【読書記録】付加価値のつくりかた/田尻望
はじめに
「付加価値」という言葉は知っているし、日々の仕事でも常に触れているけれど、改めてそれについて考えるという機会はそうそうありません。
この本はそんな機会を与えてくれ、元キーエンス社員の著書が考える『付加価値のつくりかた』を学べます。
付加価値とは何か?
付加価値をどうつくるのか?
つくった付加価値をどう届けるのか?
本書に書かれていることを意識して仕事に臨めば、仕事のクオリティが上がります。
そして、その仕事は世の中の誰かを喜ばせることになります。
「もっと早く読みたかった」というのが、読み終わった後の私の感想でした。
Point
付加価値は『ニーズ』が源泉
顧客の先にいる顧客
最小の資本と人で、最大の付加価値を上げる
本の紹介
付加価値とは
「付加価値は『ニーズ』が源泉」と著書は言います。
何かを買って、それに付加価値分の金額を加えて売ることで、利益は生まれます。
この利益を得るために会社はあり、そこで働く人がいます。
では、この付加価値とは何なのか?
例えば洗濯機は、様々な部品をメーカーから買って、それをもとにつくられ、販売されます。
そこに「高い洗浄力」「おしゃれなデザイン」「乾燥機付」などの付加価値が加えられ、価格が決められています。
上記の付加価値の裏には、「もっと汚れが落ちたら」「インテリアと調和する洗濯機があったら」「干すのがめんどくさい」というニーズがあります。
「付加価値は『ニーズ』が源泉」というのはこういうことで、ニーズを叶えることができるものには価値があり、高い付加価値になります。
顕在ニーズと潜在ニーズ
ニーズには2種類あります。
顕在ニーズ
潜在ニーズ
顕在ニーズは表面化しているニーズで、例えば「新しいパソコンがほしい」「痩せたい」など。
潜在ニーズは表面化していないニーズ。
例えば「痩せたい」というニーズがあったとして、「なぜ痩せたいのか?」「痩せてどうなりたいのか?」を考えると、奥には「モテたい」「健康になりたい」という、本人が気付いていないニーズがあるかもしれず、これが潜在ニーズです。
顕在ニーズよりも、潜在ニーズを叶えるものの方が、高付加価値を生みます。
そして、潜在ニーズは『現場』にたくさん落ちています。
だからこそ、現場に足を運び、お客様と同じものを見て、経験することは大切です。
最小の資本と人で、最大の付加価値を上げる
「人の命の時間」
著者は、人が使う時間のことをこのように表現しています。
同じ100万円の売上なら、20時間で達成するよりも、10時間で達成する方が、時間もお金も少なくなります、
時間とお金は『コスト』です。
キーエンスの経営理念に「最小の資本と人で、最大の付加価値を上げる」というものがあります。
最小のコストで最大の付加価値を上げ、それを構造化・仕組み化し、さらに付加価値を生むことで、キーエンスはあれだけの高付加価値企業となり得ています。
私は『エッセンシャル思考 / グレッグ・マキューン』と重なりましたが、「どれだけ仕事を増やすか」よりも「価値を落とさず、どれだけ仕事を減らせるか」が大切です。
キーエンス3つのキーワード
マーケットイン型
高付加価値状態での商品の標準化
世界初・業界初の商品
市場調査を徹底的に行い、独自性があり、かつ多くの会社で活用できる商品を開発することで、キーエンスは高付加価値を実現しています。
その徹底具合と構造化が、他の企業と一線を画しているポイントです。
顧客の先にいる顧客
BtoBとBtoCでは、ニーズは違います。
法人相手の場合、付加価値は以下の6つに分けられると著者は言います。
生産性アップ
財務改善
コストダウン
リスク回避
CSR向上
付加価値アップ
法人相手だとしても、最終的にそれを使うお客様のニーズを叶えることが大切です。
お客様のニーズを叶えることができる商品を、法人顧客へと利点を説明し提案することで、法人顧客のニーズも叶えることができます。
最大化・最適化した付加価値をお客様に届ける
マーケティングというと、「4Pを考えて…」「ペルソナを設定して…」と、どうお客様に認知され、販売するかという視点になりがちです。
しかし、著者はマーケティングの真の目的は「お客様へ最大化・最適化した付加価値を届ける」ことと言います。
おわりに
高付加価値はぼったくりとは違います。
お客様のニーズに対して、最小コストで最大の付加価値をつくり、それをお届けする。
そのために営業はニーズを探索し、企画はニーズから価値を創出し、開発は価値を形にし、販売促進は価値を展開し、営業がお客様へ届ける。
それを仕組み化し繰り返していくことで、高付加価値を生み続け、世に価値を届けられる企業となります。
私は、自分がつくったものが形になり、それを人が使い、幸せを感じていただくことが仕事のやりがいです。
高い付加価値を人に届けていけるよう、本書に書かれていることを一つずつ日々の仕事に落とし込んでいきたいと思います。