「とり残されないやうに」
雪の結晶を拡大すればあんなに奇麗だなんて、
教えてくれてゐたならば、きつと私は良い子でした。
潮の満ち引きと友達になりたくて、
磯にとり残されたときの歓びを忘られないのです。
真夜中の学校は卒業式よりも美しくて、
誰もゐない教室の椅子たちは支配者からの解放を高らかに唄ひ、
差し込む月灯かりは昼よりもなほ昼らしく、
この独立記念日を祝ひながら私の心を捉へたのでした。
それが刹那の幸福であつて、
陽が昇ればまた尻に敷かれるやうであつても、
一瞬の幸福だからこそ、我々はより確実に