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歴史を「書く」姿勢への共感


最近は音楽ネタばかりをひたすらアップしているので、本業?の歴史ネタが疎かになっています。ちょっと歴史のことも書いてみたいなと思いましたもので、こんな記事を書いてみました。今回は私のフォロワーさんの書かれた2つの記事をご紹介しながら、歴史について私の所感を自由に述べて行きたいと思います。

歴史を俯瞰して見る姿勢

先ずはこちらの記事をご覧ください。

この記事を書かれたのは大学生の方です。私はこの記事を読んだ時に、本当にこの人は大学生なのか?と思わず驚いてしまいました。若い歴史好きな方の多くは、ロマンに引っ張られて、史実よりは小説や説話の類を重視していて、好きな武将をカッコよく書くという勝手なイメージが私にはあるんですが、らいの日常さんは基本的に歴史を俯瞰的に見ていて、決して没入していないんです。これは案外難しいです。例えば私は「三国志」曹操が好きなので、どうしても曹操を書こうとすると手加減をしてしまい、彼にとってマイナスな史実であっても、何か良い所は無いかとつい探してしまします。歴史を記事に書く時は、こういうスタンスは極力避けないといけません。好きだろうが嫌いだろうが、フラットな目線で見ないとアンフェアになりますからね。

伊達政宗は大抵の歴史好きにとってはヒーローです。私にとってもそうです。ゲームでも無類の強さを誇るし、顔グラフィックも先ずもってイケメンです。ですので歴女の皆さんにはたまらない武将の一人だろうと思います。東北では圧倒的な強さを見せた政宗ですから、巷間「政宗がもっと早く生まれていれば、天下統一は可能だった」などという言説が生まれました。しかし、これは絶対に不可能なことです。私は以前、こちらの記事(↓)で、戦国時代には織田信長以外天下統一は不可能だったということを書きました。秀吉家康信長の遺産を受けついて天下を統一したに過ぎません。ですので、当然早く生まれていようが東北の雄であろうが、伊達政宗には天下を統一できる実力はありませんでした。

政宗を好き過ぎるあまり、彼の実力(経済的、軍事的な)や置かれた背景過大に評価し、ロマンを見たくなるのは人情ですが、実際はそんなロマンで歴史は動きません。事実はもっと渋いものです。らいさんの記事では、政宗の置かれた状況等を俯瞰的に分かりやすく説明していて、実に素晴らしい内容だと思います。日本の戦国時代の一旦を知る上では良質な記事だと思います。

歴史を愛する姿勢

こちらの記事を書かれたtomodhlさんは、ご自身の紹介文を引用させていただくと、
「難病のため車椅子・人工呼吸器で生活。小・中学時代から日本史・中国史に興味を持つ」
とのことだそうで、大変なご苦労の末に歴史という「愛すべき存在」に出会われた方です。この方にとって歴史は心の支えであり、その探求は最早この方の人生そのものなのだと思います。私は確かに歴史は好きですが、この方程歴史を愛しているか?と言われれば、怪しいものがあります。私は結構適当に歴史と付き合っている感じで、いわゆる「友達以上恋人未満」的な関係なのかもしれません。この方の歴史に対する真摯な姿勢には、いつも敬意を感じます。

この方の着目すべき点は、何と言っても「隋」「唐」といったどちらかというと渋いテーマ探求されていることです。概ね中国史人気が高いのは「キングダム」でお馴染みの戦国時代、「項羽と劉邦」でお馴染みの楚漢の戦い、そして劉備諸葛亮が登場するゲームでお馴染みの三国時代になります。最近では「パリピ孔明」なんて作品も有名になりましたね。ですが隋や唐の歴史は、研究テーマとしては人気があっても、世上ワッと盛り上がることはありません。しかし、この時代は意外と日本との絡みが多くて、実は私たちにも馴染みの深い時代でもあるんです。歴史の授業で習いましたよね、遣隋使遣唐使は。その他にも隋や唐で活躍した多くの人たちは、意外と日本でも名の知れた人たちが大勢います。

例えば、こんな人たちです。隋の煬帝(ようだい)。この人はあの有名な厩戸皇子(聖徳太子)の書簡を受け取って激怒した皇帝です。でいきますと「西遊記」で有名な玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)。一般的には三蔵法師と言われていますね。孫悟空たちと一緒に天竺への長旅をしたというあの人です。「ガンダーラ」というゴダイゴの名曲(↓)が頭に浮かびますね。他にも阿倍仲麻呂がいます。遣唐使として派遣されたまま、帰国出来なかった人ですね。大変に優秀な人でしたら、唐でも高官として出世しました。あの有名は詩人李白とも親交があったようです。李白は酒を手にして詩を読む天才でした。私は大好きです。その仲麻呂や李白が仕えたという皇帝が有名な玄宗皇帝です。最初は名君として国の繁栄を築きますが、楊貴妃に恋焦がれるうちに惰弱となり、国を傾けてしまいます。

これだけの人名を見てみても、唐がいかに私たちと縁の深い国であったかが分かりますね。日本は唐から実に多くのことを学んだのです。空海も留学生として唐へ行ってますね。彼は日本の仏教の礎を築いたといっても過言ではありません。

tomodhlさんのスゴイ点は、隋や唐の歴史を突厥(とっけつ)というトルコ系の異民族との関係性から読み解いていることです。私が仮に隋や唐の歴史を書くとすると、単純に隋や唐だけにスポットを当てて書きますが、もっとグローバルな視点で書いているんです。異民族に関しては正直資料が少ないです。それにも関わらず、非常に丹念に記事を書かれています。図なども利用して分かりやすくまとめられています。これは相当な知識が無いと出来ません。「高名な世界史の先生からレクチャーを受け」と紹介文に記載されていますので、恐らくはこの方から学ばれた知識を俯瞰的に書かれているのだと思います。全く頭が下がります。

スキの数って…

記事に対するスキの数を見ておりますと、そんなに多くはありませんが、内容はスキの数とは比較にならない程優れた物です。よくこれ程の内容が文章としてまとめられると驚嘆します。恐らくそれは、tomodhlさんが病におかされながらも、歴史という最良の友を得、そこに自身の生命力を注ぎ込んでいるからだろうと思います。それだけこの方にとって歴史は必要不可欠な存在なのでしょう。私などには到底及ばない境地です。もしかすると、それは病というハンディキャップを克服するということに繋がっているのかも知れません。どうしても探求しておられる分野が一般の耳目を浴びやすいものでないため、今一つスキの伸びが弱いのかも知れませんが、私はそれに関係なくいつもこの方の記事を読ませて頂いています。唐は実に面白い時代ですので。唐の太宗をはじめ、個性豊かなキャラクターが大勢登場する時代ですから。

らいの日常さんにしてもそうですが、スキの数が記事の内容に比例していないと思うことはよくあります。もっとあっても良いのになあと。でも他人が何に心を動かされるかは、その人が決めることですので、何ともしようがありません。かく言う私も、そんなにたくさんスキを頂ける記事はありません。でもそんなことは関係なく、自分が書きたい記事を書いている感じです。まあ、音楽に関しては気にしますけどね。スキの数は相対的な評価であって絶対的な評価ではありません。

今回は歴史好きな私が、気になったライターさんの作品をご紹介しました。歴史はその人その人にとって大切な存在なんだなあと、今回の記事を書いてみて改めて思いました。お二人とも、歴史と素晴らしい出会いをされて、本当に羨ましいと思います。

                             

のことを書いていたらついドラマ「西遊記」のことが頭に浮かんで離れなくなったので、ゴダイゴの「ガンダーラ」が思わず聞きたくなっちゃいました。「西遊記」の懐かしい映像も堪能できます。唐は東西交易が盛んな国でしたから、異国情緒あるこんな雰囲気もあったのかなあ。それにしても夏目雅子は綺麗だなあ。彼女の影響で三蔵法師が女性だったと勘違いしていた人もいたとかいないとか…。

                              おしまい


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