読書記録81 2024年7月の本まとめ

修士論文の中間発表が終わり、ようやく夏休みに突入です。開放感!

7月はあまり本が読めませんでしたが、良い本に出会えました。

1.『月まで三キロ』(2018)伊与原新

「あの本、読みました?」の理系作家特集回でインタビューに答えていた作家の本。番組内で紹介があり、「月は地球からだんだん遠ざかっている」という話が神秘的に感じて読んでみた。6つの短編全て、地学や物理学などの知識がベースになっていて、家族などの人情が加わっているのでとても読みやすかった。全然知らないことばかりで勉強になるなと思った。

2.『ゴールデンスランバー』(2010)伊坂幸太郎

以前『フーガとユーガ』を読んで怖くて敬遠していたのだが、「伊坂幸太郎初心者におすすめ」ランキング1位の本がたまたま図書館にあったので借りてみた。
ケネディ暗殺事件をモチーフにしたミステリで、濡れ衣を着せられた男の逃走劇と徐々に解き明かされる謎のバランスが良くて一気読みしてしまった。面白いなあ

3.『時ひらく』(2024)伊坂幸太郎,恩田陸,東野圭吾,柚木麻子,辻村深月,阿川佐和子

『あの本、読みました?』で紹介されて気になっていた本。三越を舞台に六人の作家が短編を書いている。かなり豪華な面々。
三越の販促企画として本を作ることになったそうだが、実際に日本橋三越に行ってみたくなるような作品たちで、読んだ人は結構な確率で立ち寄ってしまうのではないかと思う。店内をあまりジロジロと観察したことがないので、天女像や壁のアンモナイトを気にしたことがなかった。こういう本のおかげでまた楽しみが増えた。

4.『聞く習慣』(2023)いしかわゆき

入門的にこの本を読んで、『LISTEN』や『まず、ちゃんと聴く』などを読む順番が良さそう。
結論として、「人に興味がなくて自分に興味があるから、自分の得になると思って人の話を聞こう」という論理になっており、「人に興味を持つ」ことについて気になっていた今の自分にとってはちょっと違かったかもしれない。

5.『アルジャーノンに花束を』(2015)ダニエル・キイス

大学の書籍部で、帯の煽り文に「読まないまま終わる人生もあったと思うと怖いってぐらい凄かった。」とあってまんまと購入してしまった。煽り文すごい。人生揺さぶられるくらいの衝撃かと言われるとそこまでではないものの、確かに読んで良かったと思った。
主人公の視点から経過報告として語られる形式は発明だと思う。最初はひらがなだらけ、誤字だらけの文章が実験が進むとともに高度になっていき、そして最後には…。これがもしハッピーエンド?なら、冷めてしまう気がするし、この結末だからこそ納得感がある。人間の知性ってなんだろうと考えさせられる。

6.『地球の果ての温室で』(2023)キム・チョヨプ

ディストピア小説特有の冷たさがなく、不思議な暖かさに包まれた小説だった。
大学での本に関するイベントで「面白い」と紹介されていた本で、その通りとても面白かった。ダストが席巻し一度破壊された世界が再建し、謎の植物が繁栄している情報が植物学者の耳に入る…という設定で、コロナを経験しているからこそ、SFなのに現実味を持って読めたのではないかと思う。

7.『訂正する力』(2023)東浩紀

感想を書こうと思ったのだが、感想を書けるほど筆者の主張をちゃんと理解できていない気がする。一度リセットしてやり直すのではなく、同じルールの中で「いつの間に変わっていた」という「訂正」の社会変革でしか、今後の日本社会の変革はできないという主張だったと思う。うーん。もう一回読んだほうがよさそう。



夏休みこそ、宣言した古典を読み進めたいと思います。

かしこ

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