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40代女一人アートの旅 In Paris⑧ いざパリの美術館三昧 深まるお洒落の謎
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ルーブル美術館やオルセー美術館は期待どおりだったけれど、予想以上によかったのがコンシェルジュリーとピカソ美術館だった。
マリー・アントワネットに会いにいく
サント・シャペルとコンシェルジュリーはMUSEUM PASS使用可、かつ事前予約がネットで0円でできたので日本で予約しておいた。
2つの建物があるシテ島に入ると、いきなり警官の数が増える。銃を携帯しているので緊張感が高まる。観光客が増えるからスリも多いのだろうか。
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サント・シャペルに着くが行列ができており、なかなか前に進まない。
待たされて痺れを切らした前にいたおばさまが、偵察に行ってきて、おそらく以下のように言っていた。
「12時、12時半、13時、13時半と予約の列が別れていて、12時予約の人がまだ入れていないわ!!信じられない!」(推測)
私は13時予約だったため軽い絶望を感じた。
予約の列が分かれて前の前の回の人がまだ入場できていないのも絶望だし、かつ誰も列の整備をしていない混沌にもだ。
おばさまたちは事前に支払いをしているから動けないだろうけれど、私はMUSEUM PASSで0円の課金前なので、ここは諦めることにした。もし払ってたら€13なので勿体無くて、この判断はできなかったかもしれない。
諦め大事。アデュー!
サント・シャペルは想像で行ったことにするわ。
タイムイズマネーなので隣のコンシェルジュリーに行った。
コンシェルジュリーはとても行きたい場所だった。
「ベルサイユのばら」ガチ勢なので!!(ベルサイユ宮殿は行きませんでしたが)
コンシェルジュリー(Conciergerie)は、フランスのパリ1区、シテ島西側にあるかつての牢獄。
多くの王族、貴族などの旧体制派が収容され、当時はその牢獄に入るとかならず死刑になるというので「死の牢獄」「ギロチン控えの間」とよばれた。マリー・アントワネットが投獄されたのは1793年である[1]。
ロザリーがマリー・アントワネットを処刑前にお世話したところだわ!
サント・シャペルの人気が嘘みたいにコンシェルジュリーはガラガラだった。予約のチェックもなし。
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タブレットを各自持っていくスタイルで、ところどころにQRコードがあるので読み取っていく。
すると、動画が見れたり、宝探しができたりととても工夫されていた。当時の雑音が流れて活気が伝わってくる。
革命で処刑された人達の名前の部屋や当時の独房の様子など、見どころがたくさんあった。
処刑された人達の名前がかなり多い。
どれだけの人がここで死刑前に過ごしたのであろうか。
大量に、人道的に苦しめないように、
楽に殺せるようにしたギロチンもフランス生まれ。
パリの歴史はマジで血まみれだ。
女性囚人の独房に囲まれた「女たちの庭」という小さな庭があったのだけれど、静謐で不思議な雰囲気の場所だった。
女性囚人たちの散歩に使われていたよう。
四方建物にぐるりと囲まれていて空の面積が小さい。
処刑されたであろう女性活動家のパネルが展示されていた。
マリーアントワネットもこの庭に出ていたのかな。
どんな思いでこの空を見ていたのだろう。
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ピカソはお洒落
サンジャック塔のそばのカフェでランチをして、マレ地区のピカソ美術館に向かった。
マレ地区といえばかつてユダヤ人の居住区(ピカソもユダヤ人だったはず)で今は流行最先端な地域になっている。
TABIOがあって驚いた。
ピカソ美術館は昔の塩税徴収官の家を使用していてとても豪華。
昔も今もシステムを中抜きしている人は儲かるのだね。
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ここのスタッフは荷物チェックは全部しないし、仕事の途中でニコニコベンチに腰掛けに来るし、えらい適当だった。でもそのラフさが気にならないくらいリラックスした空間だった。
このピカソ美術館がとても「お洒落」だった。
突然だけれど、最近お洒落ってなんだろう、と思うことが多くて。
表参道・丸の内・渋谷、銀座。
日本のいわゆるお洒落と言われる都市の、感度の高い人たちが集まる場所に行っても腑に落ちなかった。
整っていて、キラキラしていて、SNS映えして。
でもなんだか資本主義的で、刹那的。
みんなが儲けることを考えて誰かから搾取しようとしている空間。
今だけがよくて。
10年後に訪れたら、時代遅れに見えてしまいそう。
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でもピカソ美術館は「お洒落」だと思った。
そしてそのお洒落は不変だと思った。
ピカソの無骨さ・無邪気さ
建物の優雅さ
天井の梁の豪胆さ
展示物のバランス
建物やピカソの歴史の深み
「お洒落」って時間軸と財力と才能の掛け合わせなんだ。
この空間で見るとピカソのそもそもの絵のうまさが際立って伝わる。
色彩のセンス、線の美しさ。
建物と掛け算しあってさらに美しく見えるってわけ。
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なんて美しいのだろう。本当にいい空間だった。
続く