【珈琲】ぼくのコーヒー時間
日が暮れて、夜がゆっくりとやってきた頃、
ぼくのコーヒー時間がはじまる。
お気に入りの豆をとり出して、焙煎器を火にかける。
目をとじて、音と香りを感じる。
なにも考えない。
その時間にあわただしかった一日が、すっと落ち着いてくる。
挽いた豆にお湯をそそぐと、ゆたかな香りが広がる。
ふんわりとふくらんだ粉が、どこか可愛く見える。
カップにいれて、ひと口味見。
わずかな苦味のあとに、まろやかな優しさが広がる。
「うまいね」とコーヒーに言ってみる。
その後、ランタンに火をともし、蛍光灯はオフ。
柔らかい光の中で、ゆっくりとコーヒーを飲む。
「あ~、今日もいい一日だったなぁ」
そんなコーヒー時間のおかげで、
ぼくは、なんとなくいい一日を更新している。
ほんの少しの好きな時間で、人は幸せになれる。
ぼくが、単純だからかな。
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