:
・中間目的と施策がごっちゃになって出てきた。
・施策を挙げるフェーズと中間目的を挙げるフェーズはいったりきたりしてまとめていった。
⇒「共に」獲得目標を獲得するため、プロセス(プロジェクト譜)を作成することが必要だった。
伴走者として意識した点
◉ まず、個々でまとめたものを共有する
…プロジェクト譜を考案された前田さんの書籍にもあったが、誰か一人の声でつくられたものにならないように、必ず全員の声が盛り込まれるよう意識した。
◉「行動にまで落とし込む」ことを、伴走する目標とした
◎ 何を …施策が行動になるように問いかけて、生徒が行動に落とし込んだ施策を言ってもらった。
◎ いつまでに …優先度の高い施策に、一旦の期日を設けた。
①挙がった施策のうち、優先度の高いものを色付けした
⇒特に、中間目的ごとに、キーになる(その結果によって今後の動きに影響が出る)施策はどれかを考えた
②「当日から逆算して」「中間目的の達成期日を意識し」、①優先度の高い施策にそれぞれ期日を設けた
◎ 誰が …中間目的ごとに、誰が担当するかを決めた。
作成後の活用
◉ 短期間のアウトライン作成だったため、更新はしなかった
◉ 作成したプロジェクト譜を見ながら、別で(今回は簡易的にドキュメントに打ち込むという形で)
・「中間目的の優先度を検討・取捨選択して掲げ続ける」
・「タスク管理(何を、いつまでに誰がやるか)」
をしていた
◉ 活動毎のミーティングで、大人の自分に
・何か協力できることはある?
・なにを、どのタイミングで確認してほしい?
・どういう基準で確認してほしい?
と問うて、サポートした
作成してよかった点
◉ メンバーそれぞれに、自分の役割を意識して動こうとする姿勢が見られた
これには、
・獲得目標について腹を割って話し合う時間があったこと
・個々で考えた、獲得目標までの道筋(プロジェクト譜の勝利条件〜施策)が反映されていること
・具体的な行動(誰が、いつまでに、何を)に落とし込んで可視化したこと
・プロジェクト譜を活用して、活動したこと
のすべてが必要条件だったように思う。
その意味で、プロジェクト譜の活用は大いに効果的だったと感じている。
◉ 全体を俯瞰することができた
…中間目的と、当日までの期間とを照らして見られることで、中間目的の優先度が見えやすかった。
→作成したプロジェクト譜を参照してタスク管理をする中で、自然と中間目的の取捨選択を行えた。
◉ 生徒から、長期的に自分が実現したいことのために、超えなければならない「課題」を意識する発言が聞けるようになった
これには、
・プロジェクト譜を活用したことで、目標を時間の尺度で整理する経験をしたこと
・プロジェクト譜を活用したことで、目標を達成するための具体的な行動まで落とし込む経験をしたこと
・小さい成功体験と課題があることを感じられる経験をしたこと ※
・(解決策仮説を検証(実施)する前と後の両方で)「あなたは、誰の、何の問題を解決したい?」を問い続けていたこと、またその問題を分解して原因はどこにあるか問い続けていたこと ※
・特に自分の言葉で「実現したいことと課題」を話していたのは、「解決策仮説を検証(実施)した直後の振り返りのとき」「他者に発表するプレゼン資料をつくっていたとき」だった ※
※この辺りは、別の記事としてまとめようと思う。
今回の課題
メンバーごとに、企画運営への責任や意識のバラつきがあったこと
→当然起こりうることだが、個々のコミットメントが高いほど、中間目的に対して生み出せる価値が高くなると感じたので、改善策を考えるのは価値が高そう。
改善策案
次回企画したものについては、
・「獲得目標を得ることは、それぞれにとってどのような意味があるか?」という問いを投げかけて共有する、
または、
・「メンバーの価値観から、それぞれどのようなビジョン(どの人たちが、どのような状態であるか)を共有する」「このメンバーが集まって、この企画でどんな姿を生み出せるか」を描き、そこから獲得目標をまとめる
というプロセスを経る。
※チームとして初回の動き出しであったこと、メンバーの実態を踏まえて、次回からはこれくらい踏み込んでも活動への意欲は高いまま維持できそう。