【第9回】小学校の自由研究が、プチ小説家のデビュー作になったおはなし📚
「人間にとってもっとも悲しむべきことは、病気でも貧乏でもない。自分はこの世に不要な人間だと思い込むことです」
これは、愛されるという喜びを人々に与え歩いたマザーテレサが残した言葉。私がはじめてマザーテレサの伝記と出会ったのは小学3年生の時でした。
こんばんは🌕文月ノベルです。
皆さまの中にも、小学校のころ、たくさんの伝記を読んだ経験がある方がいらっしゃるのではないでしょうか。私も例外なく、その1人です。
「最も大きな苦しみは、孤独です。愛されていないと感じることですし、だれ一人友がいないということなのです」
黒い世界を知らず、グレーな世界さえも知らないこのころの無垢な私には、マザーテレサの目線で描かれる「死を待つ人の家」の人々や出来事は、冷凍庫の奥底に眠る忘れられた氷のように冷たく、悲しかったことを覚えています。
人の痛みがわかる人間になりたい。
人に愛を、与えられる人間でありたい。
だからこそ私は、真っ白なこの守られた優しい世界で、心からそう、願っていました。
それではその頃の詩を書き綴ります。
◇大人になったら
人に優しい大人になる
強い心を 持つ大人に なる
きれいな 言葉を話す 大人になる
人の悲しみが わかる大人になる
人の楽しみが わかる大人になる
◇晴れ 時々 雨
せっかくの日曜日なのに雨
晴れていれば
遊園地に行くはずだったのに・・・
ても
この雨を喜んでいる人がいる
お百姓さん
かたつむり
花・草・木・・・
たまには雨でも まあいっか
◇心
人間には心がある
物にも心がある
机・鉛筆・消しゴム・・・
いろいろなものに心がある
「物に心なんてないよ」という人がいる
でも私は、ぜったい心・・・
あると思う
だから
机も鉛筆も消しゴムも
私は大切に使いたい
◇ピアノ
私は
楽しい時 うれしい時に ピアノをひく
悲しい時にも ピアノをひく
心が いやされるもん
期末テストが近づいた時や
テストの点数が悪かった時にも ピアノをひく
頭がスッきりするよ
私のピアノを聞くと
どこかの誰かさんが
楽しくなって くれるかな?
◇終と始
ある日の夕方
私の帽子の上に赤とんぼ
いつの間にか
あさがおの花も開かなくなった
誰も何も言わないけれど
あー
もう夏が終わっちゃうんだ
眠る時ふいに聞こえる
虫の声
いわし雲もやって来た
今度は秋が始まるよ
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こうして小学3年生を終えた私は、ついに次号から高学年を迎えます。
もしも世界に色があったとしたら、きっと透き通るほど純白だろうなあと想像していた私に、さまざまな色があることを教えてくれたのは、フィクションの本や詩だけでなく、史実に基づいた伝記。
伝記越しに見えた世界は、私の幼い胸のどこかにずっと刺さっていたのでしょう。私はその10年後、単身インドのコルカタにある『死を待つ人の家』に訪れることとなりました。
そこで見た景色や、忘れ難い出逢いの数々は、またどこかで綴っていければと、思います。が、最後にーーー。
「世界平和のために何ができるかですって?
家へ帰って、あなたの家族を愛しなさい」
マザーテレサは、世界平和のために私たちができることをこう、語っています。
手の届く範囲でいいから、いや、むしろ、手の届く範囲こそがもっとも大切なのかもしれません。
愛は、身近なところから。
今晩も、ありがとうございました(*´-`)。