熱が出たと思ったら10万人に4人の難病だった話
こんにちは、もーこです。
秋葉原で「株式会社MoWorks」というWebデザイン会社の社長をしています。
突然ですが2021年12月、タイトルの通り難病(国の指定難病)と診断されました。
病名は「成人スティル病」です。
病名を聞いたこともない方が多いと思います(私ももちろん知りませんでした…)大きくは「膠原病(こうげんびょう)」という病気の一種になります。
その中でも成人スティル病は日本には5000人弱くらいの方がいる推定だそうですが、1971年に初めてその存在が報告された比較的新しく珍しい病気になります。 症状としては1日に39度以上の高熱が出て一定期間続く、皮疹、関節痛などが特徴です。※人によって違います
詳しくは記事の下にリンクを貼っておりますので、気になったら見ていただけると嬉しいです。
私自身、病名はおろか膠原病という病気があることも全く知らず「思ってもみなかったこと」ことが自分に起こった状態でした。治療は現在も進行中ですが、この1ヶ月の間に生活は一変しました。
5つの病院を経て病名にたどり着くまでにも1ヶ月以上かかりました。 その体験と「難病」と付く名前の病気に関わることになって、今までの価値観や仕事への意識が少しずつ変わってきたのでその気持ちを書いていこうと思います。
ちなみに、難病とは下記の理由だそうです。
発病の原因がわからない
長期の治療を要する
治療方法が確立されていない
希少な疾病である
「重い病気で治らない=難病」では無く日常生活を送れる人も増えているとのこと。病気と付き合っていくことが重要だと感じます。
成人スティル病体験談
手足のじんましん、からの高熱
2021年10月の終わり。
仕事を終え、その日の夜ちょっと疲れていた私は行きつけのマッサージ店に行きました。 ふと両腕を見ると内側にふわっと紅い色が。ピンク色で本当にふわっとした色だったので気に留めませんでしたが、恐らくそれが自分で気づいた最初の症状でした。
その時はじんましんが出たのかな?とまず思いました。
マッサージ店のトイレに行った時、今度は両太ももの外側に引っ掻き傷のような紅い線が何本もついているのを見つけました。 腕にふわっと出ていた紅さではなく、血のような濃さでちょっとギョッとするような見た目でした。この時「あれ?今まで見たことのないやつだ」という感じでした。 ただ「寒冷じんましん」いうのがあることを知っていたので、おそらくそれが出たのではないかと想像をしていました。
というのもその日の昼間に大きなアイスを食べていて、それ以降ずっと寒かったのです。そのせいで身体を冷やしてしまったのかなと。
いつもと様子が違うとは思いながらも寒いせいと疲れが混ざって体調が少し悪いのだろうなくらいの気持ちでいました。
数日すると、両腕と両太もものじんましん(らしきもの)はさらに広がっていきました。両腕は肘から手にかけて内側に紅いポツポツができ、両太ももはもっとひどく外側が付け根から膝にかけて濃いピンク色になっていました。 とにかく見た目が酷いのでこれは診てもらった方が良いと、近くの皮膚科に行くことに。土曜日で混む中、入ってすぐ、じんましんは原因がわからないものだと説明を受けました。細菌やウイルスの可能性もあるし、寒ければ寒冷じんましんの可能性もあると言われ、今回はやはり寒冷じんましんだろうと。温かくすることと、じんましんのガイドブックをもらいアレルギーの薬を処方されて終わりでした。
高熱が出たのはその次の日のことでした。
下がらない熱
皮膚科にかかった次の日、朝から39度を越える熱が出ました。
40度近くまで熱が上がり、熱が下がっても38度の状態が1日中続きました。 この時期コロナの疑いもあるので、PCRを受けることに(これ以降病院に行く度にやることになる)
ただ、日曜日で病院がやっておらず月曜日を待って受診できるところを探して行きました。
月曜日、診てくれる病院は見つかったものの車の中で体調を聞いて電話診察のみ、PCRも車の中で窓を開けて鼻に棒を入れてもらうという状況でした。 結果は陰性。風邪の初期症状ではないかと、漢方薬と解熱鎮痛薬のカロナールを処方されて終わりました。
そこから2日間、漢方薬とカロナールを飲んでも相変わらず39度近くの熱が続き、再び同じ病院で診察することに。 PCRが陰性だったことで、病院内に入りやっと対面での診察が可能になりました。それでも熱があるので他の患者さんとは隔離された場所で待機していました。
ここで血液検査や尿検査、胸部のレントゲンを撮りました。
血液検査の結果、CRPという体内の炎症反応が17(通常は0.1程度)と非常に高いことがわかりました。他にも肝臓の値が良くない、白血球数も多くなっていることを指摘されました。
今思い返せばこの時の数値はだいぶ酷い状態だったと思います。
細菌への感染かもしれないとのことで抗生物質をもらって様子を見ることに。
じんましんで歩けない
抗生物質とカロナールを飲んでから1日のうちで半分くらいの時間は36度台まで下がるようになりました。
しかし、午後から夜にかけては変わらず37度〜38度に上がってしまいます。
それでも36度台まで下がると、だいぶ体は楽になりました。この時間はパソコンを開いて仕事もしていました。
1日の体温は、寝起き38度→午前中36度→14時過ぎ37度→夜38度、というようなサイクルになっていました。午前中が活動の勝負でした。
ただこの頃から、熱以上にじんましんが悪化していて、膝が真っ赤に腫れ熱を持つようになりました。パジャマを履くと皮膚が擦れる、太ももは紫色(さつま芋の皮みたいな色)になり、膝の裏に至っては皮膚が依れてしまい膿のようなものまで出るようになりました。
熱よりも足のじんましんが辛く、このままだと足が腐ってしまうのかと思ったくらいです。歩行も困難で、立ち上がったり階段を降りたりという動作をするにも、誰かに支えてもらったり手すりに掴まりながらではないと移動ができませんでした。片方の足を軸にして痛い方の足を引きずるようにしながら歩いていました。
この時が1番症状が重く、身体もいちばんしんどかった時期です。
この時、夜中に熱で眠れずふと自分の症状を検索してみたのです。すると「成人スティル病」のページがヒットしました。びっくりするほど自分と似た症状が書いてあったのを覚えています。この時、初めて自分自身でこの病気の可能性にたどり着いたのでした。
難病と書いてあるしまさかそんな事はないだろうと思っていました。
ただこの病気の症状が当てはまりすぎていて何だか無視できない予感のようなものもありました。
熱が出てからここまでで、1週間が経っていました。
皮膚科から、膠原病外来へ
じんましんの悪化により、総合病院の皮膚科に紹介状を書いてもらうことになりました。
大きい病院だったのでやっと病名が分かるかもしれない、変な病気だったらどうしよう、もしかしたら入院と言われるかもしれないと思いながら受診しました。 紹介状を持って行っても熱があるということで少し離れたところに座り、診察可能かを確認することに。
どこに行っても熱があるとそれだけで診察自体が厳しいのは同じです。
少し待たされてから診察室へ。今までの経緯を話すと、ウイルスなどの感染から来るじんましんではないか、とのことでステロイドの塗り薬をもらい「あっさり」帰ることになりました。数日後にまた来てくださいと。 薬のみの処方で診断はちょっと拍子抜けでしたが、ひとまずステロイドを脚や手に塗りたくり経過を見ることに。
数日後、ステロイドの塗り薬で足の赤みが収まってきました(この時に初めてステロイドの効果の凄さを知ることに)足の炎症が収まったことで皮膚は紫色からだんだん綺麗になっていきました。 ただ、関節が痛くて歩き辛い、やはり熱は午後から夜に上がって下がらないというのは変わらず。熱があるので根本的に治っていないのでは、という状態でした。
数日後、再度皮膚科に行って、熱が下がらないことを説明すると、なんと、紹介状を内科宛に再度出してもらうか、別の病院へ行って熱を診てもらってくださいとのこと。
え、同じ病院の内科で診てもらえないの!?という疑問とともに、熱も含めて総合的に診てもらえないんだという切ない気持ちになりました(知りませんでしたが確かに皮膚科は熱は専門外ではあるようです)
つまり、ここでは皮膚は見るけど熱はまた違うところで診てもらってよと言われた感じです。何だか振り出しに戻った気がしました。
よく分からない症状があったらまず何科にかかったら良いのが分からないですよね。 皮膚科か?内科か?膠原病科か?
この時、ちょっとこれからどうしたら良いのかわからなくなりました。
どこの病院に行くか、どこの科にかかるのが良いのか。自分で行くところを判断するしかない状況になっていました。
ここで今までの症状や自分で調べた結果から「膠原病科」が近いのではないかと決意。家族とも相談し、今度は紹介状無しで膠原病外来のある病院へ行くことにしました。ここが4つ目の病院になります。
ここまでで熱が出てから2週間が経っていました。
成人スティル病の疑い、検査入院
膠原病外来でも熱があるとのことでやはり隔離、PCR検査から始まりました。たっぷり1時間をかけて陰性とわかり、やっと診察。
今までの経緯のメモや、別の病院の血液検査の結果を持っていきました。
診察室に入るなり、問診票と血液検査の結果を見た先生から「成人スティル病」の可能性がある、検査入院してほしい。とハッキリ言われました。
身体や膝も見ていただき、腫れているね、と。スティル病の典型的な症状が出ているが、それ以外の別の病気の可能性の排除をしないとこの病名にはたどり着けないので検査が必要とのこと。
ここに来て初めてバシッと病名の可能性を言われました。
はっきりと言われたことに驚きつつ、少しモヤが晴れたような感じと「やっと原因や病気がわかるんだ」という気持ち「検索した通りやっぱり成人スティル病なのか」という不安な気持ちが混ざりあっていました。
ただ、これでやっと自分の状態を正しく知ることができるという気持ちが強かったです。 自分の症状を調べたり、可能性を感じて膠原病科に来て良かったという気持ちもありました。
診察から2日後には入院となりましたが、ここが自宅から1時間以上かかる大学病院でした。
ここが5つ目、最後の病院となりました。
検査入院〜病名確定まで
検査入院をするなり初日から検査が入りました。
血液は毎日のように採られます笑
入院中にやった検査
血液検査(2日に1回くらいのペース)
胸部レントゲン
心電図
造影剤付CT
上部内視鏡(胃カメラ)
皮膚生体検査
血管エコー
検便
歯科検診(病名が分かってから)
内部エコー(病名が分かってから)
入院して2日くらい経つとするすると熱が下がり、1週間ほど36度台の日々が続きました。身体には紅い斑点が必ずどこかに出ていましたが、日に日に検査の数値も下がって来ているとのこと。
仕事から離れて病院でゆっくり療養している気分でした(実際にそうでした)
結局2週間かけての検査が全て終わっても病名は確定せず「成人スティル病疑い」のままでした。(生体検査をした皮膚科の方からはスティル病では無いのではないかという意見もありました)
そして、ステロイド治療のリスクを考えるとこのまま症状が無く数値が良くなっていくなら通院しながら経過観察するとの判断をいただきました。
この時、ステロイドの副作用と私の状態を診てリスクの少ない選択をして下さったのだと思います。
検査しても病名が付かないことに少しモヤモヤしましたがこのまま自然に症状が収まって消えていけば良いなと思っていました。
その退院前夜、急に熱が上がりました。
退院当日の朝も38度以上の熱があり、何とも体調が悪い状態に。荷物を纏め服も着替えて退院のために待機していましたが当日の判断で「入院延長」となりました。 それと同時に「成人スティル病」と診断されました。前日の血液検査の結果でも急激に数値が上がっているものもありそちらの判断も入ったのだと思います。
この日からステロイドの服用が決定し治療開始となりました。
熱が出てから32日、入院してから14日が経っていました。
現在とこれからのこと
2021.12月末時点、現在も治療中です。
・ステロイド量30mg(7日間)→50mg(7日〜継続中)
復帰はこれからですが「難病」と呼ばれる病気に罹患し日常生活を送る上でリスクは大きく2つあると考えています。
何かのきっかけによる症状再発のリスク
ステロイドを服用することによる感染症などの副作用にかかりやすいリスク
膠原病の治療として一般的に使われるのは「ステロイド」という薬なのですが、これを長期で飲み続けなければならず、そのため体への負担(リスク)も大きいのです。
入院しながら考えたこと
今までと考え方を変えていく必要があること
まずは自分自身が病気やリスクを理解する必要があること
自分の身体と向き合い病気を理解すること
周囲とリスクを共有し社会に貢献すること
診断、治療を受けたことで大前提は2つと考えていますが「今までと違う」働き方、考え方で日常生活を送り、まず自分自身が働き続けられる状態を作っていきたいという気持ちが強くなりました。
私自身も、会社としても「難病という病気と付き合う」「周囲への理解」がこれからの課題と考えています。
また、社長である自分自身がこの病気にかかったことで、自分自身がまず働き続けられる状態を前提として、メンバーや経営者が困難な状態になった時も辞めなくて良い会社、働き続けられる会社を作りたいと考えるようになりました。
そのために何ができるかをこれから病気との付き合いを通して考えていきたいと思っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
※2022.4.17追記
ステロイドは20mgに減り治療継続中です。
※2021.12.30追記
年末ぎりぎりで退院しました。
退院時もステロイド50mg服用で治療継続中です。
成人スティル病 難病情報センター 成人スチル病(指定難病54) https://www.nanbyou.or.jp/entry/132
難病・指定難病とは?医療費助成の内容と申請方法、利用できる福祉支援について解説します。
なんびょうにっき (ナックルズ the BEST) Kindle版
↑スティル病とわかる前に読ませていただきました。とてもかわいくわかりやすく体験が書かれています。
株式会社MoWorks
http://moworks.co.jp/