「全国最中図鑑」26 卍最中(青森県弘前市)
弘前の目抜き通り・土手町通りに店を構える開運堂は、明治12年創業の和菓子の老舗である。その開運堂の代表的銘菓が「卍最中」。卍は一般的には寺の地図記号として知られているが、実は弘前城主だった津軽家の旗印でもある。
明治39年、津軽藩の藩祖・津軽為信公の没後300年を記念して、開運堂の初代・木村甚之助が旗印の使用を許されて作ったのが始まりだそうである。さらに明治以降、卍は弘前市の市章にもなっていて、皮全体に卍の一字が大きく浮き上がった卍最中は、弘前のシンボル的な菓子となっている。
卍最中の味は、あんに大きな特徴がある。白あんをベースに手亡豆(てぼうまめ)(小粒の白いんげん豆)と砂糖をしっかりと炊き上げたこしあんは、ねっとりと柔らかい食感。最中皮の内側の色とほとんど同色の淡いベージュのあんに、小豆の黒い粒々が混じる。他ではあまり見られない珍しいあんだが、珍しいだけでなく、そのとろりとした得もいわれぬ味わいは、ちょっとクセになりそうだ。
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