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新商品の粒度

事業を成長させる時の基本的な思考法としてアンゾフの成長マトリックスがあります。
縦軸に市場顧客の既存と新規、横軸に商品の既存と新規を並べて4マスのマトリックスを作ってどの領域で何をするかを決めるものです。
既存商品を既存市場にもっと浸透させる戦略、既存市場に新商品を開発する戦略、既存商品で新規市場を開拓する戦略、新規の商品と市場で経営の多角化を図る戦略に分かれます。
多角化は経営もしくは事業部長クラスが、新規市場開拓は営業部門が担う為、商品企画として取り組めるのは市場浸透か商品開発のどちらかです。

商品の既存と新規という線引きは考え方によって変わります。
ある粒度では全てが既存であり、ある粒度では大半が新規になりうるのです。
この既存と新規を分ける時の線引きの粒度を意識することで、商品企画に対する視野を広げてみましょう。

一番細かな粒度で見た場合、商品ラインナップの中での新規と既存があります。
松竹梅のラインナップで梅しかないので松と竹を作るのも新規と言えますが、既存の商品の価格展開に過ぎないので既存とも言えます。

一つ視座を上げて考えると商品カテゴリーでの新規と既存が見えてきます。
ゼリーの横のムース、ヘアピンの横のヘアゴム、掃除機の横の空気清浄機、これらは商品カテゴリーの切り方で新規にも既存にもなり得ます。
用途は新規ですが、それぞれ食品の日配品、ヘアアクセサリー、集塵系家伝という切り方では既存となります。

集塵系家電の外側には生活家電、更にその外には白物家電、家電、耐久消費財と広がっていき、広がるほどにそれまで新規だと思っていたものが既存領域になります。
商品企画としてできる限り新しいこと、新規の領域に手を伸ばしたいものですが、新規であることは即ち知識も経験も乏しいということです。
時には切り方を変えて既存領域と捉えることで、それまで培ってきた経験や知識を活かすことも考えた方が良いでしょう。

捉える粒度次第で全ての取り組みは新規にも既存にもなり得ます。
あとはどう取り組むか次第なのです。

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