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「全国最中図鑑」91 芝川のり最中 (静岡県富士宮市)


富士山西麓を源とする清流で自生する芝川のりは、淡水産の緑藻の一種で、室町時代や江戸時代には幕府や朝廷に献上されていたというほど、古くから富士宮市の特産品として知られる。
昭和20年代までは30〜40センチほどの大きさのものが年間5,000枚近くも生産されていたというが、実は生育条件が非常に厳しい植物で、水温は通年8〜15℃、流れの速さは秒速0.5メートル以上、日当たりが良く、水深は30センチ以下という条件が揃わないと育たないデリケートなもの。これが近年の環境変化に馴染まなくなったのか、収穫量が激減し、今では「幻の川のり」といわれるほど貴重なものになっている。
富士宮市の菓子処・藤太郎の「芝川のり最中」は、この貴重な川のりを白あんと一緒に練り込んだ珍しいもなかである。口に含むと爽やかな海苔の香りが口中に広がり、良い意味でもなかのイメージを少し変えてくれる独特の味わいがある。

藤太郎
富士宮市大宮町8-3


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日本を代表する和菓子の一つである「最中」。香ばしいパリパリの皮とともに餡を頬張れば、口の中にふわっと広がる品のよい甘さ。なんとも幸せな気分になるお菓子です。編集スタッフが取材の途中で出会った最中のなかで、ユニークで忘れることのできないご当地最中を紹介していきます。

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