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こころのひだ

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綺麗な飛田くんは自転車にも乗れなかったのにバイク事故で死んだのだった。 それまで彼のことを思い出しもしなかったのに、飛田くんの死から花実は、死んだ彼に恋したように、中学生のとき…
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#小説

小説「こころのひだ」1

小説「こころのひだ」1

「ひだがなくなったよ」

早く終われ、と願ったことがようやく終わり、ベッドに倒れ込んで横になる私に向かって、
橋本くんはそう呟いた。

それは、まるで人工音声が天気予報を読み上げるみたいな単調さだったし、橋本くんの唐突で脈絡のない呟きに一瞬、頭が混乱して、

私の膣の「襞が無くなったよ」。

そういう意味で言っているのかと思った。

私の家は、南向きには大きめの窓があって、そこからは日差しがよく差

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