夏のせい
暑い。
うだるようなこの過酷な暑さに、私の頭が正常な判断をしてくれなくなった。まるで熱に浮かされたように。
あまりに久しぶりのそれは、思っていたよりとても素敵なことだった。
もうあの人に対しての罪悪感も感じなかった。
それくらいには時間は経ったのだと、実感した。
もともと罪悪感を感じる必要性など、なかったのだけれど。
あたたかさに、心から安堵した。
そのあたたかさは、私の中のずっと頑なに閉じていた部分をそっと柔らかく包み込んだ。
なんだか許されたような、救われたような心持ちになった。何かからは、わからないけれど。
本当はもっとそのあたたかさを感じ続けていたかった。たとえそれが、本当に心を許した相手ではなくとも。
ずっと頑なに閉じてきたのは、そうすることで自分を保つことができたから。それは私に必要な時間だったし、後悔なんてしていない。これからもその基本的な部分を変えるつもりなどさらさらない。
けれどこの夏の焼き付けるような熱に、私の心は浮かされてしまった。きっとずっと浮かされたかったのだ。心のどこかで、ずっと。
すべてを夏のせいにして、なに食わぬ顔して今日も私は生きている。
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