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霧の朝に

霧雨にしっとりと濡れながら

白く煙る景色の中に佇んでいると

夢の中に迷いこんでしまったような

ぼんやりとした心持ちになってくる





港の方では何度も霧笛が鳴っている

その音に誘われるかのように

靄に包まれ歩いてゆくと

このままどこか知らない世界へ

吸い込まれてしまうような気がする


こんな霧の朝に

自分と同じ姿をしたもう一人の自分

ドッペルゲンガーに

会ってしまうのかもしれない






深い霧の中でも

早朝から外で働く人たちがいて

街中でそんな人々に出会うと

たちまち私は現実に引き戻される






北国の春の足取りは

とてもゆっくりで

太陽の光が訪れるのは

まだ数ヶ月は先のこと









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森野 しゑに
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