『私は女になりたい』読了📖
秋の夜長を言い訳に結局最後まで読んでしまった…
だから、小説はだめだって…
その話の世界に入り込んでしまって、自分の世界と一緒になっちゃう。
仕事中も家事中も今話の中の人達はどうしてるかな?って気になっちゃう、あたかも本当に生きている人を心配するように。
映画やドラマだと、登場人物や環境や場所が具体的に映像で決まっちゃってて、自分の世界と違うからこんな気持ちにはならないんだけど、本は必然的に自分の頭の中で人物や場所を想像することになる。だから、自分が生活してる環境に似たものになって、同じ世界を生きてる、リアルな感じがする。
アラフィフの美人美容皮膚科医、赤澤奈美の話し。バツイチで今は大学生の息子が一人、母親の介護もあって、元夫からは年に数回無心される。院長だけど雇われで、資産家オーナーとは月に1回添い寝をさせられる。そんな彼女の最後の恋。
背負ってるものが重すぎて、恋愛にうつつを抜かしてる場合じゃないのに、どんどんのめり込んで…
14歳も年下の男となんて恋愛関係にならないって思ってたんだろうな、最初は。元患者と医者だし、文房具メーカーの営業マンと女医だし。
長く生きてるといろんな顔ができる。
仕事の顔、子どもがいれば親の顔、おばさんの顔、親から見れば娘の顔、女の顔… ほとんどは役割を終えてなくなる顔。でも、女の顔はなくならないのかもしれない。
自分の中にもあるんだろうその顔は、今はとても小さくて弱くてこのままではなくなってしまいそう。
赤澤奈美の話しは現実にはなかなか起こり得ないだろう。でも、可能性はゼロではない。この先、こんな出会いがあったら自分はどうするのか、どうなってしまうのか…
子どもたちが巣立って、両親も逝って、仕事も引退して、夫に先立たれでもして… そんなときに出会ってしまったら、寂しさのほんの少しの隙に入ってしまった幻として流してしまうのか、本気になってしまうのか。
ただ、私も思った。もう一度くらい、女になりたい、と。