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金木犀〜香りから辿る追憶
先月の一時帰国の際に、十数年ぶりで金木犀の香りを嗅いだ。
私の住んでいる北国では金木犀は咲かない。
妹と外のベンチに座り話していた時、ふと何処からか懐かしい匂いがして
「あ、金木犀…!」
二人同時に声を発し辺りをキョロキョロ見回すと、すぐ側に金木犀の樹が一本あることにその時初めて気づいた。
道端に雨粒のように散った
小さなオレンジ色の花びら達
子供の頃、ピアノのレッスンの帰り道
雨に濡れ甘くよい匂いを漂わせていた
金木犀の姿が浮かんできた
香りは記憶を呼び覚ますーーー
風邪をひいた時や疲れが溜まっている時など、私はディフューザーで香りを拡散するためにアロマオイルを時々使っていて、特にラベンダーは殺菌効果がありリラックスする香りが気に入っている。
今回の一時帰国では、前から興味のあった、生活の木 金木犀のアロマオイルを持ち帰った。
とても人気のある香りらしく、香水のほうはあっと言う間に完売したようだ。
金木犀の他にオレンジスイート、ベルガモット、シダーウッドアトラスなどもブレンドされていて、甘く芳しい匂いが落ち着く。
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金木犀のイラストとパッケージも美しい
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"いつかの故郷を想わせる 街角の金木犀
澄み渡った秋空に映える
ノスタルジックに寄り添う甘い香り"
金木犀シリーズのリードも素敵だ。
私は、誰かの吸っている煙草の煙を嗅いだだけで咳が止まらなくなったり、アレルギー体質で肌が弱く刺激にも敏感なので、ふだん香水の類は身に付けないけれど、たまに匂いをちょっと嗅ぐのは好きで、好みの香水の小瓶を集めていた時もあった。
ティエリー・ミュグレーの星型の瓶に入った「Angel」は、砂糖菓子みたいな、ふわふわ夢見心地になるような甘ったるい香り。
シャネル「エゴイスト」の、枯れ草や葉巻の匂いが混ざり合ったようなスパイシーな甘い香りも好きだった。エゴイスト プラチナムの方はもう少し爽やかでピリッとしたフローラル系の香りだったが、そちらはそれほど好みではなく。
イッセイミヤケ「ロードイッセイ」は、グリーンティーとラストノートに金木犀が感じられた。
あまり好きな香りに一貫性はないが、フローラル系よりはスパイスやウッディなグリーンノート系の香りが好きなようだ。
子供の頃、母の化粧台にいつも置いてあったのは、ゲランの「夜間飛行」だった。
ジャック・ゲランの友人でもあったサン・テグジュペリの小説「夜間飛行」からインスパイアされたというフレグランス。
1944年、第二次世界大戦中に44歳で消息を絶ったと言われているサン・テグジュペリ。1998年に地中海のマルセイユ沖で、その名前が刻まれた銀のブレスレットが発見され、飛行機の墜落場所が特定されたという。
「夜間飛行」のキャッチフレーズは
"危険と隣り合わせの恋のフレグランス"
"グリーンかつウッディ、そしてスパイシーな香りの上を飛行する、雲の上の恋の伝説"
私が好きな香りの原点は、このフレグランスかもしれない。
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