【読書感想文・特別編】「坂口恭平日記」を観に行った時読んだ本ーー『独立国家のつくりかた』を読んで
坂口恭平著 講談社現代新書 2012年出版
4月の始め、熊本まで坂口恭平日記を観に行って、熊本市現代美術館でこの本を購入した。旅のお供に。というか、読み始めたら面白くて、滞在中のホテルで全部読み切ってしまった。
この新書を読んでは、坂口恭平が住んでいる熊本市内を散策。幸せな日々だった。というか、今まで横浜から彼のTwitterを見ていた世界から、彼と同じ町に来たら一気に生活する坂口恭平の現実に迫った感じ。 でも、確かに熊本空港に降り立った時、まず思ったのが、別に坂口恭平と知り合いでも親戚でもなんでもないしな、なんでここまで来たんだろ、とふと我に返った。でも来てしまったら、ここまで他人を自分の住んでるとこに集めることができる人ってすげーな、と改めて思った。まあ、こんなのもありね、と思いつつ、バスに乗る。
熊本市現代美術館は私が学芸員を目指していた時に、いろいろ資料を読んだことある美術館だったので、実際行ってみたいと思っていたのもあってやってきたんだが、こじんまりしていてよい美術館だった。さっそく坂口恭平展観てたら、すぐに本人も登場。挨拶したい気持ちと、冷静を保とうと思う気持ちが入り乱れる。とにかく、展示はとてもよかったよ。
で、美術館で、『独立国家のつくりかた』という新書を買ったんだが、この本は、エッセイというか建築に対する彼の考え方がよく分かる本。卒論で書いたことを、出版社に持ち込んで出版してくれるように交渉したこととか、私は最近書かれた本ばかり読んでいたからよくわかんなかったけど、この本読むと、どうして今の坂口恭平たるものになったか、が分かる。
彼はやはり、建築というところから、生活に踏み込んでいて、だから、彼のやってること、書いてること、彼そのものを、「生活芸術」というのが一番しっくりくるように思った。
タイトルである「独立国家」というのも、東北大震災の時に熊本に移住してきて、空き家を借りて避難民に提供する、と言うところから始まったらしい。はじめに「独立国家」と言い出した時、両親からは病院に行けと言われたらしい。笑った。そうですよね。でも、彼のTwitterを追ってて、うつ病との付き合い方などを見てると、もはや鬱は病気でも何でもなくて、彼の性格の一つだとまで言えるような気がした。病気でもコントロールできるようにうまく付き合っていけるようになれば、こういう人になれる、と彼の存在自体が勇気を与える人だな、と思ったのでした。
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