おなじ話
今年の夏は仕事ばかりしていた!。
ある夏の話を書きたいと思った!。
僕にとっては、10数年ぶりに行った海。
女友達3人と僕。
運転のできない僕は、
朝早くに、彼女にいちばん最初にピックされる。
CDをプレイヤーに入れる、助手席の僕。
「SPIRITUAL LIFE MUSIC」というハウスのコンピレーションだった気がする。
ながーいシークエンスのあと、
キックが入ってきた瞬間!。
ふたりで一気にテンションが上がる。
2人の仲間を拾って、途中でお蕎麦を食べたりしながら、目的地まで。
左右に別れ道がある、目の前が山で行き止まりの、道の途中で、彼女がいきなり急ブレーキをかける。
そのまま、山に突っ込むと思った!。
大爆笑するふたり。
海辺の旅館について、予め用意しておいた小さなBluetooth仕様のスピーカーで、たくさんの音楽をかけ、そこから海辺へ。
ひとっ子ひとりいない綺麗な海。
旅館も貸し切り状態で、
宴がはじまる。
たくさんの海の幸や、お酒を食べて、
たくさんの音楽をかけて、
夜の海で花火や足湯をして過ごす。
ふたりは両思いなんじゃないかなぁ、
なんて言われる。
それからまた海辺へ歩く。
思えば、彼女と出会ってから、
いつもふたりは歩いていた。
夜の街を。
鼻唄、歌声がふたりの通り過ぎたあとを流れていく。
海辺にスピーカーをおいて、
ふたりはそれぞれに寝っ転がって、
夜空を見上げながら、
たくさんの歌をかける。
クラムボンがTHA BLUE HERBのBOSSを招いた「あかり」、going steadyの「星に願いを」、fishmansはたくさんかけた。
流れ星は見つけられなかった。
でも「この時がずっと続けば良いのにな」とは確かに聴こえてきた。
旅館に戻り、また宴会がはじまる。
彼女が、「彼氏ができました」という。
僕は絶句する。
空気が一気にこわばる。
それでも、テンパりながら、
他愛なく喋り、いざ寝る時間。
彼女が真ん中のお布団で、
僕も寝ようと、その隣へ。
ねぇ、今日の写真を見よう?と、布団から、
僕に携帯を見せようとする彼女が、
かわいすぎて、
慌てて僕は、もうちょっと呑む!とそこから、
逃げ出す。
朝まで寝れなかった。
みんながぐーぐーいびきをかいてるなか、
5時くらいに、僕はひとり海に出る。
日の出、富士山が見える海辺で、
でたらめにメロディーを歌う。
それから、近くに神社があるってんで、
そこを目指す。
神社は実はちょっとだけ角度が険しい、
山の山頂にあって、
30分かけて登り、
祈り、
そこに願いを置いてきた。
旅館に帰ると、
あいみょんの「裸の心」を(記憶では)彼女が歌っている。
あいみょん、僕が聴いてるって言ったら、
あまり聴かないなあって言ってたじゃん、って
笑う。
それから初めて帰り道、
さわやかのハンバーグを食べる。
美味しかった!w。
車のスピーカーからはずっとハンバートハンバートがかかっている。
鍾乳洞や大きなモールなどに寄って、
夜、この街に帰ってくる。
レンタカーをかえし、彼女の車に乗り換える。
僕をいちばん最後に降ろすと言う彼女。
だけれど、仲間が、いちばん近いんだから、
最初に降りなと言うものだから、
あっさり、夏の旅は終わる。
ー
思えば、彼女と出会ってから5、6年は経つかな?。
その旅をした3人がいちばん、僕のこの数年の、ようやくの成長を知っている。
ちょっとずつタフになってきているし、
落ちても上がるペースは以前より早い。
それから疎遠になる時期はあっても、
最近はほとんど一緒に歩いてはいないとは言え、
いちばん一緒に歩いていた。
いつまでも一緒に歩こうね、って約束をした。
それからあの夏から、できることから、
手をつけはじめた。
強くなるために。
なるべくボディタッチはしたくないし、
されたくないけれど、
別の日、泥酔した彼女が、
ハグ!というものだから、
何度もハグをした。
両片思いと言ったら、笑っていた。
ー
彼女の事は、彼女にしか分からないし、
僕の事は、僕だって分からない時がある。
ただ、久しぶりに、また一緒に歩きたいな、
と彼女と会っても、もう一緒に帰ろうとはならないいま思う。
それから、あの神社に置いてきた願いをいつか、この手に取って、夜空に放つ日が来ると良いな、と思う。
どこへだって行けるように。
どこへ行っても、大切に思う気持ちだけは、
僕も忘れないし、彼女にも忘れて欲しくないと心から思う。
また一緒に歩こうね、約束を破る年じゃなくなったからね。
出会ってからずっと聴いているハンバートハンバートの「おなじ話」をここに置いて、
一旦、ある夏の話は終わります。
読んでいただき、ありがとうございました。
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