短歌一首「冬されば」
令和四年十二月一日
昨日より降り始めた雪は、音もなく降り積む。ついこの間まで夜の伴として寄り添っていた虫の聲たちは、いまや一聲も聴えぬ。
あとに遺された私は、ただ黙々と夜のなかに佇んでいる。足許はもう薄らと白く染まりはじめていて、細やかな風雪が服の隙から這入りこんでくる。秋はこれで終わったと、風が鳴いているようだ。今年の最後の季節、残りの日数をぼんやりと数えていた。
冬されば虫の聲こそはた絶えね死のみしずしず雪白く積む
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