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「全国最中図鑑」46 まけずの鍔《つば》(滋賀県近江八幡市)

織田信長は、桶狭間の合戦に先立ち、熱田神宮で戦勝祈願をした。その時、神前に向かい「神様、願わくば我軍必勝を目に物見せ給え」と一握りの永楽通宝を空高く投げ上げた。すると通宝はすべてが表を向いて落ちた。信長は「あゝ有り難や、我軍勝てり」と勝利を確信したという。
この合戦に見事勝利した信長は、愛刀の鉄鍔にこの永楽通宝を嵌め込み、以後、連戦連勝を重ねた。後世の人々はこの鍔を「まけずの鍔」と呼び、現在は国の重要文化財となって安土城趾の摠見寺そうけんじに安置されている。
信長が天下の名城・安土城を築いた安土の地で、明治43年から菓子店を営む万吾楼は、この逸話から、勝利を呼ぶ縁起もなかとして「まけずの鍔」を考案した。拓本によりこの鉄鍔をそのまま型取り、香ばしく焼き上げた滋賀羽二重持ちの皮に、厳選した北海道産の大納言小豆と大手亡豆の2色のあんを合わせた贅沢なもなかである。
香りが高く日持ちも良く、縁起の良い菓子として人気が高く、特に合格祈願、必勝祈願の贈り物などに喜ばれている。

万吾楼
近江八幡市常楽寺420


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日本を代表する和菓子の一つである「最中」。香ばしいパリパリの皮とともに餡を頬張れば、口の中にふわっと広がる品のよい甘さ。なんとも幸せな気分になるお菓子です。編集スタッフが取材の途中で出会った最中のなかで、ユニークで忘れることのできないご当地最中を紹介していきます。


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