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DNA検査「MyHeritage」の精度に度肝を抜かれた話

DNA検査で自分の民族的起源(エスニック・オリジン)を調べられるサービス「MyHeritage」の精度がとにかくすごかった。

【2024/4/13 表現に不正確な点があったため一部修正・追記しました】

「MyHeritage」とは

DNA検査で自分の民族的起源(エスニック・オリジン)が調べられるサービスを提供するイスラエル企業。

主なサービスは、以下の通り。

①自分のDNAの何%が「日本人・韓国人」(注1)で、ほかの何%が何人で・・という民族的起源(エスニック・オリジン)を教えてくれる。

(注1)「MyHeritage」では一括りに分類される

例えば、「日本人・韓国人」の大分類の中に複数の小分類のエスニック集団が存在しており、自分が該当する小分類ごとの割合が示される形だ。またその結果から、自分とDNA上関連度が高いと推定されるエスニック集団が、特定の時期に地理的にどこに分布していた可能性が高いかを教えてくれる。

よって、そのエスニック集団の過去の地理的分布の状況を、自分の先祖の過去の出身・居住地を推定するための材料にできる。

②アカウント上で家系図を簡単に作ることができる。家系図を作った場合、自分の家系図に出てくるのと同じ名前の人が、同社のデータベース上にある情報と一致した場合、通知してくれる(詳細を見るのには別途料金がかかる)。データベース上にある情報とは、出生や婚姻、学校の在籍情報、特許取得情報などの情報を同社が集めたもの。ただし、欧米の情報源が多いとみられ、ざっと探したところでは日本で連携している情報源は見つからなかった。

③自分のDNAと一部が一致するDNA Matchの人を教えてくれる。何かの理由で離れ離れになった家族を探したりするのに有効。

どうやってDNA検査するのか

方法は簡単。MyHeritageのDNA検査キットをネットで購入(ヨーロッパでは定価90ユーロ程度、プロモーション時40ユーロ程度+送料)し、届いた検査キットを使ってサンプルを採取した上で指定の住所に送る。私は現在ヨーロッパに住んでいるからか、ドイツのラボが指定住所だった。

サンプル採取は簡単で、巨大な綿棒のようなものに自分の頬の裏側をこすりつけるだけで、痛くもない。サンプルを郵送してから1ヵ月ほどで結果が出た。

結果到着

DNA検査って本当に当たるんだろうか。適当に分析されていたりしてもわからないよね、などと思っていたのだが、結論、精度が高くて本当に驚いた。

上記に書いた①の結果は、私は約95%が「日本人・韓国人」でそのほか数%ずつ、ほかの複数の民族が含まれていた(全然普段の生活上関わりのない地域で興味深かった)。例えば「フィンランド人」が約2.5%含まれていたが、計算上は5~6代前にフィンランド人が1人いたことになる。

しかし、先のnoteで書いた通り、5~6代前までは自分の先祖を戸籍で追えているので、5~6代前にフィンランド人はいないことがわかる。

これだけだと、「え、やっぱり適当な検査結果なのでは?」と思える。

ところが、併せて見られる「自分とDNA上関連度が高いと推定されるエスニック集団が特定の時期に地理的にどこに分布していた可能性が高いか」の結果がすごかった。

この情報は、「Ethnicity Estimate」のGroup Timelineから地図とテキストで見ることができる(注2)。

1800~2000年までの50年刻みで地図上に、その時期に自分とDNA上関連度が高いと推定されるエスニック集団がいた可能性が高い地域が着色されている。

(注2)あくまで自分とDNA上関連度が高いと推定されるエスニック集団の時間的・地理的な分布状況なので、この分布状況=自分の先祖の分布というわけではない。このエスニック集団の分布状況の中に、自分の先祖の分布状況と一致するものが入っている可能性があるということである。

母方父方とも、先祖の出身地とピンポイントで合致(驚)

自分の結果をみると、1900~1950年の「Top Places」の最有力候補に、ある県のある自治体名が書かれていた。先の戸籍調査によって、曾祖母の戸籍があった自治体がわかっているのだが、MyHeritageが挙げた自治体はその戸籍のあった自治体の隣の自治体。

日本広しと言えど、そこまでピンポイントで当たるのだろうか!?さらに言えば、MyHeritageは特段日本人のサンプルが多い会社だとは思えないのだが、それでもこの精度の高さである。

また、1850~1900年の地図では日本のある地方がかなり濃く着色されている。濃く着色されているというのは確度が高いという意味だ。これは母方先祖が(少なくとも)150年程度住んでいる場所、父方も一部の先祖が住んでいる場所なので間違いない

さらに1800~1850年の地図では、1850~1900年の地図にあった濃い着色はなく薄い着色だけになり、これまで着色のあった地方のほか、戸籍調査では上がってこなかった地方が2つ薄く着色されている。このことから、戸籍で遡れるより前の時期、先祖は父方、母方それぞれこれら地方に住んでいた可能性があることがわかる。

MyHeritageには私の名前や誕生日といった登録情報以外、出身地や両親の出身地など地理的なヒントになるような情報は一切提供していない。ただただ、頬の裏側から取得したDNA情報だけで、これほど正確に先祖の出身地域を当ててきたのである(注3)。

(注3)正確には私のDNA上関連度が高いと推定されたエスニック集団の分布の状況・変遷が、私の先祖の状況・変遷と一致したことが確認できたということで、My Heritageが私だけのためのパーソナルな先祖の状況・変遷を当ててきたというわけではない。

本当にその精度には度肝を抜かれた。戸籍調査をして5~6代前の先祖の情報まで把握しており、上がってきた結果が正しいと確信できるからこそである。

なお、フィンランド人については、私個人の家系に特定のフィンランド人がいるということではなく、先祖の集合体としてもっと深いところで共通している部分があるんだろうと解釈した。

なお、フィンランド人と出る方は、もしかしたら日本人では珍しくないのかもしれない(週末北欧部さんのTwitter)。

先祖調査をしている方には、答え合わせや新たな発見のため、DNA調査はおすすめできる。


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